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新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省

2020.2.19.(水)

新型コロナウイルス患者等の受け入れなどを行い、一時的に診療報酬の施設基準等を満たさない状態になった場合であっても、当面は変更の届け出等は不要である(従前の入院料等算定を継続できる)―。

厚生労働省は2月14日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。



昨年(2019年)12月に中華人民共和国武漢市で新型のコロナウイルスが原因と見られる肺炎が発生し、本邦においても「中国武漢市滞在歴のない」感染者が確認されるなど猛威を振るっています。また、現在、神奈川県横浜市の港にクルーズ船が寄港し、同船内で多数の新型コロナウイルス感染症患者等の発生が報告されています。

感染患者・感染疑い患者が増加する中で、厚労省は、緊急その他やむを得ない場合には、感染拡大防止に向けて留意したうえで「感染症病床以外の病床」に搬送・入院させても差し支えない旨の考えを示しています。

ただしこうした場合、一時的に入院患者が増加するなどし、診療報酬上の施設基準等を満たせなくなるケースが想定されます。この点、施設基準等を厳格に運用し「診療報酬の届け出や算定を認めない」こととすれば、医療機関サイドの努力が水泡に帰し、また患者が適切な医療を受ける機会が阻害されてしまいます。そこで厚労省今般の事務連絡の中で、次のような臨時対応をとることを認める考えを明らかにしました。



【定数超過入院について】
▽「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料 の算定方法について」(2006年厚労省通知)で、医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合に関し、「災害等やむを得ない事情」の場合は、当該入院月に限り減額の対象としないこととしている。今般、新型コロナウイルス感染症患者等の受け入れで超過入院となった医療機関は、この規定にかかわらず、「当面の間、減額措置は適用しない」こととする

▽DPC病院が医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合の取り扱い(5%以上超過した場合にはDPCを適用しない)によらず、「当面の間、DPCで算定する」こととする

【施設基準の取扱いについて】
▽「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことで入院患者が一時的に急増等し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる医療機関」、および「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる医療機関」では、当面、「月平均夜勤時間数について1割以上の一時的な変動があった場合でも変更届け出を行わなくてもよい」こととする

▽「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことで入院患者が一時的に急増等した医療機関」、および「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足した医療機関」では、▼1日当たり勤務する看護師および准看護師または看護補助者(以下、看護要員)の数▼看護要員の数と入院患者の比率▼看護師および准看護師の数に対する看護師の比率―について、当面、「1割以上の一時的な変動があった場合でも変更届け出を行わなくてもよい」こととする

▽上記と同様の場合、DPC病院で「DPC対象病院への参加基準」を満たさなくなった場合でも届け出を行わなくてよいこととする

▽上記「届け出を行わなくてもよい」とされた医療機関では、「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことで入院患者が一時的に急増等したこと」「新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた医療機関等に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足したこと」を記録・保管しておくこととする

【診療報酬の取り扱いについて】
▽新型コロナウイルス感染症患者等を医療法上の許可病床数を超過して入院させた場合等は、当面、次のように入院基本料、特定入院料を算定する
▼実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する
▼会議室など「病棟以外」に入院した場合には、速やかに入院すべき病棟へ入院させることが原則だが、必要とされる診療が行われている場合に限り、「当該医療機関が届け出ている入院基本料のうち、当該患者が入院すべき病棟の入院基本料」を算定する。この場合、診療や看護の内容が確認できるよう具体的に診療録、看護記録等に記録することが必要である
▼医療法上、本来入院できない病棟に入院(精神病棟に精神疾患ではない患者が入院するなど)または施設基準を満たさない患者が入院(回復期リハ病棟に施設基準を満たさない患者が入院した場合など)した場合には、次のとおりとする
・入院基本料を算定する病棟:入院した病棟の入院基本料を算定する(精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定)が、結核病棟では結核病棟入院基本料の注3の規定(特別入院基本料算定)に係らず入院基本料を算定する
・特定入院料を算定する病棟:医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により算定する入院基本料を判断する
→例えば、一般病床の回復期リハ病棟であれば13対1・15対1看護配置であり、「地域一般入院基本料」を算定する

▽新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れたことにより特定入院料の届け出を行っている病棟に要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハ病棟に回復期リハを要する状態でない患者が入院した場合など)した場合には、当面の間「当該患者(新型コロナウイルス感染症患者等)を除いて」施設基準の要件を満たすか否かを判断する

▽新型コロナウイルス感染症患者等を「第二種感染症指定医療機関である医療機関」に入院させた場合には、要件を満たせばA210【難病等特別入院診療加算】の2「二類感染症患者入院診療加算」(1日につき250点)を算定できる

▽新型コロナウイルス感染症患者等を個室に入院させた場合には、要件を満たせばA220の2【二類感染症患者療養環境特別加算】(1:個室加算300点、2:陰圧室加算200点)を算定でき、要件を満たせばA210【難病等特別入院診療加算】の2「二類感染症患者入院診療加算」(1日につき250点)との併算定も可能である

▽新型コロナウイルス感染が疑われる患者が「帰国者・接触者相談センター」等に連絡し、その指示等により200床以上の病院で「帰国者・接触者外来」等を受診した場合には、「緊急その他やむを得ない事情がある場合」に該当し、初診時の選定療養費の徴収は認められない(徴収してはならない)



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