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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2023年度から【ポスト地域医療構想】作成論議!各病院・都道府県はまず「2025年度の地域医療構想実現」を!—社保審・医療部会(1)

2022.11.30.(水)

地域医療構想のゴールである「2025年度」はすぐそこまで来ており、実現に向けた取り組みをさらに強化していく。近く、本年(2022年)9月末の最新状況を公表する—。

また、2025年度から先、2040年頃までを見据えた【ポスト地域医療構想】作成論議を2023・24年度にかけて行う。各都道府県で2025年度にポスト地域医療構想を作成し、26年度から稼働してもらう—。

11月28日に開催された社会保障審議会・医療部会で、厚生労働省医政局地域医療計画課の鷲見学課長からこうした報告が行われました。なお、同日には「かかりつけ医機能を発揮するための制度整備」案など、医療法改正に向けた議論も行われており別稿で詳しく報じます。

地域医療構想の実現、ポスト地域医療構想の作成・稼働に向けたスケジュール案(社保審・医療部会(1)2 221128)

2025年度はすぐそこ、地域医療構想の実現に向けた取り組みを強化

2025年度には団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達することから、今後、急速に医療ニーズが増加・複雑化していきます。従来型の医療提供体制(例えば、病院完結型の医療)では、増加・複雑化する医療ニーズに効果的・効率的に応えることが難しくなるため、各地域において「2025年度の医療ニーズ」を踏まえた【地域医療構想】の実現が求められています。

地域医療構想は、地域(主に2次医療圏をベースとする地域医療構想調整区域)における将来(2025年度)の医療需要をもとに、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―の機能別必要病床数などを推計した、言わば「将来の医療提供体制の設計図」という位置づけです。

一方、一般病床・療養病床を持つすべての病院には、毎年度「自院の各病棟がどの機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)を持つと考えているのか、自院の診療実績や人員配置・構造設備などはどのような状況なのか」を都道府県に報告する【病床機能報告】が義務付けられています。

各地域において、設計図である【地域医療構想】と、現状である【病床機能報告】とを比較し、「実際の医療提供体制が設計図にできるだけマッチしていく」ように、つまり「地域医療構想が実現する」ように、病院の機能改革・連携強化に向けた論議を関係者が膝をつき合わせて行うことが求められています。

地域医療構想とは(地域医療構想・医師確保計画WG3 210729)

地域医療構想の実現に向けた取り組みの大枠(地域医療構想・医師確保計画WG4 210729)



最新の2021年度病床機能報告結果を見ると、全国ベースの積み上げでは次のようになっています(関連記事はこちら)。

【2021年度における機能別の病床数】
▽合計:121.0万床[2015年度に比べて5.1万床減]
▼高度急性期:15.5万床(全体の13%)[同1.4万床・1ポイント減]
▼急性期:54.9万床(同45%)[同4.7万床・3ポイント減]
▼回復期:19.3万床(同16%)[同6.3万床・6ポイント増]
▼慢性期:31.2万床(同26%)[同4.3万床・2ポイント減]

【2025年度における機能別病床数の予定】
▽合計:120.1万床[2021年度に比べて0.9万床減]
▼高度急性期:16.0万床(全体の13%)[同0.4万床・0ポイント増]
▼急性期:53.6万床(同45%)[同1.3万床・0ポイント減]
▼回復期:20.6万床(同17%)[同1.3万床・1ポイント増]
▼慢性期:29.9万床(同25%)[同1.3万床・1ポイント減]

2021年度の病床機能報告結果(地域医療構想・医師確保WG(1)1 220616)



2015年度の初回報告時に比べて「急性期病床が減少し、回復期病床が増加」していますが、地域医療構想における「機能別の必要病床数」の全国ベースでの積み上げは、▼合計:119.1万床▼高度急性期:13.1万床(全体の11%)▼急性期:40.1万床(同34%)▼回復期:37.5万床(同31%)▼慢性期:28.4万床(同24%)—となっており、「急性期病床がまだまだ多く、回復期病床が全く足らない状況である」ことが分かります。

地域医療構想は「将来の患者数から機能別の必要病床数を推計する」ものであるのに対し、病床機能報告では「病棟単位で機能を設定する」ものであるため、両者を単純比較して「○○機能が過剰、○○機能が不足」と断じることは困難ですが、「大きな乖離がある」ことは事実でしょう。このため「地域医療構想の実現に向けた取り組みの強化」が強く求められています。

この点について鷲見地域医療計画課長は、▼財政支援(地域医療介護総合確保基金の活用重点支援区域における病院再編への支援)▼金融・財政優遇(特別償却制度登録免許税優遇不動産取得税優遇など)—を行っており、今後、「PDCAも含めた責務の明確化、地域医療連携推進法人などによる取り組みの強化を図る」考えを強調。

地域医療構想の実現に向けた支援一覧(社保審・医療部会(1)1 221128)



あわせて、「本年(2022年)9月末の状況」を近く公表(「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」に報告)し、「第8次医療計画に向けた意見」の中に「地域医療構想の実現に向けた取り組み強化の考え方」を盛り込む考えを示しました。

2025年度は「すぐそこ」に来ており、都道府県や病院の取り組みに期待が集まります。

【ポスト地域医療構想】作成論議を2023年度からスタート!

ところで、地域医療構想は上述のように「2025年度」をゴールに設定しています。しかし、2025年度以降、高齢者数の増加スピードは鈍化する(ピークアウトし減少に転じる地域も)ものの、支え手となる現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。

このため「2025年度の先を見据えたポスト地域医療構想の作成」などを求める声も強くなっています

鷲見地域医療計画課長はこの点について、「2040年頃を視野に入れつつ、新型コロナウイルス感染症禍で顕在化した課題を含め、中長期的課題について整理し【新たな地域医療構想】を策定する」考えを明確に表明。今後、「新たな地域医療構想の策定に向けた課題整理・検討を行う」ことも明らかにしました。

第8次医療計画に向けた検討・議論が終了したのち、▼2023年度・24年度に厚労省で【ポスト地域医療構想】に関する検討・制度的対応を行う → ▼2025年度に各都道府県で【ポスト地域医療構想】(機能別必要病床数の新たな設定など)を作成する → ▼2026年度から【ポスト地域医療構想】の実現に向けた取り組みを各都道府県・病院で進める—という粗いスケジュール案も示されました。

地域医療構想の実現、ポスト地域医療構想の作成・稼働に向けたスケジュール案(社保審・医療部会(1)2 221128)



各病院においては、「まず2025年度の地域医療構想実現に向けて、今年度(2022年度)・来年度(2023年度)に機能の再検証等を行う」ことが強く求められ、さらにその先の【ポスト地域医療構想】に向けた「将来、自院をどのような方向に向かわせるのか」を真剣に検討する必要があります。

Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、機能再編や経営強化プランを策定する公立病院を支援するサービスメニューも準備しています。

GHCが「先行して新公立病院改革プラン改訂を行った病院」(市立輪島病院:石川県輪島市)を支援したところ、「入院単価の向上」「戦略的な病床機能強化の推進」などが実現されています。「経営強化」「機能強化」を先取りして実現している格好です。

ガイドラインでは「外部アドバイザーの活用も有効である」と明示していますが、コンサルティング会社も玉石混交で「紋切り型の一律の改革プランしかつくれない」ところも少なくありません。この点、GHCでは「膨大なデータとノウハウ」「医療政策に関する正確かつ最新の知識」をベースに「真に地域で求められる公立病院となるための経営強化プラン」策定が可能です。

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従前より「地域単位での医療提供体制見直し」に着目してコンサルティングを行っているGHCアソシエイトマネジャーの岩瀬英一郎は「従来通りの考えにとどまらず、より緻密な分析を行い、戦略をもった検討をベースとして『地域に必要とされる公立病院の姿』を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある」と強調しています。



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