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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

民間病院も巻き込んだ「地域医療構想の2025年度実現」協議を活性化し、進捗状況を定期チェックせよ—第8次医療計画検討会

2022.12.26.(月)

2025年度の「地域医療構想の実現」に向けて、公立・公的医療機関等にとどまらず、民間病院も巻き込んだ「機能再検証」論議を地域単位で強力に活性化せよ—。

このため、「機能再検証の進捗率を毎年度チェックし、PDCAサイクルに沿って調整会議を運営する」「病床数と将来の病床数の必要量の差が大きい構想区域を有する都道府県を、国が優先的に支援する」ことなどが重要となる—。

12月23日に開催されたた「第8次医療計画に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方向が遠藤久夫座長(学習院大学経済学部教授)一任で固められました。すでに前回会合(12月9日)で了承された他の部分(医療圏設定、医資確保対策など)と合わせた「検討会意見」を早ければ年内にも確定し、年明け(2023年)から意見をベースに「基本方針」(各都道府県が医療計画を作成する際の拠り所となる指針)を厚生労働省事務局で詰めていきます。

なお、次期医療計画(第8次医療計画)には新たに「新興感染症対策」を盛り込むこととなっており、こちらは引き続き検討会で「どのような事項を計画の中に記載してもらうか」に関する議論が行われます(関連記事はこちら)。

12月23日に開催された「第21回 第8次医療計画等に関する検討会」

「民間病院の機能再検証が遅れている」が、それ自体が問題なわけではない点に留意

Gem Medで繰り返し報じているとおり、2024年度から新たな「第8次医療計画」(2024-29年度の計画)が始まります。検討会や下部組織のワーキンググループで、都道府県が医療計画を作成する(2023年度中に作成)際の拠り所となる指針(基本指針、2022年度中に都道府県に提示)策定論議を進めており、12月9日の前回会合で、▼医療計画全体(医療圏、基準病床数など)▼外来医療提供体制▼5疾病・6事業および在宅医療(ただし、冒頭に述べたように新興感染症対策は別途論議、以下同)▼医師確保計画—の方向性を固めました。

その後、12月14日に「地域医療構想」に関する議論が地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループで行われ、2025年度の地域医療構想実現に向けて、次の4つの取り組みを進めていくことを議論しました。最新の「地域医療構想の実現に向けた取り組み状況」調査結果速報(本年(2022年)9月時点)から「公立・公的医療機関などでは『機能転換・ダウンサイジングなどを行うべきか否か』の再検証が先行して進んでおり、今後は『民間病院での再検証』に力を入れるべき」状況が明らかになったことを受けたものです。

(1)コロナ感染症対応の影響もあり再検証等が十分に進んでいない点に対応するため、各都道府県が「再検証等の進捗率(対応方針策定率)を重要指標として、年度ごとにPDCAサイクルに沿って地域医療構想調整会議を運営する」ことを求める

(2)一部に地域構想調整会議の資料などを公表していない自治体があることを踏まえ、「都道府県は地域医療構想鍵の資料や議事録を公表する」ことを明確化する

(3)必要病床量と既存病床数との乖離があまりに大きな構想区域(両者の性質は異なり一致しない、関連記事はこちら)について、都道府県は要因分析・評価を行い、結果を公表するとともに具体的な方策を講じる
→具体的には、非稼働病床(過去1年間に一度も患者を受け入れてない病床)を持つ病院に、地域医療構想調整会議に出席し▼病棟を稼働していない理由▼当該病棟の今後の運用見通しに関する計画—の説明を求めるほか、都道府県知事による病床削減命令(医療法第7条の2第3項)など非稼働病床の解消に努めてもらう(関連記事はこちら

(4)国は、各都道府県の「データ利活用」を支援し、とりわけ「必要病床量と既存病床数との乖離があまりに大きな構想区域」を有する都道府県を優先的に支援する



12月23日の検討会でも、この内容が議論され概ねの了承が得られました。ただし▼民間病院の機能再検証が進んでいる都道府県の好事例を、他都道府県に情報提供していくべき(山口育子構成員:ささえあい医療人権センターCOML理事長)▼新型コロナウイルス感染症が流行する中でも、少子高齢化はストップしておらず、地域の協議を加速化・活性化すべき。また、国による各都道府県への助言・指導・支援を強化すべき(河本滋史構成員:健康保険組合連合会専務理事)—などの提案が出ています。

こうした意見も踏まえて遠藤座長と厚労省とで「地域医療構想の実現」に向けた内容を最終調整し、上述した「検討会意見」の中に組み込みます。この作業を可能な限り早期に進め(年内の「意見」確定を目指す)、年明けから、厚労省事務局において基本方針(厚労省医政局長通知・地域医療計画課長通知)の作成に入る見込みです。



なお、厚労省の示した「各医療機関における再検証等の進捗状況」(再検証対象医療機関・公立病院・公的病院では機能の再検証等が相当程度進んでいるが、「その他病院」(主に民間病院)では芳しくない)について、加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)や織田正道構成員(全日本病院協会副会長)、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「『民間病院での機能再検証等が遅れており、遺憾である』かのように見える。修正・撤回などを考えるべき」と強く訴えました。

公立・公的病院では機能再検証が進んでいるが、その他(主に民間)病院では遅れている(地域医療構想・医師確保WG1 221214)



もちろんこのデータは「民間病院が怪しからん」と言いたいがためのものではありません。多くの地域で急性期医療器提供の基幹的役割を担い、先行して再検証が先行して求められてきた公立病院・公的病院などでは「機能再検証等が相当程度進んでいる」こと、これ比べ再検証の本格要請が遅かった民間病院では「機能再検証等がまだ十分に進んでおらず、これから力を入れていかなければならない」ことを示していると言えます。

しかし、加納構成員の地元である大阪府、織田構成員の地元である佐賀県では、民間病院も含めた機能再検証が地域全体で相当程度進んでおり、「民間病院の議論が全国規模で進んでいない」かのように見えるデータの提示に不満を感じたようです。今後、大阪府や佐賀県で進んでいる「民間病院も巻き込んだ協議」のポイントや工夫などを、他の都道府県にも広めていくことに期待が集まります。



ところでGem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、機能再編や経営強化プランを策定する公立病院を支援するサービスメニューも準備しています。

GHCが「先行して新公立病院改革プラン改訂を行った病院」(市立輪島病院:石川県輪島市)を支援したところ、「入院単価の向上」「戦略的な病床機能強化の推進」などが実現されています。「経営強化」「機能強化」を先取りして実現している格好です。

ガイドラインでは「外部アドバイザーの活用も有効である」と明示していますが、コンサルティング会社も玉石混交で「紋切り型の一律の改革プランしかつくれない」ところも少なくありません。この点、GHCでは「膨大なデータとノウハウ」「医療政策に関する正確かつ最新の知識」をベースに「真に地域で求められる公立病院となるための経営強化プラン」策定が可能です。

●GHCのサービス詳細はこちら

従前より「地域単位での医療提供体制見直し」に着目してコンサルティングを行っているGHCアソシエイトマネジャーの岩瀬英一郎は「従来通りの考えにとどまらず、より緻密な分析を行い、戦略をもった検討をベースとして『地域に必要とされる公立病院の姿』を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある」と強調しています。



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