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多くの病院で「働き方改革意見交換会」実施を、働き方改革では病院集約化が必要―医師働き方改革・情報発信作業部会

2022.2.17.(木)

「医師の働き方改革」をテーマとして、3病院に依頼し、試験的に「院長からベテラン医師、若手医師、さらには臨床研修医まで、さまざまなスタッフによる意見交換会」を開催してもらったところ、▼制度の理解▼認識の共有▼意識の向上―などができたほか、思いのほか「自由な意見交換」ができ、極めて有意義であった―。

こうした「意見交換会の実施」を各医療機関で実施することについて「制度化」や「インセンティブ付与」などを行うことで、「勤務医の働き方改革」に関する情報が医療現場に浸透していくのではないか―。

2月16日に開催された「勤務医に対する情報発信に関する作業部会」(「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の下部組織、以下、作業部会と呼ぶ)で、こういった議論が行われました。

2月16日に開催された「第4回 勤務医に対する情報発信に関する作業部会」

院内での「働き方改革に関する意見交換会」は想像以上に有意義、多くの病院で開催を

Gem Medで繰り返しお伝えしているとおり、2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



しかし医療現場には、こうした情報が必ずしも正しく伝わっていない、また、そもそも情報が全く伝わっていないケースもあるなどの課題があります。そこで作業部会では「どういった情報・内容を発信すればよいのか」「どのように情報発信すれば現場に伝わるのか」という議論を現場目線で行っています(関連記事はこちらこちらこちら)。

そうした議論の中で、モデル病院をいくつか選定し、「若手からベテランまで多くの医師、さらにメディカル・スタッフや事務職も交えて、働き方改革に向けた意見交換を行う」場を設け、「働き方改革に向けた課題抽出」などを行ってもらうことが決定しました。現場には「様々な考え方」があり、意見交換を通じて病院内で「働き方改革を進めていこう」という共通認識が醸成されること、意見交換の内容から「働き方改革を実効性を持って進めるためのヒント(現場の課題抽出→改善策の検討)」が得られることを期待するものです(関連記事はこちら)。

このモデル病院として▼東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)▼聖路加国際病院(東京都中央区)▼社会医療法人愛仁会千船病院(大阪府大阪市)―の3病院を選定し、2月上旬に、厚生労働省担当者も交えた意見交換会を実施(いくつかテーマを決めて自由討議を行う形式)。その概要が2月16日の作業部会で報告されました。

一言で述べると「極めて有意義であった」と結論づけられます。意見交換会後の出席者アンケートを見ると、経営陣やベテラン医師からは「いつのまにか古い人間となった自分にとっては、若い人たちの意見や、他科の現状を知れて良かった」との声が、若手医師や研修医からは「働き方改革がなかった時代を若手として過ごされた上の先生が今の若い世代に働き方改革が適用されることに対してどういう 感想を持つか聞ける機会であったのは有用であった」などの前向きな声が数多く出ています。

また、開催前には「経営陣やベテラン医師の前で若手医師が委縮し、自由な議論にならないのではないか」との懸念が山内英子構成員(聖路加国際病院副院長・乳腺外科部長)から出されましたが、自院の意見交換会に出席した山内構成員は「思いのほか、自由な意見交換が可能であった」と振り返ります。この点、石田苑子構成員(神戸大学大学院医学研究科外科学講座食道胃腸外科学分野医学研究員)は「直属の上司には言いにくいことも、他科の医師には言いやすい部分があると思う。A科のベテラン医師とB科の若手医師・A科の若手医師とB科のベテラン医師などの組み合わせで意見交換が行えるとよい」と分析しています。

こうした状況を踏まえ、2月16日の作業部会では「各医療機関でも意見交換会が積極的に実施されるよう、制度化やインセンティブ付与などを検討してはどうか」との声が多数出ています。あわせて「がん診療に携わる医師には緩和ケア研修を受講することが求められ、多くの世代の医師等とグループワークをするなど非常に有益で、修了証をいただける。『勤務医の働き方改革』についても、こうした研修会などの枠組みを参考に制度化してはどうか」(中安優奈構成員:横浜市立大学附属病院臨床研修医)、「意見交換会出席の予備知識を得るためのツールを共有するなどし、多くの病院で実施しやすい環境を厚労省が整えてはどうか」(木戸道子構成員:日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長)などの提案も出ています。近く、親会議である「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催し、制度化などの議論が行われることになるでしょう。

なお、3モデル病院の試行的意見交換会では、厚労省担当者も出席し、円滑な議論に大きな役割を果たしています(例えば制度上の不明点・質問が出た場合に正しい解説を行うなど)。この点、多くの病院で意見交換会を開催するとなった場合にどう対応するのかなども併せて検討する必要がありそうです。

このほか、▼働き方には、定時の労働、変形労働、裁量労働の大きく3つがあり、どういったケースではどの仕組みを採用すればうまく行きやすいのか、などの情報を厚労省から発信してはどうか。また夕刻からのカンファレンス等を早朝に移すことで、短時間化が可能になる点なども情報発信すべき(山内構成員)▼声を出せない若手・中堅医師の声を拾う工夫が必要である(今村清隆構成員:医療法人渓仁会手稲渓仁会病院外科主任医長)―といった声が出ました。

さらに石田構成員からは「最終的には『医師を増やさなければならない』との話になり、そこでは『病院の集約化、連携の強化』などが必須であるが、すぐに進めることも難しい。疲弊している現場医師の心理的不安が少しでも軽くなるように、厚労省から『集約化の方向を目指している』という強いメッセージを出してほしい」との強い要望が出されています。

厚労省も、▼医師の働き方改革▼医師の偏在対策▼地域医療構想の実現―の3施策が互いに連環していることを従前から強調しており、医師の生命・健康を守るために「働き方改革」が必要であり、そこでは「地域における病院の再編・統合」が重要な検討テーマになってくることが、現場医師からも要望されている点を重視する必要があるでしょう。



ところで、ある病院では次のような資料を意見交換会で用いています。

ある病院で示された「働き方改革に関する資料」



医師働き方改革の仕組みに則れば、「時間外労働を少なくする」ために「夜勤」から「宿日直」への転換を模索するはずです。資料は、これと真逆の方向を目指しているように見えますが、実は▼現在は「夜勤としなければならない」ところを宿日直扱いとしている(少なからぬ業務が発生しているため宿日直許可を得ていない)▼これを適法な「夜勤」へと移行する方向で検討している―ものなのです。こうした「不適切な取り組み」は全国の病院で一般的に行われていると見られ(本来「夜勤」とすべきところを「宿日直扱い」とし、中には宿日直手当すら支払っていないケースもある)、早急な是正が求められます。

働き方改革の情報「基礎編」と「詳細編」の2段階構成に

作業部会は「2021年度内に具体的な情報発信の内容と方法に関する意見取りまとめを行う」こととしており、これまでに次のような方向で議論を進めてきています。

▽解説コンテンツの項目ごとに、「予備知識がない人向けの基礎編」と「より詳細な情報を知りたい人向けの詳細編」を作成していく

▽医療機関内の関係者が「医師の働き方改革に関する情報の周知」を行う際の負担を軽減するため、素材となるコンテンツを作成し、WEBサイトなどで情報発信していく

働き方改革に関する情報発信内容(勤務医情報発信作業部会1 211217)



勤務医へのアンケートでも「院内関係者から情報を得ているケースが多く、さらに詳しく知りたい場合にインターネット等を活用する」ことが分かっており、その点を重視した方向と言えます(関連記事はこちら)。

近く作業部会で意見を取りまとめたのち、厚労省で具体的なコンテンツ作成が行われます。その際、「分かりやすい内容になっているか」などを確認するため、▼作業部会構成員が引き続き内容確認にも協力する(石田構成員提案)▼医師働き方改革を知らない人が読んでも分かるものになっているか、当事者に確認してもらう(馬場秀夫座長:熊本大学病院病院長提案)―ことになりそうです。



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