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「どういった医療WEB広告が不適切で、どう改善すれば良いか」を詳説した解説書を改善・充実―医療情報提供内容検討会(2)

2023.1.19.(木)

不適切な医療WEB広告が依然として後を絶たない。こうした不適切広告の中には「違反と知らなかった。しかし、どのように改善すればよいのかが分からない」ケースもある—。

そこで、「どういった広告が不適切なのか」「どう改善すればよいのか」を分かりやすく示した事例解説書を改善・充実した「第2版」を作成し、これまで以上に広く普及・周知していく―。

1月12日に開催された「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われました。

1月12日に開催された「第20回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」

不適切な医療広告の是正に向けた「事例書」、現状を踏まえて改善した第2版を提示

医療に関しては「不適切な広告が巷に溢れれば、国民・患者の健康・生命に取り返しのつかない被害が出かねない」ことから、医療機関が広告可能な事項は「限定」列挙されています。具体的には、広告可能告示(「医療法第六条の五第一項及び第六条の七第一項の規定に基づく医業、歯科医業若しくは 助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」)で「広告して良い」と明示された事項以外を広告することは許されません。

ただし、医療機関のホームページやSNSについては、「医療機関選択の際に、患者が能動的に(自分から)情報にアクセスする」という特性があることから、一定の要件(医療機関連絡先を掲載する、治療内容・費用などを分かりやすく提示するなど)を満たした場合には「限定事項」以外の内容を広告することが認められています(限定解除)。

厚労省は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)を示し、「どういったケースが不適切な広告に該当するのか」を明らかにしていますが、「不適切なホームページ等」が後を絶たないことも事実です(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

この背景には、「ガイドラインの解釈に幅がある」(個々のケースについて、ある人はガイドラインに合致していると考え、別の人はガイドライン違反であると考えるなど)、「不適切とされた広告をどう改善すれば適切になるのかが十分に理解されていない」という点もあります。

そこで厚労省は「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」を作成し、具体的な解釈を示しています(関連記事はこちら)。

ただし、その後も後述するように「不適切な広告」が見られることから、こうした事例も踏まえて事例解説書を改訂(第2版)。例えば次のような改訂・修正が行われています。

▽「近隣の医療機関と自院とを比較する」広告が多く見受けられるため、「特定の医療機関と自らの費用を比較して、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である」旨の広告はできない点を明示。例えば▼県内で同じ治療を提供している「□□医院様」や「△△クリニック様」よりも安く受診できる▼当医院の医師は県内でも有数の治療実績がある—などの具体的な不適切事例を追加

事例解説書の改訂1(医療情報提供内容検討会(2)1 230112)



▽「体験談」の掲載は不可であるところ、「医療機関の院長等が実際に治療を受け、施術内容や効果を広告する」事例が多く見受けられるため、▼院長が自らが受けた治療について、施術内容や効果を記載する▼伝聞等を記載する—ことも医療広告規制の対象になる点を明示。例えば「当院の院長である□□も実際に体験」などの広告不適切事例を追加

事例解説書の改訂2(医療情報提供内容検討会(2)2 230112)



▽口コミ等の内容について「特定の業者に対して▼一部記述の削除▼患者等に成りすました高評価—などを依頼するケース」が問題視されている点を踏まえ、「体験談の内容を業者等に依頼して編集した」不適切事例を新規作成

事例解説書の改訂3(医療情報提供内容検討会(2)3 230112)

事例解説書の改訂4(医療情報提供内容検討会(2)4 230112)



▽特に美容分野では「キャンペーン」「割引価格」を大きな文字で記載する等の強調表現が多く見受けられ、「費用を強調する不適切広告」に該当するため、▼キャンペーンや割引価格の強調など費用を前面に押し出す不適切事例▼会員特典等で不当に患者等を誘引する恐れのある事例—を新規作成

事例解説書の改訂5(医療情報提供内容検討会(2)5 230112)



▽医薬品の「販売名」は、医薬品医療機器等法の広告規制の趣旨に鑑みて広告不可とされているが、その旨を認識していない医療機関も多い。そこで「医薬品の販売名」を用いて広告している違反事例」と、「一般的名称に変更した改善例」を新規作成

事例解説書の改訂6(医療情報提供内容検討会(2)6 230112)



▽「バナー広告」「リスティング広告」は、医療機関のウェブサイト(いわゆるホームページ)と異なり「広告可能事項以外の広告はできない」(限定解除の対象とならない)点を周知するため、「バナー広告やリスティング広告において、広告可能事項以外の広告を記載している」不適切事例を新規作成

事例解説書の改訂7(医療情報提供内容検討会(2)7 230112)



▽会員限定ページなどの「当該医療機関に係る情報取得を希望した者のみ閲覧可能な状態(一般人は閲覧不可)のサイト」であっても広告規制の対象になる。この点を周知するために、「会員等の特定の人のみ閲覧可能なウェブサイトにおいて、医療広告規制に抵触する」不適切事例を新規作成

事例解説書の改訂8(医療情報提供内容検討会(2)8 230112)



主に自由診療を行う「美容整形外科」や「審美歯科」などで不適切な広告が多くなっていますが、保険診療を行う医療機関の中にも「科学的根拠のないがん治療」など不適切な広告がなされるケースもあります。

不適切な広告は、医療知識の乏しい一般国民・患者の誤解を招き、「適切な医療機関選択」を阻害してしまいます。

保険医療機関も含めて、多くの医療機関が「自院の情報を広くホームページ等で提供する」ことが多くなっており、不適切な情報提供を自ら避けるためにも事例解説書を周知し、その内容を改善・充実していくことが重要です。この点、黒瀬巌構成員(日本医師会常任理事)は「小規模なクリニックなどでは、自院でホームページを作らず、業者に丸投げしているところも少なくない。他省とも連携して、広告会社やサイト作成事業者にも事例解説書を周知してほしい」と要望しています。

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書第2版(案)

不適切な医療広告、美容・審美歯科などに限らず、「がん医療」に対しても積極対応を

上述のとおり、「不適切な医療広告」は後を絶たせん。これを放置すれば国民・患者の健康・生命に被害を及ぼすとともに、「医療への信頼」を損ねることにもつながるため、厚生労働省は2017年8月から「ネットパトロール事業」を実施し、「不適切な広告の発見」→「改善に向けた指導」にも力を入れています。

厚労省から委託を受けたネットパトロール事業者が「一般からの通報」「自ら実施するキーワード検索」によって不適切なwebサイトを探し、「医師や弁護士で構成される評価委員会での審査」などを踏まえた上で、是正が必要なwebサイトについては医療機関等に通知を行い、改善等を促すものです(改善等が行われない場合には、都道府県から指導等が行われる)。

1月12日の検討会では、次のような2021年度のネットパトロール実績が報告されました(2020年度の実績に関する記事はこちら、2019年度の実績に関する記事はこちら)。

▽通報受け付け件数(重複通報がある)
▼2018年度:8358サイト▼19年度:1万300サイト▼20年度:9472サイト▼21年度:7378サイト

▽審査対象(重複除外)
▼2018年度:1525サイト▼19年度:1044サイト▼20年度:1796サイト▼21年度:775サイト



審査対象となった違反広告のうち「違反あり」と認められたものに対しては、まず医療機関等へ「改善せよ」との通知が行われます。多くの事例では、この通知により「改善」がなされています。

2021年度には、一般からの通報・パトロールによる検索の合計で「847サイト」(通報748・検索99)に「違反あり、改善せよ」との通知が医療機関等に行われました。このうち86.7%にあたる734サイト(通報642・検索92)で改善がなされました。

ただし、改善不足・未改善・対応中のサイトもあります。改善に応じない医療機関等に対しては、厚労省委託業者から「都道府県への通知」がなされます。国は医療機関等を指導する権限を持たないため、指導権限のある都道府県に対し「この医療機関で広告違反があり、改善の姿勢が見られないため、都道府県で指導されたし」旨の通知がなされるものです。通知を受けた都道府県では、状況を調査したうえで、必要に応じて改善に向けた指導を行います。

2021年度のネットパトロール事業概要2(医療情報提供内容検討会(2)9 230112)

2021年度のネットパトロール事業概要1(医療情報提供内容検討会(2)10 230112)



ここで「都道府県から指導等が行われたにもかかわらず、対応をとらない医療機関等」もあることが問題視されています(2年以上改善しないケースが数%ある)。

不適切広告への通知を行うと9割が半年で改善するが、一部に時間がかかるものもある(医療情報提供内容検討会(2)11 230112)



このため検討会構成員からは、▼改善まで「不適切な内容」が継続掲載されることになり、それを見た他医療機関が「この内容は問題ないのか」と誤解してしまう事態も招く。迅速に対応すべき(黒瀬構成員)▼罰則の発動も視野に入れ、積極的に対応すべき(幸野庄司構成員:健康保険組合連合会参与)▼「健康被害の減少」につながるように対応してほしい(三浦直美構成員:フリーライター/医学ジャーナリスト協会幹事)—などの意見が出ています。

また、木川和弘構成員(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士)は「形式的な違反で、違反が見えやすい不適切広告の発見が多いが、『不適切ながん治療』広告なども非常に重要な問題であり、ここにも積極的な対応を行ってほしい」と要望しました。

不適切広告は美容外科・審美歯科といった分野だけでなく、藁にも縋る思いでいる「がん患者」をターゲットにしたものも少なくありません。こうした分野への対応が強化されることにも期待が集まります。

なお、不適切な広告の中には、「違反と思っていなかった。しかし、どう改善すればよいのか医療機関サイドが分かっていない」ケースもあり、上述した「事例改善書」が非常に重要となっています。



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