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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

大企業の従業員が加入する健保組合、平均保険料率が初めて9%超える―15年度健保組合予算早期集計結果

2015.4.23.(木)

 2015年度に、健康保険組合全体では1429億円の赤字決算となり、保険料率の平均が初めて9%を超えることが健康保険組合連合会(健保連)の調べで分かりました。健保連では「75歳以上の後期高齢者医療制度を支えるための支援金が健保組合財政を圧迫している」とし、高齢者医療の負担構造改革などを強く求めています。

高齢者医療制度創設移行、8年連続の赤字

 健康保険組合には、主に大企業の従業員が加入しています。健保連では、15年度予算データの報告があった1384組合の数値を集計・分析し、健保組合全体(1403組合)の状況を推計しています。

 それによりますと、15年度は経常収入7兆6488億円に対して、経常支出が7兆7917億円となり、健保組合全体で1429億円の赤字決算となる見込みです。前年度に比べて赤字総額は2254億円減少(改善)していますが、08年の医療保険改革で高齢者医療制度が創設されてから8年連続の赤字となる見通しで、累計赤字総額は2兆5300億円に上ります。

2008年度(平成20年度)に後期高齢者医療制度が創設されてから、健保組合全体で8年連続の赤字

2008年度(平成20年度)に後期高齢者医療制度が創設されてから、健保組合全体で8年連続の赤字

 赤字の大きな原因は、高齢者の増加によって、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」を支えるための後期高齢者支援金や、75歳未満の高齢者の加入割合を調整するための前期高齢者納付金が増加し、財政を圧迫している点にあります。健保組合全体では、高齢者支援金などが保険料収入に占める割合が43.68%と、半分近くを占めています。これは、「加入者自身のためではない支出が、収入の半分近くを占める」状態であり、健保連は制度の改善を強く求めています。

協会けんぽ以上の保険料率設定が全体の4分の1

 健保組合の主な収入は、加入者が納める保険料です。全組合の平均保険料率は、15年度には9.021%となり、初めて9%を超えました。07年の平均保険料率は7.308%だったので、9年間で1.2倍となっています。

 また、主に中小企業の従業員が加入する協会けんぽの平均保険料率(10.0%)以上の保険料率を設定している組合は285組合あり、前年度から30組合増加。健保組合全体のおよそ4分の1を占めています。

高齢者支援金などが収入の70%以上を占める健保組合も

 健保組合の支出で大きいのは、給付費(加入者が医療機関にかかった場合の7割負担分)と後期高齢者支援金・前期退職者給付金などです。後期高齢者医療制度が創設された08年度の支援金総額を100とすると、15年度には135.5となっています。一方で、給付費は07年度を100とすると、15年度には120.6となっており、支援金などの増加が健保組合財政を圧迫していることが分かります。

2008年度(平成20年度)の後期高齢者支援金総額を100とすると、15年度(平成27年度)には135.5に増加している

2008年度(平成20年度)の後期高齢者支援金総額を100とすると、15年度(平成27年度)には135.5に増加している

加入者のための給付費は、2007年度(平成19年度)を100とした場合、15年度(平成27年度)には120.6にとどまっている

加入者のための給付費は、2007年度(平成19年度)を100とした場合、15年度(平成27年度)には120.6にとどまっている

 また、支援金などが保険料収入に占める割合を健保組合ごとに見てみると、40-50%の健保組合が全体の47.4%ともっとも多くなっていますが、50-60%の健保組合が17.3%あり、さらに60-70%が3.5%、70%以上の健保組合も1.2%あります。

保険料収入に占める「後期高齢者支援金など」の割合が70%以上の健保組合が全体の1.2%ある

保険料収入に占める「後期高齢者支援金など」の割合が70%以上の健保組合が全体の1.2%ある

 こうした状況を受け、945の健保組合が赤字となり、これは全体の約7割(67.3%)を占めています。

 なお、現在、国会で審議中の医療保険制度改革法案には「後期高齢者支援金の計算方法」を見直す内容も盛り込まれており、法律が成立・施行となった場合、健保組合によっては支援金負担が増加することになります(逆に減少する健保組合もあります)。健保連では「高齢者医療の負担構造の改革」や「実効性のある医療費適正化対策」に取り組む必要性を強調しています。

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