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診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

医療等分野での番号、医療・介護連携や研究分野等で活用する仕組みの検討を-医療等分野の番号制度研究会が中間まとめ

2014.12.12.(金)

 社会保障制度や税制度に共通の番号を導入し、効率的で透明性の高い制度運用を行い、かつ国民生活の利便性をより高めていく「マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)」が15年10月から稼働します。

 これに関連し、「医療等分野(健康・医療・介護分野)でも共通番号制度を活用してはどうか」という重要なテーマがあります。例えば、複数の医療機関の診療情報を共通番号で管理すれば、質が高く効率的な医療を提供できるようになると期待できるからです。

 しかし、健康や医療といった分野では、病歴や健診結果など第三者に知られたくない情報が多く含まれるため、どのような形で運用すべきかが課題です。そこで厚生労働省は、「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」を設置し、さまざまな角度から検討しています。10日には、研究会が中間まとめを公表しました。

医療分野での番号は希望者のみに

 中間まとめでは、医療や健康、介護分野の個人情報について、「高い機微性に配慮した情報の保護が求められる」ことを確認した上で、質の高い医療提供や医学研究の発展・医療の高度化に向けてこうした情報を適切に活用することが、「社会全体の利益にもつながる」ことを強調します。

 そのため、「本人の同意のもとで希望する患者が番号を持つ仕組みとすべき」「共有する病歴の範囲について患者が選択できる仕組みとすべき」「本人同意やプライバシールールのあり方を検討する必要がある」などの意見が出されたことを紹介しています。

 また既に稼働が決定している番号制度のインフラを活用すれば、二重投資を避けることができます。この点について中間まとめでは、「医療等分野で用いる番号は、重複を回避するために、住民票コードまたはマイナンバーから変換する方法等により作成し、利用を希望する者が使う仕組み」とすることを提案しています。さらに、「見えない番号(電磁的な符号)」とすることが、安全性を確保しつつ二重投資を避ける観点から好ましいとも提言しました。

医療・介護連携や研究分野での活用に期待

 医療分野での番号は、次のような場面での情報連携が想定されます。

(1)医療保険のオンラインでの資格確認(請求支払事務の支援・効率化)

(2)保険者間での加入者の健診データの活用・連携等

(3)医療機関・介護事業者等の連携(地域レベルの医療機関等の連携、複数地域にまたがる医療機関等の連携)

 例えば、病院で受けた検査の結果をかかりつけ医の診療に活用することや、救急搬送時に過去の診療情報を確認し、適切な救急医療を行うこと、さらに医療・介護従事者が連携して、地域包括ケアを実現することなど

(4)健康・医療の研究分野(コホート研究、データベースを活用した大規模な分析研究)

 NDB(ナショナルデータベース)の活用、コホート研究(追跡研究)や大規模な分析研究を推進し、その成果を医療の質の向上につなげるなど

(5)健康・医療分野のポータルサービス(国民自らが予防接種や健康・医療の履歴・記録を確認、健康増進に活用)

(6)全国がん登録(罹患、診療、転帰等の状況の把握)

医療等分野での番号による情報連携が想定される利用場面

 (1)の「医療保険のオンライン資格確認」については、既存のインフラと番号制度のインフラを活用し、安全で効率的な仕組みを、保険者や保険医療機関といった関係者の協議を通じて検討することが必要と提言しています。ただし、個人番号カードを用いる場合には、マイナンバーを視認できないような仕組みを考慮すべきとの注意喚起も忘れていません。

 (3)の「医療機関・介護事業者等の連携」と(4)の「健康・医療の研究分野」などでは、医療分野の番号を用いた情報連携の仕組みを構築する必要性を強調します。質の高い医療・介護サービスの提供や、医学・医療水準の向上には、情報連携によるデータ集積などの取り組みが欠かせないからです。

 また(6)の「全国がん登録」では、マイナンバーの活用によって「がんが告知されていない患者からマイナンバーを取得する必要があるが、これは告知につながってしまう」「事務量が膨大となる」といった課題があるため、医療分野での番号の仕組みと合わせた突合・整理に用いる番号の在り方を検討する必要があると指摘しました。

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