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人件費増が病院経営圧迫、13年度「ほとんど減益」-WAM「経営分析参考指標」

2014.12.17.(水)

 病院、特別養護老人ホーム、老人保健施設やケアハウスの経営を人件費などのコストが圧迫している実態が、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の調査で分かりました。医業収益などは2013年度にはいずれも横ばいで、WAMでは「対象施設のほとんどで減益の傾向がみられた」としています。

 WAMでは医療・福祉事業に対する資金貸付を行っていて、債権管理の一環として貸付先の法人や施設から財務諸表と事業報告書の提出を求めています。この情報を分析し、「経営分析参考指標」として毎年度取りまとめており、11日には13年度決算分の「経営分析参考指標」を公表しています。

 調査対象は、病院1698施設、特養ホーム1869施設、老健施設1400施設、ケアハウス420施設などです。

 全体の状況としては、「人件費増が収支差を圧迫し、調査対象施設のほとんどで減益」となっています。

一般病院の損益分岐点比率は98.9%、病院経営の厳しさ増す

 13年度の一般病院の経営状況を少し詳しく見てみましょう。

 WAMは、全病床に占める一般病床の割合が5割超の病院を「一般病院」(調査対象822施設)とし、収支状況を分析しています。

 まず収益の97.3%を医業収益が占めていて、内訳は「入院」が69.5%(うち1.5%が差額ベッド代)、「外来」が26.4%、「その他の医業収入」が4.1%となっています。

 医業収益に対する費用の割合は98.2%で、前年度から1.5ポイント増加しました。中でも「人件費」の割合が52.0%で最も高く、0.7ポイントの増。このほかは「医療材料費」21.4%(前年度比0.6ポイント増)、「経費」17.9%(同0.1ポイント増)、「減価償却費」5.2%(同0.1ポイント増)、「給食材料費」1.7%(増減なし)などです。

 さらに、経営の余力がどれだけあるかを示す「損益分岐点比率」は98.9%で、前年度よりも2.0ポイント上昇していて、病院経営がますます厳しさを増している状況がうかがえます。人件費と医療材料費の伸びが大きいことから、適切な人事計画の立案や、医薬品や医療材料の価格を抑えるために、後発医薬品の選択や共同購買を検討する必要がありそうです。

 さらに、人件費に関連して従事者1人当たりの「年間医業収益」を見ると1202万円で、前年度から1万3000円(0.1%)減少しています。従事者1人がどれだけの付加価値を生み出したかを表す「労働生産性」は646万円で、10万7000円(1.6%)減少しました。

 このように人件費全体が上がる一方で、従事者1人当たりの生産性が低下していることに鑑みれば、適正な昇給計画の作成、シフトの適正化(残業の抑制)などを検討することが急務と言えるのではないでしょうか。

一般病院における収支の状況

一般病院における収支の状況

一般病院、在院日数短縮も病床利用率ダウン

 次に一般病院の機能性に目を移すと、平均在院日数は20.2日で前年度より0.6日短縮していますが、病床利用率も0.3ポイント下がり80.3%となりました。病床1床当たりの医業収益は1911万円で、66万8000円(3.6%)増加しています。

 また、入院患者1人当たりの医業収益は4万5319円(うち99万4000円は差額ベッド代)で、前年度よりも1722円(3.9%)増加しました。外来患者については、医業収益は1万1338円で、594円(5.5%)増えています。

 さらに、患者100人当たりの従事者数は「常勤医師」9.3人(前年度比0.4人増)、「非常勤医師」2.3人(同0.1人増)、「看護師・准看護師・看護補助者」62.8人(同2.2人増)、「その他」49.2人(同2.7人増)となっています。

一般病院における機能性の状況

一般病院における機能性の状況

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