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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

「緊急時対応が在宅医療推進の課題」75%-日医が診療所調査

2014.12.19.(金)

 地域を支える診療所の医師が、在宅医療を行う上で「緊急時の対応」が最大の課題であると感じていることが、日本医師会の調査で分かりました。

 日医は2014年度診療報酬改定に係る診療所調査を行い、17日にその概要を発表しました。調査には1519人の診療所開設者・管理者が協力しています。

認知症・がんの知識を不安視し足踏み

 高齢化のさらなる進行を見据え、厚生労働省は「在宅医療の推進」を今後の政策目標の一つに据えています。整備が急がれる地域包括ケアシステムにおいても、在宅医療はその要の一つとなることが期待されています。

 日医の調査では、「外来のみ」を行っている診療所は、内科・外科では3割程度に過ぎず、程度の差こそあれ7割程度が往診・訪問診療といった在宅医療に関わっていることが分かります。また、皮膚科や泌尿器科、整形外科でも3-4割程度は何らかの形で在宅医療への関わりがあります。

内科・外科診療のおよそ7割が何らかの形で在宅医療を実施

内科・外科診療のおよそ7割が何らかの形で在宅医療を実施

 では、在宅医療を行う上での障壁はどこにあるのでしょう。この点、日医の調査からは「緊急時の対応」75.4%、「自身の体力」52.9%、「在宅での看取り」40.4%、「緊急時に入院できる病床の確保」35.7%といった項目を挙げる診療所が多いことが分かりました。

在宅医療を行う上での障壁は「緊急時の対応や病床確保」「自身の体力」「看取り」が多い

在宅医療を行う上での障壁は「緊急時の対応や病床確保」「自身の体力」「看取り」が多い

 ただし、在宅医療を既に行っているかどうかで、障壁と考える項目に若干の差があります。

 在宅医療を拡充・継続する診療所は、「緊急時の対応」「自身の体力」「在宅での看取り」「緊急時の病床確保」のほかに、「在宅医療に必要な医療機器や医療材料等のコストの捻出」が大変であると感じています。この点について日医は、「重症患者に高度な在宅医療を提供するなどしてコスト負担が重荷になっているのではないか」と分析。さらに、他に比べて「患者家族の理解を得ること」を挙げるケースが多いことにも注目し、「在宅医療推進のためには患者だけではなく、家族との関係も重要である」と指摘しました。

 また、在宅医療の縮小・撤退を考えている診療所では、「緊急時の対応」「自身の体力」「在宅での看取り」「緊急時の病床確保」が多い状況は同じですが、「他院の医師との連携」を障壁に挙げるところも多くなっています。「自身の体力」を挙げる診療所が、在宅医療を拡大・継続するところよりも多い点も注目できます。

 一方、在宅医療への新規参入を考えている診療所は、「回答した医師以外の、自院における在宅医療を担う医師」や「認知症・がんについての知識や医療技術の修得」を障壁と考えるところが多くなっています。既に在宅医療を実践している医師のアドバイスが、新規参入を推進する鍵の一つと言えそうです。

 さらに、在宅医療への参入を考えていない診療所は、「自院における在宅医療を担う看護師・准看護師の確保」を障壁の一つに挙げています。日医は「医師と看護職員が協働できる体制が整えば在宅医療に踏み出せる可能性もある」と推察しています。

在宅医療を行う上で「大変」と考える項目は、在宅医療経験の有無等で若干異なる

在宅医療を行う上で「大変」と考える項目は、在宅医療経験の有無等で若干異なる

かかりつけ医機能充実に向け、院内処方支援を提言

 厚労省は、14年度診療報酬改定で「地域包括診療料」と「地域包括診療加算」を新設しており、そこでは「原則として院内処方を行っている」ことが施設基準の一つとなっています。

 日医が、診療所における処方の状況を調べたところ、全体では37.5%が院内処方を行っていることが分かりました。診療科別では、産科・産婦人科64.8%、内科41.2%、外科40.6%、整形外科36.5%という具合です。院内処方のメリットとしては、「患者の移動負担が少なくすむ」「患者の経済的負担が少なくすむ」ことのほか、「緊急の往診、急患の際でもすぐに処方できる」ことが挙げられています。

院内処方を行う診療所は、全体では37.5%、内科で41.2%、外科で40.6%

院内処方を行う診療所は、全体では37.5%、内科で41.2%、外科で40.6%

 ところで、「地域包括診療料」「地域包括診療加算」は、主治医・かかりつけ医機能の充実によって、軽症患者の大病院外来受診を抑制することが目的の一つです。このため日医は「今後も院内処方を継続できるような支援も必要なのではないか」と提言しています。

 このほか、調査結果から「診療所の半数以上の医師が、後発医薬品の品質・効果に問題があると感じている」ことや、「診療科によって、『かかりつけ医(機能)』として何を重要と考えるかが異なっている」ことが明らかになっています。

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