11日の大臣折衝事項の概要(医療・介護関連)
2015.1.13.(火)
■介護報酬改定など
2015年度の介護報酬改定では、▽介護保険料の上昇の抑制▽介護サービスの利用者負担の軽減▽介護職員の給料の引き上げ▽介護事業者の安定的経営の確保-という4つの視点を踏まえる。15年度介護報酬の改定率は全体でマイナス2.27%とするとともに、消費税増収分を活用して、次の通り対応。
・月額プラス1.2万円相当の介護職員処遇改善加算を拡充するため、プラス1.65%を確保。
・中-重度の要介護者や認知症高齢者に対して良好なサービスを提供する事業所や、地域に密着した小規模な事業所に対する加算措置を拡充するため、プラス0.56%を確保。
・地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療介護総合確保基金や認知症施策など地域支援事業の充実に十分な財源を確保。
サービスごとの介護報酬の設定では、各サービスの収支状況や施設の規模、地域の状況などに応じ、めりはりを付けて配分する。
また、介護職員処遇改善加算の拡充が確実に職員の処遇改善につながるよう、処遇改善加算の執行を厳格化する。
18年度の介護報酬改定に向けては、サービスごとの「収支差」やそのほかの経営実態について、財務諸表の活用の在り方などを含め、より客観性・透明性の高い手法で網羅的に把握できるよう、速やかに所要の改善措置を講じ、17年度に実施する「介護事業経営実態調査」に確実に反映させる。
■社会保障の充実・安定化
15年度の消費税増収分(8.2兆円程度)はすべて社会保障の充実・安定化に向ける。基礎年金国庫負担割合は2分の1への引き上げの恒久化に3.02兆円を充てた上で、消費税増収分1.35兆円と社会保障改革プログラム法などに基づく重点化・効率化による財政効果を活用し、社会保障の充実1.36兆円と簡素な給付0.13兆円を措置する。
国民健康保険への財政支援の拡充を含む医療・介護サービス提供体制の改革の推進に必要な事項に重点的な予算措置を行う。
低所得者に対する介護保険の1号保険料の軽減強化については、特に所得の低い者に対する措置の一部を15年度から実施。介護保険料軽減強化の残余の措置などは消費税率10%引き上げ時(17年4月)に、後期高齢者の保険料軽減特例を原則、本則に戻すのと併せて着実に実施。
(参考)2015年度の社会保障の充実1.36兆円(公費ベース)の内容(医療・介護関連)
・地域医療介護総合確保基金(医療分900億円程度、介護分700億円程度)
・14年度診療報酬改定における消費税財源の活用分(400億円程度)
・介護報酬における介護職員の処遇改善・質の高いサービスに対する加算など(1100億円程度)
・認知症施策の推進など地域支援事業の充実(200億円程度)
・国民健康保険などの低所得者保険料軽減措置の拡充(600億円程度)
・国民健康保険への財政支援の拡充(1900億円程度)
・被用者保険の拠出金に対する支援(100億円程度)
・高額療養費制度の見直し(250億円程度)
・介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化(200億円程度)
・難病・小児慢性特定疾病への対応(2000億円程度)
・年金制度の改善(20億円程度)
■医療保険制度改革の推進に関する予算関連事項
次期通常国会への提出を予定している医療保険制度改革関連法案で、国民健康保険の財政基盤安定化・財政運営責任の都道府県への移行、医療費適正化計画の見直し、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入などの医療保険制度改革を着実に進める。これらと関連して、予算に関連する以下の事項について、それぞれ記載の取り扱いとする。
●協会けんぽに対する国庫補助
国庫補助率の特例措置が14年度末で期限切れとなる協会けんぽについては、医療保険制度改革において、国庫補助率を当分の間16.4%と定め、安定化を図る。ただし、現下の経済情勢、財政状況などを踏まえ、準備金残高が法定準備金を超えて積み上がっていく場合、新たな超過分の国庫補助相当額を翌年度減額する特例措置を講じる。
【2015年度】
国庫補助は、法定準備金を超過する準備金の16.4%相当を減額。
【2016年度以降】
法定準備金を超過する準備金残高があり、さらに準備金が積み上がるときは、さらに積み上がる新たな超過分の16.4%相当を翌年度の国庫補助から減額。
●入院時食事療養費等の見直し
入院時の食事代(現在は1食260円)について、入院と在宅療養の負担の公平性などを図る観点から、食材費に加えて調理費相当額の負担を求めることとし、16年度から1食360円、18年度から1食460円に段階的に引き上げる。ただし、低所得者は引き上げを行わず、難病患者、小児慢性特定疾病患者は現在の負担額を据え置く。
●所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し
所得水準の高い国保組合の国庫補助について、負担能力に応じた負担とする観点から、16年度から5年間を掛けて段階的に見直すこととし、所得水準に応じて13%から32%の補助率にする。
【別紙】介護報酬改定などについて(概要)
2015年度の介護報酬改定は、▽介護保険料の上昇の抑制▽介護サービスの利用者負担の軽減▽介護職員の給料の引き上げ▽介護事業者の安定的経営の確保-という4つの視点を踏まえ、次の通りとする。
○改定率 マイナス2.27%
・介護職員処遇改善加算の拡充(1人当たり月プラス1.2万円相当)→プラス1.65%
・中-重度の要介護者や認知症高齢者に対して良好なサービスを提供する事業所や、地域に密着した小規模な事業所への加算→プラス0.56%
・収支状況などを反映した適正化など→マイナス4.48%
介護報酬の外枠で次の措置を講じる。
○地域医療介護総合確保基金による介護施設の整備等 公費700億円程度
○認知症施策の推進など地域支援事業の充実 公費200億円程度