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研究活動の不正防止ガイドライン、厚労省、ペナルティー規定を整備

2015.1.21.(水)

 厚生労働省は16日、「厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」を公表しました。同省の予算配分・措置によって行われるすべての研究活動に4月1日から適用されます。

 ガイドラインでは「科学研究の競争が激化する中で、さまざまな不正行為が明らかになり、社会的にも大きな関心を集めている」と指摘した上で、これまでと同様に▽個々の研究者の規律▽学会等の研究者コミュニティの自律-を基本としながら、研究機関が責任を持って不正行為の防止に関わり、対応の強化を図る方向性を新たに打ち出しています。

 ここでいう不正行為には、「論文、学会発表、成果報告書などの形で発表された研究成果、および研究資金獲得のための研究計画書における意図的な▽ねつ造▽改ざん▽盗用」が該当します(特定不正行為)。

 また、▽研究データの管理不足による紛失▽危険な研究方法の採用▽不適切なオーサーシップ(論文の著者)▽論文数を不適切に増す行為(論文の分割など)▽論文・研究提案者の査読における不適切な行為(意図的な遅延や、研究上の観点から逸脱した過大な要求)-なども、研究活動を弱体化させる不適切で無責任な行為と明示しました。

研究機関は倫理教育を実施

 不正行為への対応としては、「事前防止」が最も重要です。ガイドラインでは、(1)不正行為を抑止する環境を整備(2)不正事案を一覧化して公開-することを求めています。

 このうち、環境整備では、研究機関に対して「研究倫理教育責任者」を設置するなど体制を整備し、広く研究活動に関わる人を対象とした定期的な「研究倫理教育」を実施するよう指示しています。具体的な教育内容は、研究者に基本的責任や姿勢などの行動規範を説くことに加え、▽研究方法や、研究データとなる実験・観察ノートといった記録媒体の作成・保管▽実験試料・試薬の保存▽論文作成における各研究者の役割分担・責任関係の明確化-なども含まれます。

 さらに、研究機関には「研究者に対して、一定期間、研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける規定」を整備し、適切で実効的な運用も求められます。

 一方、研究予算を配分する機関(厚労省や独立行政法人)に対しては、所管資金を活用する研究活動に参加するすべての研究者に「研究倫理教育に関するプログラム」を受講させることなどを指示しました。

不正行為が認定されたら研究資金を停止

 特定不正行為(ねつ造、改ざん、盗用)の疑惑が生じた場合には、適切な調査を行うことが信頼回復の第一歩となります。このため研究機関や予算の配分機関は、調査手続きや方法に関する規定を事前に整備し、公表することが必要です。ガイドラインでは本調査から150日以内を目安に、調査結果をまとめるよう求めています。

 さらにガイドラインでは、特定不正行為を「告発」しやすい環境(受付体制や告発者の秘密保持)の整備も指示しました。

 また、特定不正行為が認定された場合には、予算の配分機関が研究者や研究機関に対して次の措置を講じます。

●被認定者の関わる資金について、採択・交付決定の保留、交付停止、関係機関への執行停止を指示する

●被認定者の関わる資金について、交付決定を取り消し、資金の返還を求める

●事案に応じて、(事後の)資金の交付を制限する

 さらに、研究機関に対して、▽体制に不備があると確認された場合には改善事項や履行期限を示した管理条件を付与する▽管理条件が履行されない場合には、間接経費の削減や資金配分の停止を行う-ことも明確化されました。