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激動の時代、病院の迅速な意思決定に必要な分析ツールを12月4日リリース―Tableau社と「病院ダッシュボードχ」共同発表会開催

2017.11.30.(木)

 ビジュアル分析で世界をリードするTableau Japan(東京都中央区、Tableau社)とグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(東京都新宿区、GHC)は11月16日、「病院ダッシュボードχ(カイ)」の共同発表会を東京都内で開催しました。

 病院ダッシュボードχは、病院経営の意思決定を支援するGHCの新しいツールで、12月4日にリリースされます。Tableau社との連携により、従来製品(病院ダッシュボード)よりもデータを素早く、分かりやすく、深く分析でき、経営改善の具体策や今後の方向性に悩む病院が、スピーディーに解決策を導き出すことができます。

 共同発表会では、Tableau社の浜田俊社長が、Tableauを導入した海外病院の経営改善事例を紹介。さらに、GHC社長の渡辺幸子とアソシエイトマネジャーの八木保が、病院ダッシュボードχの導入が病院にもたらす効果を説明しました。

共同発表会には病院ダッシュボードを利用する病院関係者も参加した

共同発表会には病院ダッシュボードを利用する病院関係者も参加した

米国トップ20病院がTableauで行った経営改善をダッシュボードχで「できる」

 従来製品の病院ダッシュボードは、GHCが2011年から提供している病院経営支援ツールです。DPCデータをはじめとする多様な院内データを用いたベンチマーク分析(他病院との比較)を、簡単な操作で実施できます。例えば、平均在院日数や後発医薬品の使用割合などの指標について、「赤」(立ち止まって要改善)、「黄」(要注意)、「青」(優れている)の3色のシグナルで、全国の同規模他病院と比べた自病院の立ち位置を明らかにし、病院が次に解決すべき課題を分かりやすく示します。

 2003年のDPC制度導入により病院間で共通のデータセットができ、病院経営におけるベンチマーク分析は大きく前進しました。GHCは、全国780病院からデータをお預かりしています。病院ダッシュボードでは、このデータから「自院が全国でどの位置にあるのか」「地域において患者からどの程度支持されているのか」「自院の診療行為は、他院と比べてどこが異なるのか」といった疑問に対して、一瞬で答えを出すことができます。地道なデータ分析に多大な時間と労力を費やさずに済み、その分「改善」に力を注ぐことが可能になります。高度急性期病院(DPCII群病院)の4割が既に導入し、日々の業務改善に役立てています。

 そうした従来製品を大幅刷新した病院ダッシュボードχには、どんな経営改善効果が期待できるのでしょうか。共同発表会では、Tableau社の浜田社長が海外病院の例を挙げて説明しました。

Tableau社の浜田社長は、米国病院での実績を紹介した

Tableau社の浜田社長は、米国病院での実績を紹介した

 Tableau社が提供するデータ分析ソフトはさまざまな分野で活用されており、ヘルスケア業界に限って見ただけでも国内外のさまざまな企業で採用されています。その中には、「全米病院ランキング」(US News and World Report 2016―17)で上位20位までにランクインした病院のグループすべてが入っており、病院経営を改善させるツールとして既に多くの実績があります。

 例えば、米国ミズーリ州セイントルイスを拠点に11病院(計1315床)を運営するBarnes-Jewish Healthcareグループでは、在庫管理などの適正化に取り組み、4年間で2億1200万ドル(約240億円)の購買コスト削減を達成しました。

 また、ニューヨーク州ニューヨークが本拠点のMount Sinai Health System(200拠点以上、3500床以上)では、各部門の担当者に業務データを分析させるためにTableauの製品を導入。わずか6週間で、1億2500万ドル(約140億円)のコスト削減が見込める領域を救急科の医師が特定するに至りました。ITの知識がない人でもデータを分析できるという、Tableauの製品の強みが生きた事例だと言えます。

 共同発表会で浜田社長は、これら2事例に加え、医師の生産性向上や看護職員のシフト効率化、入院日数の短縮などに効果が挙がっていると紹介。「今挙げたことをすべてできるもの」として、病院ダッシュボードχをGHCと作り上げたと胸を張りました。

 例えば病院ダッシュボードχには、自院の現状を1分で把握できる「経営成績表」機能が搭載されます。病院経営の健全さを測る上で欠かせない9つのKPI(症例数や1日単価など)の数値が、同規模他病院と比べてどのような位置付けかを6段階(S―Eランク)で分類し、一つの画面に明示します。病院経営者は、細かな数字が羅列された表を一つ一つ見ることなく、改善すべき点を即座に把握でき、迅速な意思決定が可能になります。

病院ダッシュボードχには、自院の経営状況を一目で確認できる機能が搭載される

病院ダッシュボードχには、自院の経営状況を一目で確認できる機能が搭載される

Velocity(速度)を補い、病院の迅速な意思決定につながるツールに

 共同発表会でGHC社長の渡辺が強調したのは、激しい環境変化の中で、病院に迅速な意思決定が求められている点です。これは、少子高齢化の進展で患者側の医療介護ニーズが劇的に変わりつつあるためです。いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、回復期のニーズが飛躍的に高まる一方、急性期の医療ニーズが減り、病院・診療所の病床数(2013年時点で134.7万床)の1割超が「余る」という試算を国は示しています。

GHCの渡辺社長は、病院が飛躍(LEAP)的に変わる必要があると訴えた

GHCの渡辺社長は、病院が飛躍(LEAP)的に変わる必要があると訴えた

 さらに恐ろしいことに、この試算は「入院日数が今と変わらない」という前提で行われています。しかし、日本の急性期医療の平均在院日数はOECD各国の平均(約7日)の倍というのが実態で、適正化が求められています。診療報酬改定による政策誘導などで入院日数は徐々に短縮しており、入院医療から外来医療へのシフト(典型的なものは簡易な手術・検査やがん化学療法)も進むため、将来の入院ニーズに対して必要な病床数は、さらに少なくなります。病院にとって、経営環境の劇的な変化が起きるわけで、渡辺は、「病院が飛躍(LEAP)的に変わらなければならない」と警鐘を鳴らし、病院ダッシュボードχの活用を促しています。

 そもそも、GHCが従来製品の病院ダッシュボードを開発した目的は、病院が手元にある診療データを使って現状や課題を知り、診療内容などを正しい方向へと変える意思決定を行うために、必要なツールを提供することでした。

 そんな従来製品を大幅に刷新したのは、ビッグデータの要件といわれる「3つのV」(Volume:データ量、Variety:多様なデータ・種類、Velocity:扱うスピード・速度)のうち、現行の病院ダッシュボード開発方法ではVelocityが不足していたためで、BIツールTableauを開発に活用することによって、この部分を補うことができたと渡辺は説明しています。これがTableau社とGHCの協力関係の背景です。

 病院ダッシュボードχの開発にTableauを活用した結果、分析の追加や病院のニーズ反映をスピーディーにできるようになり、病院経営のソリューション(解=χ)を迅速に提供できるようになりました。

 渡辺は、リリース後にも順次、GHCのコンサルタントが、病院の意思決定につながる新たなデータ分析手法をVelocity(迅速)に登載予定だと述べ、病院ダッシュボードχが病院の意思決定に役立つと力を込めました。

分析できる人材を育成、ユーザー同士が成長できる仕組みも

 GHCアソシエイトマネジャーの八木も、迅速な意思決定の必要性を訴えました。その上で、(1)データ分析による現状の把握(2)原因の特定(3)カイゼン策の検討(4)実行―という経営改善のサイクルを今以上に早く回すため、病院ダッシュボードχを使ってほしいと呼び掛けました。

ユーザーが成長できる仕組みを整えたいと話すGHCの八木アソシエイトマネジャー

ユーザーが成長できる仕組みを整えたいと話すGHCの八木アソシエイトマネジャー

 実際に経営改善の効果を上げるまでには、この一連のプロセスを進めることが欠かせませんが、実際には、(3)のカイゼン策の検討までに時間がかかり過ぎ、(4)の実行が大きく遅れてしまうか、時間を多くかけられないこともあります。八木は、「病院ダッシュボードχを使えば経営改善のサイクルを早く回せる。(3)まで最短経路を通り、実効の時間を多く取ってもらえる」と話しています。

 また八木は、経営改善のサイクルがうまく回らない要因の一つが、データを分析できる人材が病院に不足していることだと指摘。その対策として研修会をGHCが毎月開催し、「ユーザーに来てもらって、分析手法を学んでもらう。そして実践してもらう」ことを提案しました。

 GHCでは、従来製品の病院ダッシュボードのユーザー向けにも、定期的に研修会を開いてきました。そうして人材を育てるノウハウが蓄積しているわけですが、八木は今後の展開として、「ユーザー間で、自分たちの素晴らしい分析手法を共有でき、一緒に成長できる。そうした仕組みも考えている」と明かしました。

 「病院が自ら変わることを支援する」―。それを目的に、必要な機能すべてを兼ね備えた新製品の病院ダッシュボードχ。12月4日のリリースに向けて、メディ・ウォッチでもその全容をこれから紹介していきます。

担当したコンサルタント

八木 保(やぎ・たもつ)

yagi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。理学療法士、中小企業診断士。
名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業。大手商社にてヘルスケア業界におけるマーケティング商品開発、中小企業のコンサルティングを経て、入社。リハビリの質と生産性向上、コスト削減、財務分析、DPC分析などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うとともに、社内のCS向上チームや社外のCQI(Cancer Quality Initiative)研究会のサポートなどでも精力的に活動する(諏訪中央病院の事例紹介はこちら、津島市民病院の事例紹介はこちら)。