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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

一般病院の7対1届け出が過去最高48%、13年度-WAMがレポート、病院経営悪化

2015.1.29.(木)

 重症度の高い患者の入院を想定している7対1入院基本料の一般病院による届け出割合が、2013年度に過去最高の48%を占めたことが、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が26日に発表したリサーチレポートで明らかになりました。

 13年度の病院経営は苦しく、一般病院では約4割が赤字であったこともかりました。病院の経営状況を示す「経常収益対経常利益率」を見ると、前年度に比べて▽一般病院で1.3ポイント減▽療養型病院で0.4ポイント減▽精神科病院で1.0ポイント減-と軒並みマイナス傾向となっています。

 また回復期リハに着目すると、回復期リハ病床の占める割合が高い病院では、経常利益率が高い状況がうかがえます。

7対1届け出割合、5年間で10ポイント超の増

 WAMでは、貸付先病院の経営状況を年度ごとに調査しており、今回は1698病院の調査結果から経営状況を分析しました。調査の対象になった病院の機能別の内訳は次の通りです。

▽一般病院:822施設(全病床に占める一般病床の割合が50%超)

▽療養型病院:582施設(全病床に占める療養病床の割合が50%超)

▽精神科病院:294施設(全病床に占める精神病床の割合が80%超)

 一般病床における「入院基本料等」の届け出状況を見ると、▽7対1が48.0%▽10対1が25.5%▽13対1が2.4%▽15対1が4.5%▽回復期リハが5.5%▽亜急性期入院医療管理料が2.4%-などとなっています。特に、7対1は5年前から10ポイント超の増加(09年は37.7%)と、大幅に拡大しました。

2013年度(平成25年度)における入院料等の届出状況(一般病床)を見ると、7対1がもっとも多く48.0%を占めている

2013年度(平成25年度)における入院料等の届出状況(一般病床)を見ると、7対1がもっとも多く48.0%を占めている

 7対1の届け出割合が年々高まっていますが、14年度の診療報酬改定後にどのように推移しているのか、今後の調査結果が待たれます。

一般病院は経営悪化、人件費などコスト増が直撃

 一般病院における「100床当たりの収支状況」を見てみましょう。

 収益面については、入院収益と外来収益が、前年度に比べてそれぞれ3.5%、3.9%増加しました。WAMでは「平均在院日数が0.6日短縮し、さらに12年度改定への対応を充実させたため、『入院患者1人1日当たり医業収益』が4万5319円で3.9%増加するなど、機能性が向上した」ことが要因と分析しています。

 一方、費用面では、人件費が5.0%、医療材料費が6.7%、給食材料費が2.2%、経費が4.1%、減価償却費が6.7%のいずれも増加となり、経営を圧迫したことが分かります。

 金額に換算すると、医業収益は6689万9000円増加していますが、費用の増加幅はこれを上回る9382万9000円で、医業に限定した収支の状況を示す「医業収益対医療利益率」は1.5ポイント減の1.8%、「経常収益対経常利益率」は1.3ポイント減の2.3%と悪化しました。

 このため、赤字病院が39.2%を占め(9.0ポイントの大幅増)、過去5年間で最も厳しい状況です。

 財務状況に目を移すと、「固定資産」や「固定負債」「減価償却費」が増加していることから、WAMは「設備投資が継続して行われている。14年4月の消費税率引き上げを視野に入れた駆け込み投資もあったのではないか」と見ています。

療養型病院も経営状況は過去5年間で最も厳しい

 次に、療養型病院の「100床当たり収支状況」を見てみましょう。

 収益面では、入院収益は1.3%増加しましたが、外来収益は3.5%減少し、医業収益は0.6%の増加にとどまりました。

 費用面を見ると、医療材料費は3.4%、給食材料費は0.6%減少しましたが、人件費が2.1%、経費が1.1%、減価償却費が0.5%増加したため、医業費用は全体で1.2%増加しています。

 これらを金額に換算すると、医業収益は609万4000円増加しましたが、医業費用の増加幅がこれを上回る1031万2000円だったため、「医業収益対医療利益率」は0.5ポイント悪化し5.4%、「経常収益対経常利益率」は0.4ポイント悪化して6.0%となりました。

 赤字病院の割合は21.5%で、0.4ポイント増えています。こちらも過去5年間で最も厳しいことが分かります。

 財務状況からは、「大規模投資は行われず、手元現預金の範囲内での投資にとどまっている」とWAMは推測しています。

100床あたりの医業収支を見ると、一般、療養ともに人件費や経費が増加し経営を圧迫している状況がうかがえる

100床あたりの医業収支を見ると、一般、療養ともに人件費や経費が増加し経営を圧迫している状況がうかがえる

赤字病院の割合は年々増加し、2013年度は、一般病院では約4割、療養型病院では約2割が赤字

赤字病院の割合は年々増加し、2013年度は、一般病院では約4割、療養型病院では約2割が赤字

回復期リハ病床の割合高まると利益率も高まる傾向

 WAMでは、回復期リハビリテーション病棟を届け出ている病院にも注目しています。回復期リハ病棟の整備が進んで地域によっては目標を上回っており、競争が激化していると考えられるためです。

 「全病床に占める回復期リハ病床の割合と、経常利益率」との関係をWAMが見たところ、病床規模に関わらず、「回復期リハ病床の割合が高まると経常利益率が高まる傾向がある」ことが分かりました。

 特に100-199床規模では、回復期リハ病床の割合が80%以上の病院で経常利益率が13.9%と非常に高くなっています。

「回復期リハ病床の割合」と「経常利益率」の関係、回復期リハ割合の高い病院では経常利益率が高いことがうかがえる

「回復期リハ病床の割合」と「経常利益率」の関係、回復期リハ割合の高い病院では経常利益率が高いことがうかがえる

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