サ高住に医療・介護、三者合同の「医療・介護連携」研修を―東京都
2015.3.10.(火)
地域包括ケアシステムの構築などによる切れ目のない医療・介護サービスの提供が求められています。そうした中で東京都は「サービス付き高齢者向け住宅における医療・介護連携のガイドライン」を9日に公表しました。
ガイドラインには、「サ高住と連携先の医療・介護サービスとの日常のコミュニケーションを図るために、打ち合わせの場所が確保されているか」「連携を調整するための専門的人材が配置されているか」「連携の質を高めるために、サ高住・医療・介護の三者合同研修を実施しているか」などが定められています。
サ高住は、高齢者向けの賃貸住宅か有料老人ホームのうち「状況把握サービス」「生活相談サービス」「福祉サービス」を提供する住宅です。住宅ごとに都道府県知事の登録を受ける必要があり、知事は構造やサービスが基準に合致しているかどうかを審査します。地域包括ケアシステムの中では、高齢者の生活の基盤である「住まい」が最重要項目の一つに位置付けられており、高齢者の「住まい」としてサ高住の整備が全国で進められています。
都内には2015年3月1日現在、サ高住が257件・6923戸登録されています。多くのサ高住では医療機関や介護事業所と連携して高齢者の生活をサポートしていますが、連携の方法や内容には大きな差異があります。
そこで都は、「サ高住における医療・介護連携の質の確保・向上を図る」ためにガイドラインを策定しました。
ガイドラインで示された連携のポイントは次の5点です。
(1)医療・介護連携の前提条件
(2)立地・建物の構造
(3)人員の配置
(4)連携の手段(情報共有)
(5)医療・介護連携の質を向上させるための取り組み
(1)は医療・介護連携を進めるために、▽入居者による医療・介護サービス選択の自由が確保され、それが入居者の状態や意向を反映している▽サ高住が地域のニーズを把握する▽連携先の事業所が地域の医療・介護資源として機能している▽サ高住・連携先事業所間で共有する入居者の個人情報の保護が担保されている-という前提条件の確認を求めるものです。
また(2)では、サ高住と連携先の事業所が日常のコミュニケーションや情報共有を図りやすく、かつ入居者に医療・介護サービスを提供しやすい立地や構造になっているかの確認を求めています。具体的には、▽併設する医療・介護事業所と事務所を共用する▽連携先の事業所と打ち合わせする場所がある▽居室が医療・介護業務に適したつくりになっている―ことなどを確認する必要があります。
(3)の人員配置については、▽サ高住と連携先事業所に、入居者に必要なサービス提供に適した専門的人材を確保する▽連携先事業所との連携調整担当者をサ高住に配置する-ことが求められています。
さらに(5)では、▽サ高住・医療・介護の三者が合同で研修を実施する▽サ高住職員や連携先事業所の職員が「看取り」の研修を受ける▽自治体が主催する「在宅療養連携推進協議会」などに参加する-ことが必要となります。
都は、サ高住ごとにガイドラインの順守状況をホームページ上で公表する方針で、ほかの地域でもこうした取り組みが進むことが予想されます。