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パクリタキセルによる胃がん治療、新たな投与方法を保険上認める―厚労省

2015.3.11.(水)

 厚生労働省は5日、抗がん剤である「パクリタキセル」(販売名:タキソール注射液30ミリグラムほか)を胃がん治療について、新たな投与方法の保険償還を特例的に認めました。

 具体的には、「1日1回、成人患者の体表面積(平方メートル)当たり80ミリグラムを1時間かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、少なくとも2週間休薬する」ことを1クールとして投与を繰り返す方法(E法)について、同日から保険償還が可能となっています。

点滴イメージP

公知申請可能と判断された時点で、特例保険収載

 わが国では、先進諸国に比べて「新薬(効能追加を含む)が患者の治療に使えるようになるまでの期間が長い」と指摘されます(いわゆるドラッグラグ)。厚労省は、このラグを解消するために▽医薬品の審査体制の強化▽事前相談体制の整備―など、さまざまな対策を取っています。

 その一つとして、医療保険制度の面からドラッグラグを解消するために「『公知申請を行ってもよい』と薬事・食品衛生審議会が判断した時点で特例的に保険償還を認める」という仕組みの創設が2010年に中央社会保険医療協議会で決まりました。

 「公知申請」とは、A疾病への効能効果があると認められた医薬品を別のB疾病に使う際に、改めて治験などをせず、外国の文献など(公知)を根拠に審査承認に向けた申請を行えるという制度です。

 医薬品の保険償還が認められるためには、薬食審で「この疾病の治療に効能効果がある」と承認されることが前提ですが、「公知申請を行ってもよい」と薬食審が判断した場合、ほぼ確実に承認されていることから特例が設けられることとなりました。▽治験期間▽薬食審の審査期間▽中医協での保険収載に向けた審査期間―を経ずに保険治療が可能となるため、難しい疾病と闘う患者にとって重要な特例です。

欧米で行われるパクリタキセルの投与方法を学会が要望

 パクリタキセルは卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、子宮体がんなどに効能・効果が認められています。

 胃がん治療においては、これまで「1日1回、成人患者の体表面積(平方メートル)当たり210ミリグラムを3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する」ことを1クールとして投与を繰り返す方法(A法)のみで保険償還が可能でした。

 今回、日本臨床腫瘍学会から「『1日1回、成人患者の体表面積(平方メートル)当たり80ミリグラムを1時間かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、少なくとも2週間休薬する』を1クールとして、投与を繰り返す方法(E法)について、欧米では標準的な治療法の一つとなっている(公知がある)」との指摘があり、薬食審で「公知申請を行ってよい」と判断されました。

 そのため、胃がんに対するE法でのパクリタキセル投与が5日から特例的に保険償還可能となっています。

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