地域包括ケア病棟の手術、出来高算定を要望へ―日慢協「7対1からの移行促進を」
2015.3.13.(金)
日本慢性期医療協会は12日に定例記者会見を開き、2016年度の次期診療報酬改定に向けて、(1)回復期リハビリテーション病棟の算定日数上限を半減する(2)療養病棟で看護職員を加配した場合の加算を創設する(3)地域包括ケア病棟・病床で行う手術の診療報酬は包括外(出来高算定)とする-ことなどを要望していく考えを明らかにしました。
また障害者施設や特殊疾患病棟について、「長期入院が必要な難病患者に対して十分な療養環境を整備する必要がある」との考えも強調しています。
16年度改定に向けた要望項目は、同協会の常任理事会などで継続して詰めていき、夏ごろに最終的な要望を行うことになる見込みです。
同協会の武久洋三会長は、この日の会見で要望の第1弾として次の3項目が概ねまとまったことを明らかにしました。
(1)回復期リハビリテーション病棟の算定日数上限を半減する
(2)療養病棟において看護職員を加配(たとえば15対1)した場合の加算を創設する
(3)地域包括ケア病棟・病床において手術は包括外(出来高算定)とする
このうち(1)について武久会長は、「データはないが、急性期から回復期への早期移行が促進され、早い段階で充実したリハを提供できるようになってきている。漫然と算定日数上限までリハを続けていたのでは在宅復帰が難しくなってしまう」と強調しています。
また(3)の地域包括ケア病棟・病床では現在、手術料が包括されています。このため、「手術が必要な患者に対応するために、7対1や10対1の一般病棟を継続せざるを得ない病院が少なくない」と武久会長は指摘。その上で、「7対1から地域包括ケアへの移行が十分に進んでいない面もあるのではないか。手術は出来高算定とすべきである」との考えを述べています。
また、次期改定では「障害者施設等入院基本料」や「特殊疾患入院医療管理料」の見直しも予想されています。
この点に関連して武久会長は、「障害者施設や特殊疾患病棟は、一般病棟での設置が原則で、療養病床では認められていない。しかし、長期の入院が不可欠となるこれらの病棟では、一般病棟の構造基準である4.3平方メートルでは療養環境が不十分である。近い将来、6.4平方メートル・4人部屋を原則とし、それに満たない病棟では減算を行うべきである」との考えを明らかにしました。
ところで同協会は、役員関連の68病院(1万3119床で機能を報告済み)を対象に、病床機能報告制度での報告状況や地域包括ケア病棟に関するアンケート調査を実施しています。その速報値も報告され、次のようなことが明らかになりました。
▽病床機能報告制度において、高度急性期として3病床(0.0%)、急性期として1142病床(8.7%)、回復期として3288病床(25.1%)、慢性期として8686病床(66.2%)と報告。高度急性期と報告したのは「脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SUC)」を届け出ている3床
▽地域包括ケアは20病院(29.4%)が届け出済み、31病院(45.6%)で検討中、17病院(25.0%)で届け出の予定なし
▽地域包括ケア(全体で659床)の内訳は、病棟単位の入院料1が9病院・438床、病棟単位の入院料2が3病院・100床、病室単位の入院管理料1が7病院・98床、病室単位の入院管理料2が1病院・23床
▽「在宅復帰機能強化加算」は看護配置「20対1」の病院の55.8%(29病院)で算定
▽「データ提出加算」(DPCデータの提出)は43.1%の病院で届け出
▽「在宅療養後方支援病院」は、200床以上の24病院のうち25.0%(6病院)で届け出
なお、15年度介護報酬改定に対して武久会長は「特別な対応はとらず、地域のニーズに適切に応えていくことが重要」との考えを強調しています。これは、「重度者を受け入れて軽度者の受け入れを拒めば、地域で介護予防が必要な人のニーズに応えないことになってしまう」ことを危惧したものだと武久会長は説明しました。
さらに武久会長は、介護施設における看取り推進に関連し、「肺炎など治る疾病の治療をおろそかにすることがあってはいけない」と警鐘を鳴らしました。