がん診療連携拠点病院の空白地域、わずかだが減少の見込み―厚労省検討会
2015.3.16.(月)
がん診療連携拠点病院として新たな施設を指定すべきとして、18の都道府県から34施設が推薦されました。今月1日現在、がん診療連携拠点病院が指定されていない、いわゆる「空白地帯」とされる二次医療圏は104ありますが、このうち7医療圏内の病院も推薦されており、空白地帯がわずかながら減少する見込みです。
これは13日に開かれた「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」で示されたもので、▽がん診療連携拠点病院に12施設▽特定領域がん診療連携拠点病院に1施設▽地域がん診療病院に21施設―が推薦されました。これらを指定するかどうかは、審議の上、近く公表されます。
空白医療圏で「がん診療連携拠点病院」として推薦された病院は次の7施設で、カッコ内は都道府県と二次医療圏です(以下、同)。
(1)みやぎ県南中核病院(宮城、仙南)
(2)株式会社日立製作所ひたちなか総合病院(茨城、常陸太田・ひたちなか)
(3)日本医科大学千葉北総病院(千葉、印旛)
(4)北信総合病院(長野、北信)
(5)半田市立半田病院(愛知、知多半島)
(6)愛知県がんセンター 愛知病院(愛知、西三河南部東)
(7)済生会下関総合病院(山口、下関)
また、がん診療連携拠点病院がある医療圏で、新たに推薦された病院は次の5施設です。
▽戸田中央総合病院(埼玉、南部)
▽社会福祉法人 三井記念病院(東京、区中央部)
▽大阪警察病院(大阪、大阪市)
▽八尾市立病院(同、中河内)
▽西神戸医療センター(兵庫、神戸)
がん診療連携拠点病院については、より質の高い医療を提供するため1月から基準が厳格化されています。例えば、▽手術療法を行う常勤医師の配置を求める▽放射線治療を行う医師を、これまでの「専任」から「専従」に厳格化する▽放射線診断を行う専任の常勤医師の配置を求める▽病理診断を行う常勤医師の配置を求める▽治療実績として、「院内がん登録500件以上」「悪性腫瘍の手術400件以上」「がん化学療法の患者延べ1000人以上」「放射線治療の患者延べ200人以上」などの要件を満たす▽緩和ケアチームに専従の看護師(がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師など)を配置し、診断時からの外来・病棟での系統的な苦痛のスクリーニングを義務化する―などが新たに盛り込まれています。
厚労省は、拠点病院ごとの診療実績を検討会に提示しました。それによると、これらの実績要件を満たしていない拠点病院が少なくないことが明らかになりました。これらの拠点病院の指定を取り消すかどうかはさらに調整されます。
がん診療連携拠点病院が指定されていない約100の空白医療圏でも質の高いがん診療を提供できるようにするため、厚労省は「拠点病院の要件をすべては満たさないものの、拠点病院に準じた体制・実績を持つ病院」を「地域がん診療病院」として指定しています。
今回、新たに次の21病院が「地域がん診療病院」に推薦されました。
▽秋田県厚生農業協同組合連合会 山本組合総合病院(秋田、能代・山本)
▽秋田県厚生農業協同組合連合会 由利組合総合病院(同、由利本荘・にかほ)
▽雄勝中央病院(同、湯沢・雄勝)
▽さんむ医療センター(千葉、山武長生夷隅)
▽東京女子医科大学東医療センター(東京、区東北部)
▽山梨厚生病院(山梨、峡東)
▽高島市民病院(滋賀、湖西)
▽北部医療センター(京都、丹後)
▽公立南丹病院(同、南丹)
▽第二岡本総合病院(同、山城北)
▽京都山城総合医療センター(同、山城南)
▽金田病院(岡山、真庭)
▽医療法人清梁会 高梁中央病院(同、高梁・新見)
▽都志見病院(山口、萩)
▽長門総合病院(同、長門)
▽県立三好病院(徳島、西部)
▽出水郡医師会広域医療センター(鹿児島、出水)
▽田上病院(同、熊毛)
▽北部地区医師会病院(沖縄、北部)
▽県立宮古病院(同、宮古)
▽沖縄県立八重山病院(同、八重山)
「地域がん診療病院」の要件は、がん診療連携拠点病院のものに準じますが、実績や人員配置などの項目が緩和されています。
このほか厚労省は、がん医療のさらなる高度化を図るために「特定領域がん診療連携拠点病院」の指定も行っています。今回は胃がん、大腸がん、肝がんの治療で優れた体制・実績を持つ鹿児島県の「南風病院」が推薦されました。
「地域がん診療病院」と「特定領域がん診療連携拠点病院」も、DPCの機能評価係数Ⅱ(地域医療係数)で評価されます。
患者の死亡を受けていずれも調査中の▽群馬大病院(前橋市)▽千葉県がんセンター(千葉市中央区)▽東京女子医大病院(東京都新宿区)―の3病院の指定更新は最終的な判断を厚労相に委ねることになりました。