介護保険の上乗せサービス受給、17保険者で容認―14年度介護保険事務調査
2015.3.17.(火)
厚生労働省が16日に発表した2014年度の「介護保険事務調査の集計結果」によりますと、独自に「上乗せサービス受給」を可能としている保険者が17あるほか、地域密着型サービスの報酬を独自に設定している保険者が23あることなどが分かりました。
介護保険事務調査は、毎年4月1日現在の(1)介護保険料(2)要介護認定(3)地域支援事業(4)給付―などを集計したものです。
まず(1)の保険料について見てみると、65歳以上の第1号被保険者では、年金から保険料を天引きする「特別徴収対象者」は約2840万人、振り込みなどで保険料を納める「普通徴収対象者」は約384万人で、第1号被保険者の88%が特別徴収の対象となっています。
低所得者の保険料を減免している保険者は512で、全1579保険者の32.4%を占めました。
ところで介護保険制度には、保険料を減免する場合、▽収入のみに着目して一律に減免するのではなく、負担能力を個別に判断して減免する▽全額免除は行わず、減額にとどめる▽保険料を減免しても、市町村の一般会計からの財源の繰り入れは行わない―という「3原則」があります。保険料の減免を行っている512保険者のうち、この3原則を守っているのは481(93.9%)でした。3原則を順守している保険者の割合は増加傾向にあります。
(2)の要介護認定については、認定調査を直接調査している市町村が1720(調査件数は172万7000件)、事務受託法人へ委託している市町村が348(同29万4000件)で、委託割合が増加しています。
なお、地域密着型サービスについては、事業所の乱立による「共倒れ」を防ぐために、サービス提供事業所の指定が行われるケースがあります。この事業所の指定を公募制で実施している保険者は384あり、内訳は▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護が162▽小規模多機能型居宅介護が342▽複合型サービスが131―という状況です。
また介護費の伸びを適正な水準に抑えるために、「介護が必要な状態(要介護状態)にならないような予防施策(地域支援事業)」が重視されています。
(3)の地域支援事業の実施状況を見ると、認知症高齢者の見守り事業など「家族介護支援事業」を行っている市町村は延べ1018、「福祉用具・住宅改修支援事業」は延べ972、介護サービスの質向上などを目的とした「地域自立生活支援事業」を実施しているのは延べ770に上っています(重複あり)。
(4)の給付については、地域によっては介護サービスが不足するところもあるため、介護保険法の厳格な基準は満たせないものの、設備や人員体制を一定程度整備し、「介護サービス提供を適切に行える」と市町村が自ら認めた事業所を介護保険の適用対象とすることができます(基準該当サービス)。
この基準該当サービスを実施しているのは289の保険者で、全体の18.3%。サービスごとの件数の内訳は、▽訪問介護で102▽通所介護で76▽福祉用具貸与で32▽短期入所で139▽介護予防訪問介護で72▽介護予防通所介護で71▽介護予防福祉用具貸与で29▽介護予防短期入所で95―などとなりました。また、被保険者に対して介護サービスの利用券(バウチャー)を事前に交付し、これに基づいてサービスを受ける(現物給付)という仕組みを採用している保険者は11あります。
さらに介護保険では、医療保険と異なり、市町村独自のサービスなどを追加で行うことも認められています。
この独自サービスの実施状況を見ると、▽地域密着型サービスに市町村独自の報酬を設定しているのは23保険者▽支給限度基準額(要介護度別に、利用者が保険を使える毎月の限度額)を上乗せしているのは17保険者―などとなっています。