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GemMed塾 看護モニタリング

救急医療管理加算の「重篤状態の例示なし」20.8%、後発薬の使用割合49%に―14年度改定結果検証調査

2015.3.18.(水)

 2014年度の診療報酬改定を受け、患者の重篤状態が例示されていない「救急医療管理加算2」の算定が、加算全体の20.8%となっていることが分かりました。また、14年9月の後発医薬品の使用割合は、病院全体では平均49.0%、DPCのI群病院で47.9%、Ⅱ群病院で64.1%、Ⅲ群病院で61.0%となっています。

 これは、14年度の報酬改定の結果を検証した調査(後発薬の使用促進の影響および実施状況調査)で分かったもので、18日の中央社会保険医療協議会・診療報酬改定結果検証部会と総会に報告されました。

3月18日に開催された、「第293回 中央社会保険医療協議会・総会」

3月18日に開催された、「第293回 中央社会保険医療協議会・総会」

診療報酬改定の効果を調べ、次期改定に反映

 診療報酬改定においては、改定後にその影響・効果を調べ、中医協の議論で設定された改定の目的が達成されているかどうか、項目を絞って検証し、その結果は次の改定に生かすことになっています。14年度の改定の検証は、効果が早く表れると想定される項目を14年度に調査、それ以外を15年度に調査することになっています。

 14年度には、(1)同一日同一建物の訪問診療等の適正化(2)機能強化型訪問看護ステーションの実態など(3)精神科医療の実施状況(4)救急医療管理加算等の見直しによる影響など(5)夜間の看護要員配置の評価など医療従事者の負担軽減措置の実施状況(6)後発医薬品の使用促進策―の6項目の調査が行われています。

 18日には、(3)の「精神医療」と(4)の「救急医療」、(6)の「後発医薬品」について、調査結果の速報が報告されています。

救急医療管理加算2、脳梗塞や肺炎患者で算定多い

 14年度改定では、救急医療管理加算について意識障害などの重篤な状態が例示されている「加算1」と、加算1の状態に準ずる状態である「加算2」に区分され、「加算2」の点数は半減されました。これは、「準ずる状態」という文言を逆手にとった不適切な事例が数多くあったためです。

 

 ちなみに「加算2」の準ずる状態とは、「医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者」をいい、入院時に重篤な状態であれば算定できます(算定期間中継続している必要はない)。

 今回の調査では、救急医療管理加算全体に占める「加算2」の割合が改定後の14年4-6月に20.8%だったことが分かりました。「加算2」を算定した患者の傷病は多岐にわたりますが、▽脳梗塞▽肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎▽ヘルニアの記載のない腸閉塞▽胆管(肝内外)結石、胆管炎▽腎臓または尿路の感染症▽狭心症、慢性虚血性心疾患▽早産、切迫早産への対応―などが目立ちます。

救急医療管理加算のうち、「加算2」の算定割合は20.8%

救急医療管理加算のうち、「加算2」の算定割合は20.8%

結果検証2 150318
結果検証3 150318

 また、救急患者の受け入れ対応については、救命救急センターを持つ医療機関では、すべての傷病を原則として受け入れる所が8割以上ですが、二次救急医療機関では疾病によって受け入れ状況が異なり、▽重症外傷▽身体疾患と精神疾患の合併▽小児▽周産期―の患者を原則として受け入れる所は3割程度にとどまっています。

 受け入れを断る理由については、「専門外で対応が難しい」という回答が多くなっていますが、「軽症であった」ケースも一定程度あり、国民・患者の安易な救急医療機関利用の是正も検討課題となってきそうです。

DPCⅡ群病院、後発薬割合が64.1%に

 後発薬については、政府が一丸となって使用を促進する方針が打ち出されており、13年4月には「数量シェアを18年度末までに新指標で60%以上とする」ことを柱とする『後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ』が策定されています。

 このため14年度改定では、次のような促進策が盛り込まれました。

▽後発医薬品調剤体制加算の要件を整理し、(1)新指標で後発品割合55%以上の「加算1」(2)新指標で65%以上の「加算2」―とする(従前の「加算3」は廃止)

▽一般名処方における「後発薬」選択の明確化

▽DPCの機能評価係数Ⅱに「後発医薬品係数」を新規に導入

 最後の「DPC後発薬係数」は、もともと薬剤費を包括しているDPC制度で、後発薬の使用に二重のインセンティブを与えるもので、病院における使用割合は表の通りです。特にDPCのⅡ群病院で高くなっていることが分かります。

DPCのⅡ群病院では2014年9月に後発品割合が平均64.1%となる

DPCのⅡ群病院では2014年9月に後発品割合が平均64.1%となる

 また、薬局の薬剤師は後発薬の使用を進めるために、「後発薬の銘柄指定をしない」「患者が後発薬を希望する場合に、処方せんを変更不可としない」「一般名処方とする」ことなどを医師に求めています。

 一方、医師は、後発薬の銘柄指定を行う理由として「特定の銘柄以外の後発薬の品質に疑問がある」ことをあげています。

 また、年代に限らず患者の5-6割は後発薬の使用を望んでいますが、「効き目や副作用に不安がある」として後発薬を望まない患者も1割程度いることが改めて浮き彫りになっています。

精神科医療では平均在院日数の短縮目立つ

 精神科医療については、「在院日数の短縮」と「地域移行」が大きな課題で、14年度改定では、▽精神科救急における「医師を16対1で配置」した場合の加算の創設▽精神科療養病棟などにおける精神保健福祉士配置に対する加算の創設▽重症者に対して24時間体制の多職種チームで在宅医療を行う場合の評価の新設▽向精神薬の多剤投与を行った場合の薬剤料などの減算―などが行われました。

 この結果、精神科での平均在院日数(精神科急性期医療施設)は、13年10月から14年10月にかけて▽精神病床全体では2301.0日から220.3日へ▽精神病棟入院基本料では505.0日から463.3日へ▽精神療養病棟入院料では136.2日から127.2日へ―と短縮していることが明らかになっています。

精神医療の平均在院日数は、2014年度診療報酬改定後に短縮傾向にある(その1)

精神医療の平均在院日数は、2014年度診療報酬改定後に短縮傾向にある(その1)

精神医療の平均在院日数は、2014年度診療報酬改定後に短縮傾向にある(その2)

精神医療の平均在院日数は、2014年度診療報酬改定後に短縮傾向にある(その2)

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