マタハラ「世界の勇気ある女性賞」に、医療現場でも対策を
2015.3.25.(水)
米国の国務省は、「マタハラnet」の創設者である小酒部(おさかべ) さやかさんが「世界の勇気ある女性賞(International Women of CourageAward2015)」を受賞したことを発表しました。この賞は、米国の国務省が人権擁護や女性の地位向上などに貢献した女性を表彰するものです。小酒部さんのほか、シリアの人権活動家や、エボラ出血熱のウイルスに感染しながら治療に取り組んだギニアの看護師などが選ばれています。
小酒部さんは、妊娠・出産をした女性に対する職場での不当な扱い、いわゆる「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」に悩む人たちをサポートするため、「マタニティ・ハラスメント対策ネットワーク」(マタハラnet)を2014年7月に設立し、支援活動を行っています。「マタハラnet」を立ち上げたきっかけは、小酒部さんが、直属の上司から受けたマタハラが原因で2回も流産したことでした。
「マタハラnet」の公式ホームページによると、「マタハラ」は、「昭和の価値観押し付け方」「いじめ型」「パワハラ型」「追い出し型」という4つに分けられるそうです。これらの類型を象徴するセリフなどがそれぞれあり、それには悪意があるものからないものまであります(図表参照)。
医療現場は、女性が多い職場です。人材を確保していく上でも、「マタハラ」対策など、女性が働きやすい環境を整備していくことは重要ですが、実際はどうなのでしょうか。
日本医療労働組合連合会(ホームページはこちら)が、妊娠時の状況を他職種と比較した調査結果によると、看護師は一般事務職員や介護職員などと比べ、妊娠の経過が「順調」な人が少なく、「切迫流産」になった人もほかの職種よりも多かったそうです。
また、昨年10月、広島の病院で妊娠を理由に降格された理学療法士の女性が「男女雇用機会均等法に違反する」と病院を訴えていた裁判では、病院側が最高裁判所で敗訴しました。「マタハラ」の違法性が裁判で認められた初めてのケースです。
小酒部さんの受賞によって、「マタハラ」という言葉は今後、一層浸透して、妊娠時・出産後の働く女性に対する職場での環境整備は、今まで以上に注目されるでしょう。女性の力が必要とされる医療現場だからこそ、働く女性に優しい職場づくりを推進していくべきではないでしょうか。