抗がん剤サイラムザ、リムパーザの効能効果拡大、奏効可能性を検査で確認し、その旨をレセプトに記載―厚労省
2019.6.21.(金)
抗がん剤「サイラムザ」「リムパーザ」について、新たながん種への効能・効果追加が認められた。ただし、対象となる患者には一定の限定があることから、必要な検査により「これらの薬剤投与の奏効する可能性のある」ことを確認するとともに、保険診療上は、その旨をレセプトに記載する必要がある―。
厚生労働省は6月18日に通知「医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。
サイラムザは肝臓がんに、リムパーザは卵巣がんの維持療法に用いることが可能に
「サイラムザ点滴静注液100mg」「同点滴静注液500mg」(一般名:ラムシルマブ(遺伝子組換え))は、これまでに▼治癒切除不能な進行・再発の胃がん▼治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん―に対する効能・効果が認められています。
さらに今般、新たに「がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がん」に対する効能・効果追加が認められました。
この点、使用上の注意において「本剤使用にあたっては、初回投与時の血清AFP値に基づき適応患者の選択を行う」とされていることを踏まえ、保険診療で用いる場合には、本製剤の投与開始に当たり、▼AFPの検査値▼当該検査の実施年月日―をレセプトの摘要欄に記入することが求められます。
なお本剤を肝細胞がんに使用する場合の適正使用レターが、「サイラムザ肝細胞癌適正使用アドバイザリーボードメンバー」から示されています(日本肝臓学会のサイトはこちら)。医療現場では、この情報にも留意が必要です。
また「リムパーザ錠100mg」「同錠150mg」(一般名:オラパリブ)は、これまでに▼白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法▼がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発の乳がん―に対する効能・効果が認められています(関連記事はこちら)。
さらに今般、新たに「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」への効能・効果追加が認められました。
この点、本剤の使用上の注意では、次のように「対象患者を限定」しています。
▼「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発の乳がん」治療に用いる場合
→「承認された体外診断薬等を用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異またはその疑い)を有することが確認された患者」に投与する
▼「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」に用いる場合
→「承認された体外診断薬等を用いた検査により、BRCA遺伝子変異を有することが確認された患者」に投与する
これを受け、保険診療で本剤を用いる場合には、「BRCA遺伝子変異を確認した検査の実施年月日」をレセプトの摘要欄に記入する(当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載する、本剤の初回投与では必ず実施年月日を記載する)ことが求められます。
レセプトの記載が不十分な場合、査定等の対象となる可能性がありますので、その点もご留意ください。
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