災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は82.2%―14年「病院の耐震改修状況調査」結果
2015.3.31.(火)
厚生労働省が31日に発表した、2014年の「病院の耐震改修状況調査の結果」によりますと、病院の耐震化は前年度に比べて2.8ポイント増加し67.0%となり、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は前年度に比べて3.4ポイント増加の82.2%であることが分かりました。
東日本大震災を契機に、病院の耐震化が非常に重要な課題となっています。地震発生時に病院の倒壊・崩壊を防ぎ、入院患者の安全を確保しながら被災者に適切な医療を提供することが震災時に求められるためです。厚労省は09年度から「医療施設耐震化臨時特例交付金」を設け、この資金をもとに病院の耐震整備に補助を行う基金を都道府県に設置しています。
14年度には、災害拠点病院、救命救急センター、2次救急医療機関、耐震性の低い施設の耐震整備を行うため、医療提供体制施設整備交付金の予算額を15億円追加計上しています。
14年の病院全体の耐震化状況を見ると、次のようになりました。
▽「全ての建物に耐震性のある」病院数が全病院数に占める割合(耐震化率)は67.0%(5687施設)で、前年に比べて2.8ポイント増)
▽「一部の建物に耐震性がある」病院は8.6%(729施設)で、同じく0.5ポイント減
▽「全ての建物に耐震性がない」病院は1.4%(122施設)で、前年から増減なし
▽「建物の耐震性が不明」な病院は23.0%(1955施設)で、前年から2.3ポイント減
耐震化率は、05年には36.4%でしたので、6年間で30.6%上昇しました。交付金・基金を活用した耐震化整備が着実に進んでいることが伺えます。
都道府県別に見ると、耐震化率が高いのは宮城(87.3%)、滋賀(86.2%)、山梨(81.7%)などで、逆に低いのは京都(56.6%)、福島(57.5%)、大阪(58.3%)などです。
次に、災害拠点病院・救命救急センターに絞って耐震化状況を見ると、次のようになっています。
▽「全ての建物に耐震性のある」病院数が全病院数に占める割合(耐震化率)は82.2%(568施設)で、前年に比べて3.4ポイント増加
▽「一部の建物に耐震性がある」病院は12.9%(89施設)で、同じく2.2ポイント減少
▽「全ての建物に耐震性がない」病院は0.7%(5施設)で、同じく0.3ポイント増加
▽「建物の耐震性が不明」な病院は4.2%(29施設)で、同じく0.7ポイント減少
都道府県別に見ると、耐震化率が高いのは石川、福井、滋賀、和歌山、高知(いずれも100%)などで、逆に低いのは岡山(44.4%)、福島(50.0%)、栃木(55.6%)などです。
厚労省は、「15年度末には、災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は85.2%(26年に比べて3.0ポイント増加)となる」と見通しています。
なお、報道されている「東洋ゴム工業株式会社が製造した免震材料(大臣認定不適合製品)」を使用している建築物は、現在2病院が判明しており、耐震性の有無は確認中となっています。