看護師の離職率、常勤は11%、新卒は7.5%、小規模病院で高水準―日看協調査
2015.4.1.(水)
2013年度における病院看護職員の離職率は常勤で11.0%、新卒で7.5%となり、小規模な病院ほど離職率が高いことなどが、日本看護協会の調査から明らかになりました。
日看協は、病院看護師の労働環境などを把握するために「病院における看護職員需給調査」を、1995年から毎年実施。2014年調査の速報値を31日に公表しました。
まず病院看護職員の離職率を見ると、13年度は、常勤では11.0%で前年度から変化していません。新卒に限ると7.5%で、前年度から0.4ポイント改善しています。
病床規模別に見ると、常勤では▽500床以上で10.3%▽400-499床で9.8%▽300-399床で11.0%▽200-299床で11.9%▽100-199床で11.9%▽20-99床で13.2%―となっており、小規模病院ほど離職率が高い状況です。新卒では、こうした傾向がより顕著で、▽500床以上で6.9%▽400-499床で7.2%▽300-399床で6.8%▽200-299床で8.4%▽100-199床で10.0%▽20-99床で12.9%―です。
病院の設置主体別に見ると、常勤看護職員の離職率が高いのは▽個人病院の16.4%▽社会医療法人を含めた医療法人の13.4%▽その他一般社団や一般財団の11.5%―です。逆に低いのは▽都道府県・市町村立の7.6%▽日赤の8.2%▽厚生連の8.5%―などです。
また新卒の離職率を設置主体別に見ると、個人病院では19.6%に上っています。
さらに、都道府県別に離職率が高いのは、常勤では▽東京の14.6%▽神奈川の14.0%▽大阪の13.9%▽兵庫の13.3%。新卒では▽愛媛の10.9%▽栃木の10.6%▽大阪の10.2%―などとなっています。常勤看護職員については、都市部での離職率の高さが目立ちます。
次に看護職員の処遇を見ると、次のような状況が伺えます。
▽15年度採用予定の新卒看護師の予定初任給は、大卒では前年度比606円増の27万806円(うち基本給が20万4593円)、高卒+3年課程では491円増の26万2565円(うち基本給が19万7334円)
▽勤続10年、31-32歳、非管理職看護師の14年の月給は、107円増の31万8117円(うち基本給が24万3406円)
▽14年の夜勤手当は、二交代制夜勤で417円減の1万859円、三交代制深夜勤で231円減の5259円、三交代制準夜勤で209円減の4190円
また定年制を採用している病院の割合は98.5%で、内訳は▽一律定年制が91.5%▽例えば60-65歳の間で自ら退職時期を事前に選ぶ「選択定年制」が3.5%―などとなっています。一律定年制を採用する病院では、定年を60歳としている所が最も多く84.7%、次いで65歳が9.4%です。
さらに定年到達者に対して、退職せずに引き続き雇用する「勤務延長制度」を採用している病院は20.0%、いったん退職し雇用形態を変更して雇用する「再雇用制度」を採用している病院は85.9%あります。いずれでも上限年齢を65歳に設定している病院が多い状況です。
勤務延長・再雇用によって勤務している看護職員の業務(複数回答)を見ると、▽病棟スタッフが72.1%▽外来スタッフが46.2%▽看護管理者が24.8%―などが多くなっています。病床規模別に見ると、大病院では「病棟スタッフ」、小規模病院では「看護管理者」に割合が多くなります。
最後に、地域における自病院の今後の役割について看護師がどのように考えているのかを見ると、急性期や回復期、慢性期など複数の機能を持ち、地域ニーズに幅広く対応すべきだとの答えが最も多く27.3%を占めていますが、前年に比べてその割合は4.3ポイント減少しました。自病院の機能を明確にし、特定の領域に特化すべきだと考えている看護師が増えていると考えることができそうです。
また「主に高度・専門的な入院医療を提供し、重度の急性期疾患に対応する」を挙げたのは前年度から1.3ポイント減の10.8%となっています。
目立って増加している項目はありませんが、「主に急性期疾患で入院医療が必要な患者や、比較的軽度な急性期患者に対応する」「長期にわたり療養が必要な疾患・障害のある患者に対応する」がやや増加しています。
病床機能報告制度や地域医療構想など、病院・病棟の機能分化・再編が進む中で、看護師の意識も変化しつつあるのかもしれません。