一般用薬による副作用が年々増加、14年度は137件―消費者庁が注意呼び掛け
2015.4.9.(木)
消費者庁と国民国生活センターが設置する事故情報データバンクに2014年に寄せられた「一般用医薬品による副作用発生情報」が137件に上ったことが分かりました。10-14年の5年間に増加傾向にあり、消費者庁では「市販されている一般用医薬品の副作用で重症化することもある。初期症状が出たら医師・薬剤師に相談してほしい」と呼び掛けています。
消費者庁と国民生活センターは「事故情報データバンク」を10年4月に設置し、事故情報や危険情報を広く収集・分析しています。
事故情報データバンクに寄せられた「一般用薬による副作用発生情報」の件数は、10年は75件、11年は68件、12年は86件、13、14年は共に137件と増加傾向にあります。
具体的には、次のような副作用情報が寄せられています。
▽風邪薬を服用した当日に、全身にじんましんが出て「目やくちびるが垂れる」ほど腫れ上がった(70歳代、男性)
▽風邪薬(内服液)を服用したところ、尿が出なくなり、手足が腫れた(60歳代、男性)
▽漢方薬を服用してから、空咳や息苦しさがあり、下痢症状が出た(30歳代、女性)
▽ぜんそくの持病のある人が風邪薬を服用したところ、直後に症状が出て救急搬送された(60歳代、女性)
一般用薬の服用と副作用の間の因果関係は確認されていませんが、消費者庁では「市販されている一般用薬は比較的安全と考えられているが、副作用で重症化することもある。初期症状が出たら医師・薬剤師に相談してほしい」と訴えています。
消費者庁は、風邪薬や解熱消炎鎮痛剤の服用後に報告される「重篤になる可能性のある疾病」と、その「初期症状」を次のように整理し、一般国民に注意喚起しています。
▽スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症状
【初期症状】高熱、充血など目の変化(目やに、まぶたの腫れ、目が開けづらい)、粘膜の異常(くちびるや陰部のただれ、のどの痛み、排尿・排便時の痛み)、皮膚の異常(広範囲が赤くなる)など
▽解熱消炎鎮痛剤や肝障害
【初期症状】倦怠感、発熱、黄疸、発疹、吐き気・おう吐、かゆみなど
▽間質性肺炎
【初期症状】息切れ・息苦しい、空咳(コンコンとたんを伴わない咳)、発熱など
▽腎障害(急性腎不全)
【初期症状】尿の量が少なくなる、尿が出ない、むくみ、体がだるい
▽ぜんそく発作(アスピリンぜんそくなど)
【初期症状】ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー鳴る)、呼吸困難(息苦しい)など
また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に09-13年度に報告された「一般用医薬品の副作用」は1225件あり、うち15例は死亡に至っています。