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医療機関等、返品見越したインフルエンザワクチンの大量注文などは厳に慎むこと―厚労省

2019.8.21.(水)

 13歳以上の者において、インフルエンザワクチンは、医師が特に必要と認めた場合を除き、「1回接種」を原則とする。医療機関は、接種シーズン前に「前年実績を大きく上回る大量の注文」や「返品を見越した注文」などを厳に慎む。卸売販売業者は、大量注文があった場合でも、医療機関等のワクチン接種に支障が出る場合を除き、「分割納品」等を行う―。

 厚生労働省は8月13日に通知「季節性インフルエンザワクチンの供給について」を発出し、こうした点についての協力を求めました。

大量返品を行う医療機関等、名称が公表されることなどもある点に留意を

 毎冬、インフルエンザが流行し、特に高齢者等では「死亡」につながることも少なくありません。このためワクチンの予防接種が重要となりますが、例えば昨年は一時的に「ワクチン不足」が生じ、混乱も生じました。

 こうした点も踏まえ、厚労省は自治体・医療機関等・医薬品卸売販売業者等に対し、以下のような点について留意・協力を求めています。例年と同様の内容ですが、これを遵守せずに「大量にワクチンを注文し、使い切れずに返品する医療機関」や「医療機関の要請のままに大量のワクチンを一括納品する卸売販売業者」が散見され、これが一時的なワクチン不足を招く原因の1つになっていると指摘されます。自治体・医師会・医療機関等・卸売販売業者は通知内容を十分に把握し、適切に留意・協力することが求められます。

▽今冬のインフルエンザシーズンのワクチン製造予定量は、今年(2019年)7月31日時点で約2951万本(1 mL=1本として換算、前年見込みに比べ301万本の増加)と見込まれる。2016年度以降、最多の供給量であり、近年の使用量等に照らし、「ワクチンを適切に使用」すれば不足は生じないと考えられる

▽予防接種法施行令に基づく「インフルエンザの定期予防接種」の対象者(▼65歳以上の者▼60歳以上65歳未満で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に日常生活が極度に制限される程度の障害を有する者▼HIVにより免疫機能に日常生活が困難な程度の障害を有する者―)に対し、接種の機会が確保できるよう配慮する

▽13歳以上の者に係るワクチンの用法・用量は、いずれの製品でも「0.5mLを皮下に1回、またはおよそ1-4週間の間隔をおいて2回注射する」とされており、13歳以上の者が接種を受ける場合は、医師が特に必要と認める場合を除き、「1回注射」が原則である(WHOは、不活化ワクチンの用法について「9歳以上の小児、健康成人には1回注射が適切」との見解を示している)

▽製品によっては、複数回投与できるようバイアル内に十分な薬液量が充填されており、取扱い上の注意等に留意した上で「効率的な使用」に努める(すでに一部の接種液が吸引されているバイアルを使用する場合は、最初の吸引から24時間を経過した場合には廃棄する)

▽各都道府県で、市区町村・都道府県医師会・都道府県卸売販売業者団体などと協議し、▼卸売販売業者・医療機関等の在庫状況等を短期間(3日間程度)に把握することが可能な体制▼ワクチン偏在等があった場合の卸売販売業者在庫の融通方法▼接種可能な医療機関等が限定される場合の住民への周知方法―などを取り決め、必要に応じて実施する

▽ワクチンの製造販売業者・卸売販売業者は、医療機関等の関係者に「ワクチンに関する今後の製造量、納入時期」などについて、綿密な情報提供を行うよう努める

▽ワクチンの予約・注文について、▼医療機関等は、「接種シーズン開始前に、前年実績よりも大幅に多い量の納入を求める」こと、「製品のロットを指定して早期の一括納入を求める」こと、「必要以上に早期または多量の納入を求める」ことなどは厳に慎む▼卸売販売業者は、医療機関等から追加注文を受ける際は、ワクチン偏在が起こらないよう医療機関等の在庫を確認した上で、随時、必要量を供給する▼卸売販売業者は、前年に納入実績のない医療機関等からの新たな注文に対しては、全体の状況を踏まえて調整する必要があるが、新規開業医療機関等が不利とならないよう適切に配慮する―

▽ワクチンの大量注文を行う医療機関等へは、卸売販売業者は、当該医療機関等でのワクチン接種に支障ある場合を除き、「分割納入」を行い、これに医療機関等も協力する

▽医療機関等においては「返品を前提とした注文・在庫管理」を行わない。ワクチンの返品を行った医療機関等については、関係者への情報提供や公表されることがある。

▽ワクチンの供給遅滞や偏在等の原因の1つに「特定製品の指定」があり、他製品の活用も含めた地域間の融通等を行う。それでもなおワクチン供給遅滞や偏在などの問題が解消されない場合は、厚労省健康局健康課予防接種室にその状況を報告する

▽ワクチンの需給が逼迫する事態が発生した場合、必要に応じて更なる安定供給対策等の協力依頼をすることがある

 

 

 

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