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16年度診療報酬改定に向け「湿布薬の保険給付上限」などを検討―健康・医療WG

2015.4.10.(金)

 規制改革会議の下部組織である健康・医療ワーキングで、「湿布薬について、保険給付に上限を設ける」ことを論点に掲げました。2016年度に予定される診療報酬改定にも影響を与えそうです。

サリチル酸メチルなどの湿布薬、保険給付除外も検討

 政府の規制改革会議では、(1)健康・医療(2)雇用(3)農業(4)投資促進等(5)地域活性化―の5つのワーキンググループを設け、個別分野において「改革すべき規制措置」の見直しに向けた検討を行っています。

 (1)の健康・医療ワーキンググループは、7日の会合で「市販品と類似した医療用医薬品(市販品類似薬)」について、保険給付の在り方の見直しに向けた論点を示しました。これは、「市販品は全額購入者負担だが、医療用医薬品であれば1-3割の患者負担で済み、不公平がある」「医療費の高騰が国家財政を圧迫する中では、市販品に類似した医療用医薬品をすべて保険給付対象とすることは好ましくない」という考え方に基づくものです。

 このテーマについては、診療報酬改定の内容を決定する中央社会保険協議会でも議論されてきており、▽12年度改定で「単なる栄養補給目的のビタミン剤」▽14年度改定で「治療目的でないうがい薬の単独処方―が保険給付から除外されています。

 今回、ワーキンググループでは、次の2つの論点が示されました。

▽湿布薬について、保険給付に一定の上限を設ける

▽第一世代湿布薬(炎症の初期に皮膚の温熱・冷却を主目的に用いられるサリチル酸メチル、 カンフル、カプサイシン、メントールなど)の保険適用の在り方を検討する

 前者については、3月19日のワーキンググループで、健康保険組合連合会による「湿布薬剤費にはばらつきがあり、そこには『医療機関が通常より多めの処方をする』という要因が強い可能性がある」「地域差が大きく、標準化を図る必要がある」などの指摘を受けたものです。

湿布薬剤費には大きなばらつきがあり、健保連の調査によると「医療機関側の要因」が強い可能性が高い

湿布薬剤費には大きなばらつきがあり、健保連の調査によると「医療機関側の要因」が強い可能性が高い

湿布薬剤費を都道府県別に見ると、大きなばらつきがある(健保連調査)

湿布薬剤費を都道府県別に見ると、大きなばらつきがある(健保連調査)

 また後者は、同じく健保連から「第一世代湿布薬は、日本や欧米のガイドラインでは疼痛に対して第一選択薬とされておらず、ドイツ・イギリスでは保険適用されていない」「第一世代湿布薬は、類似の市販品の自己負担でも患者負担の増額は比較的少ない」といった指摘を踏まえたものです。

サリチル酸メチルなど第一世代湿布薬は、日本や欧米のガイドラインでは第一選択薬になっていない(健保連調査)

サリチル酸メチルなど第一世代湿布薬は、日本や欧米のガイドラインでは第一選択薬になっていない(健保連調査)

第一世代湿布薬を全額自己負担としても、患者の自己負担増加は大きくない(健保連調査および見解)

第一世代湿布薬を全額自己負担としても、患者の自己負担増加は大きくない(健保連調査および見解)

プロピベリンなどの一般用薬移行で医療費1500億円削減

 ワーキンググループでは、スイッチOTCと言われる「医療用から一般用へ移行した医薬品」のさらなる促進を検討するという論点も示されました。

 これも健保連から、次の6成分を一般用医薬品とした場合、「日本全体で約1500億円の医療費削減効果が見込める」との指摘を踏まえたものです。

▽プロピベリン(頻尿、尿失禁などの治療薬、バップフォー錠など)

▽精製ヒアルロン酸ナトリウム(角結膜上皮障害の治療薬、ヒアール点眼液など)

▽オメプラゾール(胃潰瘍などの治療薬、オメプラール錠など)

▽ランソプラゾール(胃潰瘍などの治療薬、タケプロンなど)

▽ラベプラゾール(胃潰瘍などの治療薬、パリエット錠など)

▽ポリカルボフィルカルシウム(過敏性大腸症候群の治療薬、コロネル錠など)

プロピベリンなど6成分を対象として、健保連が一般用薬に転換した場合の医療費削減効果を調査

プロピベリンなど6成分を対象として、健保連が一般用薬に転換した場合の医療費削減効果を調査

プロピベリンなど6成分を一般用薬に転換すると、日本全体で約1500億円の医療費削減効果が見込まれる(健保連分析)

プロピベリンなど6成分を一般用薬に転換すると、日本全体で約1500億円の医療費削減効果が見込まれる(健保連分析)

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