Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

有床診の減少スピードが再び鈍化、2019年10月に9万床、20年1月に6500施設を割る見込み―医療施設動態調査(2019年6月)

2019.9.2.(月)

 有床診療所の減少スピードは再び鈍化したようで、現在のペースが続けば今年(2019年)10月末にベッド数が9万床を切り、来年(2020年)1月末に施設数は6500を割る可能性が高い—。

 こうした状況が、厚生労働省が8月27日に公表した医療施設動態調査(2019年6月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

 

有床診の施設数、1か月当たり29施設弱のペースで減少

 厚労省は、毎月末の病院・診療所の施設数・病床数を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。

 今年(2019年)6月末の状況を見ると、全国の医療施設は17万9280施設で、前月末から72施設増加しました。

このうち病院の施設数は、前月末から6施設減少し、8318施設となりました。病院の種類別に見ると、▼一般病院:7264施設(前月から6施設減少)▼精神科病院:1054施設(同増減なし)—などという状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3679施設で前月末から7施設減少、「地域医療支援病院」は608施設で前月末から増減ありません。

地域医療支援病院については、現在、厚労省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」において承認要件見直し論議が固まり、「地域(都道府県)の判断で、医師の少ない地域への医師派遣実施などのプラスアルファ要件を追加(厳格化)できる」こととなります。早ければ来年(2020年)にも医療法改正案が国会に上程され、法成立後には、地域医療支援病院数の動向に変化が生じることも考えられます(関連記事はこちらこちら)。

 
 一方、医科診療所は10万2448施設で、前月末から52施設増加しています。無床の医科診療所が増加(前月末から61施設増加)する一方で、有床診療所は前月末から9施設減少し、6697施設となりました。
 
 有床診療所の施設数は、2年前(2017年6月末)には7380(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年6月末)には7043(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2017年6月末から2018年6月末までの1年間で337施設減少、そこから今年(2019年)6月末までの1年間で346施設減少しています。有床診療所の施設数は、2018年6月末以降、次のように推移しています。

▼2018年6月末:6996施設(再集計後)

 ↓(28施設減)

▼2018年7月末:6968施設

 ↓(20施設減)

▼2018年8月末:6948施設

 ↓(14施設減)

▼2018年9月末:6934施設

 ↓(25施設減)

▼2018年10月末:6909施設

 ↓(16施設減)

▼2018年11月末:6893施設

 ↓(26施設減)

▼2018年12月末:6867施設

 ↓(31施設減)

▼2019年1月末:6836施設

 ↓(30施設減)

▼2019年2月末:6806施設

 ↓(32施設減)

▼2019年3月末:6774施設

↓(44施設減)

▼2019年4月末:6730施設

 ↓(24施設減)

▼2019年5月末:6706施設

 ↓(9施設減)

▼2019年6月末:6697施設

 
 この1年間は、1か月当たり「29施設弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、来年(2020年)1月末に6500施設を割る計算です(先月までよりも1か月遅いペース)。

有床診のベッド数、1か月当たり386床強のペースで減少

 次に医療施設の病床数(ベッド数)を見てみましょう。医療施設全体のベッド数は、今年(2019年)6月末には162万5514床で、前月末から1064床の大幅減少となりました。

 うち病院の病床数は153万3958床で、前月末から952床減少しました。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万9124床(前月末から90床減少)▼療養病床:31万975床(同788床減)▼精神病床:32万7553床(同77床減少)—などとなっています。

療養病床の減少が再開していますが、「介護医療院(医療・介護・住まいの3機能を併せ持つ新たな介護保険施設)への転換等が思うように進んでいない」との指摘もあり、詳しい分析が必要です。

 
 また有床診療所の病床数は前月末から112床減少し、9万1498床となりました。2年前(2017年6月末)には10万240床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2018年6月末)には9万6134床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2017年6月末から2018年6月末までの1年間で4106床減少、そこから今年(2019年)6月末までの1年間で4636床減少しています。2018年6月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2018年6月末:9万5611床(再集計後)

 ↓(296床減)

▼2018年7月末:9万5315床

 ↓(286床減)

▼2018年8月末:9万5029床

 ↓(176床減)

▼2018年9月末:9万4853床

 ↓(352床減)

▼2018年10月末:9万4501床

 ↓(231床減)

▼2018年11月末:9万4270床

 ↓(374床減)

▼2018年12月末:9万3896床

 ↓(379床減)

▼2019年1月末:9万3517床

 ↓(448床減)

▼2019年2月末:9万3069床

 ↓(470床減)

▼2019年3月末:9万2599床

 ↓(669床減)

▼2019年4月末:9万1930床

 ↓(320床減)

▼2019年5月末:9万1610床

 ↓(112床減)

▼2019年6月末:9万1498床

 
 この1年間では、1か月当たり「386床強」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、今年(2019年)10月末には9万床を切る計算です(先月までに比べ1か月遅いペース)。

 
 
 厚労省は、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定論議において、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の大きく2類型に分け、後者の「地域包括ケア型」について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診の経営を下支えするために、次のような報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。
 
▼診療報酬での対応:介護サービスを提供する有床診では、高い入院基本料(入院基本料1-3)の要件を緩和し、さらに要介護者の受け入れを【介護連携加算】(新設、1日につき38点または192点)として評価する
 
▼介護報酬での対応:利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしているものとみなす

 
 今回のデータだけをみると、「この見直しの効果が再び現れた」(2018年9-11月分のデータでは「若干のブレーキ」がかかったように見えたが、その後、スピードアップ、関連記事はこちらこちらこちら)ようにも思えますが、さらにデータを追いかけて「効果の有無」を判断することが必要です。

有床診の重要性は上述したとおりで、その経営を下支えするために診療報酬等で何ができるのか、中央社会保険医療協議会で、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、今後さまざまな角度から議論していくことが期待されます(関連記事はこちらこちら)。

 

 

 

 

【関連記事】

有床診の減少スピードさらに加速、2019年9月に9万床、19年末に6500施設を割る見込み―医療施設動態調査(2019年5月)
有床診の減少スピード加速続く、2019年9月に9万床を、19年末に6500施設を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年4月)
有床診の減少スピードさらに加速、2019年9月にも9万床を割る可能性―医療施設動態調査(2019年3月)
有床診の減少スピードアップ、2019年10月にも9万床を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年2月)
有床診の減少スピードが再び上昇、2019年11月には9万床を割る可能性大―医療施設動態調査(2019年1月)
有床診の減少スピード、再び上昇に転じる―医療施設動態調査(2018年12月)
有床診減少スピードは確実に鈍化、2018年度改定の効果か―医療施設動態調査(2018年11月)
有床診の減少スピードにやはりブレーキ、2018年度改定の効果か―医療施設動態調査(2018年10月)
有床診、2018年度改定の効果か、2018年9月末には減少スピードに若干のブレーキ―医療施設動態調査(2018年9月)
有床診、2018年8月末で6948施設に、19年10月には6500施設割れの可能性も―医療施設動態調査(2018年8月)
有床診、実は2018年6月末で7000施設を割っていた―医療施設動態調査(2018年7月)
有床診の減少スピードがアップ、7043床・9万6134床に―医療施設動態調査(2018年6月)
有床診の減少止まらず、すでに7000施設を割っている可能性も、療養病床も減少傾向―医療施設動態調査(2018年5月)
新年度に入り有床診の減少ペース早まる、2018年8月には7000施設を割る可能性―医療施設動態調査(2018年4月)
有床診の減少、ベッド減少ペースは若干緩むが、施設減少ペース変わらず―医療施設動態調査(2018年3月)
有床診、2018年1月末から2月末にかけ28施設・380床の減少―医療施設動態調査(2018年2月)
有床診、2018年1月末で7194施設・9万8111床に減少―医療施設動態調査(2018年1月)
有床診、2017年末で7218施設・9万838床に減少―医療施設動態調査(2017年12月)
有床診療所の減少続く、2018年度同時改定で歯止めがかかるのか―医療施設動態調査(2017年11月)
有床診療所の減少が加速、病床数は9万8843床に―医療施設動態調査(2017年10月)
有床診療所の減少に歯止めかからず、2018年度改定の効果に期待集まる―医療施設動態調査(2017年9月)
有床診療所、ついに集計結果でも10万床を割る―医療施設動態調査(2017年8月)
有床診療所は10万19床、現時点で10万床割れは確実―医療施設動態調査(2017年7月)
有床診療所、現時点で10万床を割っている可能性大―医療施設動態調査(2017年6月)
有床診、2017年5月末に10万466床、7月に10万床切るペースで減少―医療施設動態調査(2017年5月)
有床診、新年度から減少ペース早まり、今年(2017年)7月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年4月)
有床診、現在の減少ペース続けば、今年(2017年)8月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年3月)
2017年2月、有床診は7500施設を切り7485施設に、ベッド数は10万1697床に―医療施設動態調査(2017年2月)
2016年以降、有床診は月間26施設・320床のペースで減少―医療施設動態調査(2017年1月)
有床診療所、前月に比べて施設数は25、ベッド数は287減少―医療施設動態調査(2016年12月)
有床診療所、前月に比べて施設数は30、ベッド数は367減少―医療施設動態調査(2016年11月)
一般病床数、療養病床数ともに2か月連続で3桁の減少―医療施設動態調査(2016年10月)
一般病床数、療養病床数ともに3桁の減少―医療施設動態調査(2016年9月)
有床診療所の施設数・ベッド数の減少ペースがやや鈍化―医療施設動態調査(2016年8月)
一般病床数は前月比336床増加の一方で、療養病床数は252床減少―医療施設動態調査(2016年7月)
一般病床の平均在院日数は16.5日、病床利用率は75.0%に―2015年医療施設動態調査
一般病床数は前月比977床の大幅増、精神病床は237床減―医療施設動態調査(2016年5月)
一般病床数は前月比379床増、精神病床は551床減、2016年度改定との関連の分析が必要―医療施設動態調査(2016年4月)
一般病床数が前月比1135床減、2か月連続で千床台の大幅減―医療施設動態調査(2016年3月)
一般病床数が前月から1299床の大幅減、今後の動向に注目集まる―医療施設動態調査(2016年2月)
病院の一般病床数が前月から726床減少、無床のクリニックも減少―医療施設動態調査(2016年1月)
有床診の減少止まらず7864施設に、2016年度診療報酬改定の効果のほどは?―医療施設動態調査(15年12月)
有床診の減少止まらず、2015年11月には7905施設・10万6890床に―医療施設動態調査(15年11月)
有床診の減少、依然続く、2015年10月には7927施設・10万7210床に―医療施設動態調査(15年10月)
有床診の減少止まらず、2016年度改定での対応に注目集まる―医療施設動態調査(15年9月)
有床診療所、ついに8000施設を切る―医療施設動態調査(15年8月)
病院の病床数、15年5月には156万7636床に―医療施設動態調査

内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
「有床診の介護参入」や「療養病床の転換」促す運営基準見直し案を了承―第154回介護給付費分科会(1)
病床過剰地域での有床診開設特例、調整会議で事前審査を―地域医療構想・在宅医療ワーキング(1)

 
小規模な急性期一般1で認知症患者が多い背景、回復期リハの実績評価の妥当性など検討を―中医協・基本小委
2020年度診療報酬改定に向けた議論整理、地域医療構想の実現・働き方改革・オンライン診療などで意見対立―中医協総会
スタッフの8割以上が理学療法士の訪問看護ステーション、健全な姿なのか―中医協総会
2040年にかけて人口が70%減少する地域も、医療提供体制の再構築に向け診療報酬で何ができるのか―中医協総会
CT・MRIの共同利用、医療被曝防止に向けたガイドライン活用などを診療報酬でどう進めるか―中医協総会(2)
ポリファーマシー対策を診療報酬でどう進めるか、フォーミュラリの報酬評価には慎重意見―中医協総会(1)
新規の医療技術、安全性・有効性のエビデンス構築を診療報酬で促し、適切な評価につなげよ―中医協総会(2)
オンライン診療、「有効性・安全性のエビデンス」に基づき算定要件などを議論―中医協総会(1)
医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2)
がんゲノム医療の推進に向け、遺伝子パネル検査を6月から保険収載―中医協総会(1)
外来医療の機能分化に向け、「紹介状なし患者の定額負担」「かかりつけ医機能の評価」など議論―中医協総会(2)
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)
高齢者へのフレイル・認知症・ポリファーマシ―対策、診療報酬でどうサポートすべきか―中医協総会(3)
診療報酬で生活習慣病の重症化予防、治療と仕事の両立をどう進めていくか―中医協総会(2)
遺伝子パネル検査の保険収載に向けた検討進む、C-CATへのデータ提出等を検査料の算定要件に―中医協総会(1)
「院内助産」「外来での妊産婦対応」を診療報酬でどう支援していくべきか―中医協総会(2)
2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会

 
介護医療院は2019年3月末で150施設・1万28床、大型施設の転換も―厚労省

 
特定機能病院、「第三者評価の受審」「改善状況の公表」を承認要件に―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会
特定機能病院に「第三者評価受審と指摘事項の公表」求めてはどうか、特定機能病院側は「厳しい」と反論―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(2)
地域医療支援病院、「医師の少ない地域」支援をプラスアルファ要件として設定可能に―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(1)
特定機能病院、国と異なる「プロフェッショナルの第三者」視点での評価受審を義務化してはどうか―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(2)
医師派遣機能、地域医療支援病院の「すべて」には求めるべきではない―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(1)
特定機能病院に第三者評価を義務付けるべきか―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(2)
すべての地域医療支援病院が医師派遣等の医師少数区域支援機能を持つべき―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(1)
地域医療支援病院、「在宅医療支援」「医師派遣」等の機能をどう要件化すべきか―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会
地域医療支援病院の承認要件見直しへ議論開始―厚労省・検討会

病院ダッシュボードχ 病床機能報告