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地域包括ケア病棟、在宅復帰支援について「新たな実績評価」を行うべき―地域包括ケア病棟協会

2019.9.2.(月)

 地域包括ケア病棟(病床含む、以下同)において「在宅復帰支援」機能は不可欠の要素であり、▼訪問看護の実施▼在宅医療介護連携推進事業への参画―を評価指標とする「新たな実績評価」を行うとともに、「病棟看護師が地域の訪問看護ステーションに出向く」ことを柔軟に評価すべきである。また、地域包括ケア病棟における「在宅復帰に向けたリハビリテーションマネジメント」を、介護保険の通所リハビリテーションやDPC制度などを参考にした新たな評価の仕組みを設けるべきである―。

 地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長が8月30日に記者会見を開き、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、こういった要望・提言を厚生労働省保険局医療課に宛てて行ったことを明らかにしました。

8月30日に記者会見を行い、2020年度診療報酬改定に向けた提言を公表した地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長

 

地域包括ケア病棟の看護師が、地域の訪問看護ステーションに出向ける工夫を

 地域包括ケア病棟は2014年度の診療報酬改定で新設され、(1)急性期後患者の受け入れ(いわゆるpost acute)機能(2)在宅等で療養する患者が急変した場合等の受け入れ(いわゆるsub acute)機能(3)在宅復帰支援機能―の3つの機能を併せ持つことが求められます。

 ただし、(2)のsub acute機能を十分に果たしていない病棟が少なくないことが問題視され、2018年度の前回診療報酬改定で▼自宅等からの入院患者の受け入れ▼自宅等からの緊急患者の受け入れ▼在宅医療等の提供▼看取り指針の策定―を評価指標とする「実績評価」が組み込まれました(200床未満)(関連記事はこちら)。

 
 さらに今般、地域包括ケア病棟協会では、「(3)の在宅復帰支援機能を十分に果たしてない病棟が一部にあるのではないか」との考えの下、今般、会員病院を対象に在宅復帰支援のための▼院内多職種協働▼地域内多職種協働―に関する取り組み状況などを調査。そこからは次のような状況が浮かび上がってきました(地ケア病棟協会のサイトはこちら)。

▽前者の「院内多職種協働」に関しては、▼リハビリ▼家族との退院調整▼地域ケアマネジャーとの連携―などに取り組む病院が8割を超えている一方で、▼リハビリ栄養▼ACP(Advanced Care Planning)▼ポリファーマシー対策―などに取り組む病院は3割未満と少数派である

 
▽在宅復帰支援を評価する加算等に関しては、▼入退院支援加算▼認知症ケア加算▼特別訪問看護指示料―などが7割を超えている一方で、▼薬剤総合評価調整加算▼在宅患者緊急入院診療加算▼退院前在宅療養指導管理料―は3割未満にとどまっている

▽地域包括ケア病棟で実施するリハビリの状況を見ると、「疾患別リハビリ・がん患者リハビリ」と「補完代替リハビリ」(時間・場所を問わないリハビリなど)とを組み合わせて実施している施設が少なくなく、「補完代替リハビリのみ」という施設もある


 
▽診療県内の在宅医療・介護機能の状況についての認識を見ると、「充足している」との回答は18.0%にとどまり、「分からない」(19.3%)、「未回答」(45.2%)が多い

 
 こうした状況から、「地域包括ケア病棟によって、在宅復帰支援に向けた取り組みに一定の濃淡がある」ことが分かります。また仲井会長は「地域包括ケア病棟は包括評価である。考えたくはないが、会員でない病院・病棟の中には『60日間寝かせ切りで何もしない』(包括評価ゆえ、経営的には一番『儲かる』)ところもあるかもしれない」と指摘した上で、「すべての地域包括ケア病棟で在宅復帰支援機能を果たさなければならない」と強調し、診療報酬上の見直しを行う必要があると提言しています。

まず在宅復帰に向けた「院内多職種協働」を推進するために、次の点を評価指標とする「新たな実績評価」を行う(地域包括ケア病棟入院料1-4で実績評価を行う)ことを求めています。
▼医療保険の訪問看護実施(訪問看護ステーションから実施する場合には、運営母体病院が存在する日常生活圏域内に開設されていることを要件とする)

▼在宅医療介護連携推進事業(市町村の地域支援事業の1つ)への参加(病院所在地の自治体職員、地域包括支援センターの保健師、ケアマネジャー、社会福祉士などと連携し、勤務時間内の在宅医療介護連携推進事業を推進するカンファレンスや会議等への参加を求める)

 現在、地域包括ケア病棟の「実績評価」は、上述した▼自宅等からの入院患者の受け入れ▼自宅等からの緊急患者の受け入れ▼在宅医療等の提供▼看取り指針の策定―などを実施する200床未満病院を対象に行われていますが、これとは別に「新たな実績評価」の軸を創設するよう求めるものです。

併せて、この既存の実績評価のうち「在宅医療等の提供」に関し、▼在宅患者訪問看護・指導料等の算定回数100回以上(直近3か月)▼敷地内訪問看護ステーションでの訪問看護基本療養費等の算定回数500回以上(直近3か月)―という選択要件について「緩和」を行うことも求めています。

さらに、地域包括ケア病棟の看護師が地域の訪問看護ステーションに出向いた場合等でも、一定程度(1日2時間程度)は「病棟で勤務している」ものと扱うような要件緩和も要望しています。病棟看護師と訪問看護ステーションとの連携が強化されることはもちろん、病棟看護師にとっては「訪問看護など在宅医療の実態を把握し、病棟業務に活かせる」という、訪問看護ステーションにとっては「最新の医療技術を伝授してもらえる」というメリットがあります。日本看護協会でも「病棟看護師が短期間、訪問看護ステーションに出向する」モデル事業を実施し、非常に大きな効果のあることが分かっており、非常に重要な視点と言えるでしょう。

地域包括ケア病棟のリハビリマネジメント機能を評価せよ

また、在宅復帰に向けた「地域内多職種協働」を推進するために、地域包括ケア病棟における在宅復帰支援のリハビリマネジメント」を次のように評価してはどうかとも提言しています。
(A)介護保険の通所リハビリのように、例えば「個別リハビリ20分」などの縛りを廃止し、リハビリマネジメントを出来高評価する

(B)DPCの機能評価係数IIのように、例えば個別病院・病棟の「在宅復帰支援に係る加算等」(▼入退院支援加算▼認知症ケア加算▼特別訪問看護指示料▼薬剤総合評価調整加算▼在宅患者緊急入院診療加算▼退院前在宅療養指導管理料―など)を積算し、「上位グループ」「中位グループ」「下位グループ」として評価する

(C)介護保険の介護老人保健施設のように、在宅復帰支援に関する項目を多方面で段階的評価する

このうち(A)は、上述したように「補完代替リハビリ」を行っている地域包括ケア病棟が少なくない点に着目するものです。現在、地域包括ケア病棟では「リハビリが必要な患者には、1日2単位以上のリハビリを実施する」ことが求められますが、仲井会長は「時間・場所を問わない補完代替リハビリを評価することで、▼医師の裁量で適切なリハビリ実施を十分に行うことができる▼効率的なリハビリが可能となり、リハビリスタッフの働き方改革にもつながる―などのメリットがある」と説明します。

一方、(B)は、病院で実施する在宅復帰支援に向けた取り組みをベンチマークし、病院間の競争を促す仕組みと言えます。ただし、小規模病院では評価が低くなりがちであり、仲井会長は「AとBを組み合わせるなどし、病院規模に関係なく適切な評価が行える仕組みを構築してほしい」と求めています。また(C)は「将来的な検討課題」に位置付けているようです。

在宅復帰に向けた取り組みの評価は、「在院日数短縮」を恐れない経営につながる

 
 さらに仲井会長は、こうした在宅復帰に向けた取り組みを評価することで「病院が在院日数短縮を恐れなくなる」との考えも示しました。

在院日数の短縮には、▼「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった診療の質・経営の質を向上させる大きなメリットがありますが、新規患者の獲得が追い付かなければ「空床の増大による経営の悪化」を招くこともあります。このため一部の病院では、病床稼働率を維持するために、あえて「在院日数をコントロール」している状況があります。

しかし、在院日数の長期化は、上述のメリットの裏返し、つまり医療の質の低下を招いてします。そこで、在宅復帰に向けた取り組みを評価すれば、収入面でのメリットが生じ、安心して(稼働率の低下・収入減少を恐れずに)「在院日数の短縮」を進めることができると仲井会長は見通します。

さらに、地域によってはすでに始まっている人口減少社会の中では、「病院のダウンサイジング」が必須の課題となりますが、在宅復帰に向けた取り組みの評価は、「ダウンサイジングをも恐れない経営」を可能にするものです(少なくなった病床でも回転率を上げることで、高収益を得られるようになる)。

2020年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会などでこうした視点に基づく議論がなされるのか、今後の動きに注目が集まります(関連記事はこちら)。

 

 

 

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