2019年4月の後発品割合、数量ベース79.1%、医科等も含めると76.1%、「足踏み」続く―協会けんぽ
2019.9.6.(金)
協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2019年)4月末時点で、調剤ベースでは79.1%だが、医科・DPC・歯科を加味すると76.1%である。調剤・医科・DPC・歯科を合計した後発品割合を都道府県別に見ると、最高は沖縄県で変化ないが、鹿児島県を抜き、岩手県が第2位に躍り出た―。
こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が9月3日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。
協会けんぽ全体、2019年に入ってから後発品使用促進は「足踏み」状態
「医療技術の高度化」(超高額な医薬品キムリアなどの登場)や「高齢化の進展」などにより医療費は増加を続けています。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、さらに急速に医療費が増加していくと予想されます。その後2040年にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、支え手である現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。「より少ない支え手」で「より多くの高齢者」を支えなければならず、公的医療保険制度の基盤が極めて脆くなっていきます。
こうした状況の中では、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ことが不可欠とあり、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から取り組みが進められています。
後発品に関しては、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標を設定し、使用推進に向けた取り組みが行われています。
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」の運営者である全国健康保険協会でも、従来から積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴殿の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額は○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。9月3日には、今年(2019年)4月末の後発品使用割合が公表されました(前月の状況はこちら)。
全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、前月(2019年3月)末から0.2ポイント増加し、数量ベースで79.1%となりました。今年(2019年)に入ってから▼1月:79.1%▼2月:78.9%▼3月:78.9%▼4月:79.1%―と足踏み状態が続いています。第2目標「80%以上」達成まで「あと0.9ポイント」に迫っていますが、実現がいつになるのか今後の状況を注視する必要があります。
直近1年間(2018年5月から2019年4月)では、単純計算で「1か月当たり0.28ポイント」のペースで後発品割合が上昇していることになります。このペースが継続すると仮定した場合、計算上は、第2目標「80%」クリアは今年(2019年)8月末となります(前月までのペースよりも1か月遅れ)。すでに現時点で第2目標が達成している可能性が伺えますが、「足踏み」が長引いている可能性もあり、今後の動向を注意深く見守る必要があります。
医科・DPC・歯科を加味すると、80%クリアは2020年末か
また調剤に「医科・DPC・歯科」を加えた後発品割合は、今年(2019年)4月末時点で76.1%となっています(前月から0.2ポイント上昇)。
さらに、都道府県別に見るとまだまだバラつきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県で、86.7%(前月末から0.3ポイント上昇)。逆に最も低いのは徳島県で、66.3%(同0.3ポイント上昇)。
このほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が高いのは、▼岩手県の82.5%(同0.5ポイント上昇)▼鹿児島県の82.0%(前月から0.1ポイント低下)▼山形県の80.1%(同0.4ポイント上昇)―などです。岩手県が鹿児島県を抜いて「第2位」に躍り出たことが注目できます。
「調剤」ベースでは「80%以上クリア」は目前ですが、「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには3.9ポイントの開きがあります。昨年(2018年)12月末から今年4月末まで、単純計算で「1か月当たり0.2ポイント」のペースで後発品割合が上昇している計算です。このペースが今後も続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は2020年末となってしまいます。今後、さらなる後発品使用推進に向けた取り組みを強化していくことが重要です。
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