一時的心臓ペーシング等に用いる「ラッソー2515」の再製造製品、初の「SUD再製造」対象として承認―厚労省
2019.9.6.(金)
厚生労働省は「単回使用医療機器の『再製造』に関する制度」の対象品目として、心臓電気生理学的検査・一時的ペーシングを行うために経皮経管的に心臓内に留置して使用する【再製造ラッソー2515】(日本ストライカー社)を8月30日に承認しました。同制度の対象品目承認は初めてのことです(厚労省のサイトはこちら)。
医療安全の確保や感染防止のため、一度しか使用が認められない単回使用医療機器(SUD、single use device)は、その旨が添付文書において明示されています。SUDを医療機関で洗浄・滅菌等して再使用することは認められていません(関連記事はこちら)。
しかし、「医療機器製造販売業者が、自身の責任で使用済のSUDを▼適切に収集▼分解▼洗浄▼部品交換▼再組立て▼滅菌—などし、新たなSUDとして販売することを認める」仕組みが昨年(2018年)7月に創設されました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。
諸外国においては、▼不整脈の検査等に用いるカテーテル(EPカテーテル)▼腹腔鏡手術で用いる電気メス―などについて、SUDの再製造が行われており、この場合「販売価格も低廉になり、医療保険財政の健全化に資する」と考えられるためです。
もっとも、適切に運用されなければ、取り返しのつかない重大な医療事故を引き起こしてしまうため、厚労省は「既存の複数回使用可能な医療機器の洗浄・滅菌に関するガイドライン等の科学的な根拠に基づき、SUDについて十分な清浄性を確保していること」などを品目ごとに審査し、製造販売承認をすることとしています。
今般、制度創設から1年超を経過し、初の「SUDの再製造」対象品目が承認されました。日本ストライカー社の「再製造ラッソー2515」で、心臓電気生理学的検査および一時的ペーシングを行うために、経皮経管的に心臓内に留置して使用する機器です。
本製品について、米国では2008年9月から、欧州では2016年8月から、「再製造」SUDとして医療現場で使用されています。
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