医薬品の投与経路誤りに注意、「6つのR」の確認を―日本医療機能評価機構
2015.4.15.(水)
日本医療機能評価機構が15日に発表した「医療安全情報No.101」によりますと、添付文書上に記載された用法とは違う経路で薬剤を投与した事例が2010年1月から4例報告されていたことが分かり、同機構では「薬剤の準備時・投与直前の6つのR」を確認するよう、注意を呼び掛けています。
医薬品の添付文書には「用法・用量」の定めがあり、そこには「経口」や「皮下注射」などの投与経路も規定されています。これは、医薬品の安全性・有効性を確保するために守らなければならない規定です。
ところが10年1月から15年2月の間に、定められたものとは異なる経路で医薬品を投与した事例が4件報告されています。
ある事例は、内服用である「リスパダール内用液0.5ミリリットル」(抗精神病薬)が、皮下注射時に使用する注射器に吸い取られ、針が付いた状態で内服薬用の薬杯の中に準備されていたことから、看護師が確認をしないままに皮下注射してしまったというものです。
また別の事例は、内服用である「トロンビン液5000単位」(止血剤)を内視鏡的処置後の患者に投与すべきなのに、看護師が経口薬であることを知らず、静脈注射したというものです。トロンビン液のボトルには「禁注射」との記載がありますが、この看護師は「液を注射器に吸い取って静脈注射することが禁じられている」と解釈し、ボトルを輸液ルートの側管に接続し静脈注射しています。
こうした投与経路の誤りは重大な医療事故に結び付く可能性も高く、十分な注意が必要です。同機構では「薬剤の準備時・投与直前に6Rを確認する」よう求めています。6Rは次の6点が正しいことを指します。
(1)正しい患者(Right Patient)
(2)正しい薬剤(Right Drug)
(3)正しい目的(Right Purpose)
(4)正しい用量(Right Dose)
(5)正しい用法(Right Route)
(6)正しい時間(Right Time)