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サ高住の「質」向上へ、適正立地の推進と人員配置基準の見直しで―国交省検討会が中間取りまとめ

2015.4.16.(木)

 国土交通省の「サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会」が15日、中間取りまとめを公表しました。「サ高住」の整備事業者に「適正な立地」を誘導して、「地域包括ケア」と「コンパクトな街づくり」を一体的に推進するとともに、「地域に開かれたサ高住」を目指す方向を打ち出しています。さらに「従業者の資格のあり方」や「戸数に応じた従業者数」などを検討し、サ高住の質を高めていくことも提言しています。

ニーズにマッチするよう、サ高住のあり方を見直し

 いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が急がれています。地域包括ケアシステムは、高齢者の「住まい」をベースに、「生活支援・福祉」「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・予防」といったサービスを複合的・統合的に提供することで、要介護度が高くなっても住み慣れた地域での在宅生活を可能にしようという構想です。

 ここで「住まい」には、高齢者が保有・賃貸する住宅だけではなく、見守りなどのサービスを付加したサ高住も含まれます。サ高住は11年10月から登録が始まり、15年2月末には5451棟・17万6405戸が整備されています。

サ高住の整備は急速に進んでおり、2015年2月末時点で、全国に5451棟・17万6405戸ある

サ高住の整備は急速に進んでおり、2015年2月末時点で、全国に5451棟・17万6405戸ある

 しかし、「地価の安い地域に立地する傾向があり、地域差がある」「見守り・生活支援サービスの従事者の体制にばらつきがある」「介護や医療を必要とする入所者の増加が見込まれる」「狭い物件が少なからずある」といった課題も指摘されています。

サ高住整備には地域格差が大きく、関東地方や中部地方では全国平均を下回るところが目立っている

サ高住整備には地域格差が大きく、関東地方や中部地方では全国平均を下回るところが目立っている

将来、高齢者の人口が急速かつ大幅に増加する東京や神奈川では、サ高住の整備が十分とは言えない

将来、高齢者の人口が急速かつ大幅に増加する東京や神奈川では、サ高住の整備が十分とは言えない

地価の安い地域ではサ高住整備が進みやすく、これが地域偏在の一つの要因となっていると考えられる

地価の安い地域ではサ高住整備が進みやすく、これが地域偏在の一つの要因となっていると考えられる

サ高住のサービス提供体制にもばらつきがある

サ高住のサービス提供体制にもばらつきがある

 このため検討会では、「時代のニーズに即応した、徹底した見直し」を掲げて14年9月、議論を開始しました。

地域包括ケアとコンパクトシティーの両立目指す

 中間取りまとめでは、サ高住の整備を契機に「地域包括ケアシステムの構築」と「コンパクトな街づくり」を併せて推進していくことが不可欠だと指摘。そのために、補助金や公共施設などの公的不動産(PRE)を活用するなどして、事業者に「適切な立地」を誘導すべきだと提言しています。

 例えば、東京23区などの都市部では、地価が高くサ高住の整備が遅れていますが、今後は、急激な高齢者増が確実に生じることから、サ高住の適正な整備を急ぐ必要があるでしょう。まずは「市町村単位」で、さらに「日常生活圏域単位」での量的確保を推進すべきと中間取りまとめでは指摘しています。

 また、「地域に開かれたサ高住」の推進や、「日常的な生活支援を行う者」の常駐を進め、質が高くて魅力的なサ高住を整備する方向性も打ち出しています。

サ高住の「適正立地」を誘導し、地域差を是正

 こうした方向性に沿った整備を進めるために、中間取りまとめでは、具体的な取り組みにも言及しています。

 まず「適切な立地」を推進するために、次のような対策案を提言しています。

▽高齢者居住安定確保計画を策定する際の指針を定め、関係部局間の連携を含めて自治体に周知・徹底する。

▽サ高住整備の補助金申請に当たって、地元市町村から意見を聴取する。特に、「居住誘導区域」外へのサ高住整備に当たっては、市町村の同意を求める。

▽サ高住の補助金や低利融資支援の対象を、高齢者居住安定確保計画の方針に適合する者に重点化する方向で年度内に検討する。

▽PREの活用に向けた事例集を策定する。

▽既存の住戸などを活用して、住戸ごとに分散して登録するサ高住(分散型サ高住)の整備推進に向けて、規制を緩和する。

▽戸建ての空き家などを活用した高齢者・障害者向けの共同居住用住居の整備に対する支援を実施する。

▽24時間対応型の定期巡回・随時対応サービスや、小規模多機能型居宅介護事業所、訪問看護ステーションなど、併設施設の整備に対する重点的支援を行う。

入所者に同一グループの介護サービスを提供しているサ高住も少なくない

入所者に同一グループの介護サービスを提供しているサ高住も少なくない

有資格者の活用や、人員配置基準設定を検討

 一方、「質の向上」に向けた対策としては、次のようなものが目を引きます。

▽見守りや生活相談サービスの従事者の「資格」の在り方を検討する(有資格者の活用など)。

▽「戸数に応じた従業者数」の設定や、常駐の在り方などを検討する。

入所者の不満を見ると、「職員数」や「職員の資質」「サービス内容」などで改善の余地が大きい

入所者の不満を見ると、「職員数」や「職員の資質」「サービス内容」などで改善の余地が大きい

▽サ高住の同業者によるピアレビュー(相互評価など)の実施に向けた体制などを検討する。

▽医療・介護サービスなどとの適切な連携確保のためのハード整備への支援を実施する。

入所者の要介護度が高くなると、「医療・介護サービス」や「看取り」などの面でニーズに沿えないサ高住が出てくる

入所者の要介護度が高くなると、「医療・介護サービス」や「看取り」などの面でニーズに沿えないサ高住が出てくる

▽特殊浴槽などの設備設置の改修工事に対する低利融資の普及を促進する。

▽地域ケア会議への事業者・職員の参加を促進する。

▽在宅医療・介護連携に関する研修などを活用して、医療ソーシャルワーカー(MSW)によるサ高住への理解を促進する。

▽サ高住の運営や医療機関との連携状況などに関する「第三者評価」のための指標を検討する。

▽保険者によるケアプランの調査・点検を強化するなどして、介護サービス計画(ケアプラン)の適正化が図られる環境整備を推進する。

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