現役医学生の人気診療科トップスリーは内科、小児科、総合診療科―日医総研WP
2015.4.20.(月)
現役医学生が希望する診療科としては、内科(33.8%)、小児科(19.3%)、総合診療科(14.4%)などが多いことが、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の調査で分かりました。
日医総研では「医学生のキャリア意識に関する調査」の結果をワーキングペーパーにまとめていて、調査ではこのほかにも「臨床研修病院を選ぶ際には、教育体制や研修プログラムを重視する」「半数は所属大学以外での勤務を希望する」「7割弱が何らかの形でへき地・離島での医療貢献を希望している」ことなども明らかになっています。
日医総研では、G7(米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)の中で、人口1000人当たりの医師数は日本が最低水準であることなどを引き合いに、現在「医師の絶対数不足」と「医師の偏在」の2つの課題があり、これを解決するために「考えられる規制やインセンティブを総動員して改善に取り組む」集学療法が必要と指摘。
この一環として、将来の医師である「現在の医学生」に焦点を合わせ、診療科選択など現時点のキャリア意識を調査したものです。
調査には、現役医学生1309人が回答しました。学年別に見ると、▽1年生が16.4%▽2年生が12.0%▽3年生が25.8%▽4年生が24.8%▽5年生が12.9%▽6年生が7.4%―という構成。所属大学は国公立が71.1%、市立が28.4%、性別では男性61.3%、女性37.1%です。また、出身地をブロック別に見ると、▽北海道が4.0%▽東北が8.9%▽関東が40.6%▽中部が11.8%▽関西が18.0%▽中国が4.0%▽四国が1.8%▽九州・沖縄が9.1%―となっています。
まず「将来、専門にしたい診療科・分野」(1人につき2つまで)を見ると、内科が最も多く33.8%、次いで小児科19.3%、総合診療科14.6%、外科14.4%、救急科10.0%などとなっています。
深刻な医師不足が指摘されている診療科を見ると、▽産婦人科8.9%▽救急科10.0%▽麻酔科4.5%―などで、日医総研では「必ずしも少ないというわけではない」と分析。ただし、2010年の厚生労働省調査で医師充足度が最も低かったリハビリテーション科は、今回の調査でも0.8%しか希望者がいないことが分かりました。
こうした診療科・分野を選択する際に重視する要素(1人につき2つまで)としては、「内容への興味」が圧倒的多数を占め、70.4%の学生が挙げています。また「漠然としたイメージ・憧れ」という答えも多く、31.0%を占めました。このほか、「医局・診療科の雰囲気」19.3%、「生活のゆとり・家庭との両立可能性」17.7%、「親族の専門分野」8.0%、「先輩や教員の勧め」4.3%、「収入」3.7%と続いています。
新臨床研修制度が2004年度からスタートし、臨床現場に立つためには2年間の臨床研修が必須となりました。新制度では、研修医と研修先病院の希望を出し、それをもとに公的機関が研修先を決定する「マッチング」という仕組みが導入されています。
この点に関連して、現役医学生が「所属大学(の医局)で働く」ことについてどう考えているのかを調べたところ、「所属大学(の医局)で働くつもり」と考えている人は8.4%、「まあ考えている」という人は29.0%という状況です。一方、「全く考えていない」が12.5%、「あまり考えていない」が34.5%で、半数は「所属大学以外での勤務など」を希望していることが分かりました。
また、研修病院を選ぶ際に重視する項目(1人につき3つまで)としては、▽教育体制や研修プログラムの内容(43.3%)▽多くの症例を経験できる(42.9%)▽市中病院である(37.4%)▽地元・出身地に近い(33.2%)▽専門にしたい診療科の充実度(29.3%)―などが多くなっています。
さらに「所属大学のある都道府県やその近隣地域」で働くことについては、「そのつもりである」人が26.1%、「まあ考えている」人が31.5%で、約6割の医学生が積極的に考えていることが分かりました。
最後に「へき地・離島の医療に従事する」意思を見ると、「従事したい」と考えている人が5.7%にすぎませんが、「興味がある」26.6%、「期間限定で従事してもよい」34.6%を合わせると、7割弱の人は何らかの形でへき地・離島医療に貢献しようと考えていることがうかがえます。