厚労省・佐々木企画官「高度急性期はDPCⅠ群とⅡ群に」―Ⅱ群認定は抜本見直し、16年度にも
2014.9.1.(月)
厚生労働省保険局の佐々木健・医療課企画官はGHCのインタビューに応じ、これから本格化する医療提供体制の再編に伴い、高度急性期病院として地域で位置付けられたDPC対象病院をDPC病院Ⅱ群として扱う形に見直す必要があるとの認識を示しました。DPC病院Ⅰ群の大学病院本院と共に、Ⅱ群の各病院が高度急性期病院として地域の重症患者の入院をカバーするイメージです。
中央社会保険医療協議会では、2016年度の診療報酬改定に向けたDPC病院群の見直しの方向性を年度内にまとめることになっていて、これに向けて、大まかな見直しの方向性をまとめるDPC評価分科会にこうした形を提案したい考えです。
佐々木企画官は、「現時点での私見」と断った上で、こうした考えを明らかにしました。
先の通常国会で成立した改正医療法には、各地の病院や有床診療所の機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に再編させる内容が盛り込まれ、再編後の医療提供体制と診療報酬体系をどう関連付けるかが課題になっています。
DPC対象病院は全国に1585病院(4月現在)あり、このうち大学病院本院(80病院)はDPC病院Ⅰ群に位置付けられています。これら以外は入院患者に提供する手術の難度や、1年間の診療密度の高さなどによってⅡ群(Ⅰ群並みの99病院)とⅢ群(残り1406病院)に分かれていて、佐々木企画官はGHCのインタビューに、これらのうちⅠ群とⅡ群に高度急性期の機能をカバーさせる方向で検討すべきだとの考えを示しました。
高度急性期病院として地域で位置付けられたDPC対象病院をⅡ群として扱う形を想定しているといいます。
Ⅱ群のDPC対象病院は現在、院内で実施する手術の難度などの「実績要件」で大学病院本院並みの基準を満たすことが条件です。佐々木企画官は、一連の見直しに合わせてこうした仕組みを抜本的に変える必要性も指摘し、「(現在の)実績要件をクリアできるようにと現場でさまざまな取り組みをされているとすれば、空振りになるかもしれない」と述べました。
佐々木企画官はまた、Ⅰ群の大学病院本院のうち、手術の難度などの実績がほかと比べて著しく低い病院を対象にヒアリングを行う考えも示しました。
大学病院の中には、分院などに本院の機能や人員の一部を移管させるケースがあるという指摘がDPC評価分科会では上がっていて、同分科会で実態を調査した上で、次の報酬改定での対応が必要かどうか検討するということです。
一方で、「Ⅰ群は大学病院本院という原則は変わらないのではないか」とも語りました。
※インタビューの一問一答は、「マンスリーレポート」8月号(8月11日発行)に掲載しています。