がん罹患数98万例、死亡者数は37万人に―国立がん研究センター15年推計
2015.4.30.(木)
2015年のがん罹患(りかん)数は前年に比べて10万例・約1割増の98万例、がんによる死亡者数は同じく4000人増の37万人になるとの推計値を、国立がん研究センターが28日に発表しました。
国立がん研究センターは、「全国がん罹患モニタリング集計のがん罹患数1975~2011年全国推計値」や「人口動態統計がん死亡数1975~2013年実測値」、「国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口」を基に、15年のがん患者数と死亡者数を推計。
それによりますと、がん罹患数は男性が56万300例、女性42万1800例の合計98万2100例と予測されました。14年の予測値に比べて約10万例、実測値に近い11年推計値に比べて約13万例増加する見込みです。
罹患数が大幅に増加する要因について、同センターは「高齢化」とともに「がん登録の精度の向上」を挙げています。がん登録推進法が13年12月に成立し、全国がん登録が16年1月からスタートします。このため、がん登録の認知度が医療現場で向上し、データの精度が高まると期待され、これが罹患数を押し上げるとみられるのです。
がんの部位別の推計症例数は、▽大腸がん13万5800例▽肺がん13万3500例▽胃がん13万3000例▽前立腺がん9万8400例▽乳がん8万9400例―などで、大腸がんと前立腺がんが増加すると見込まれます。部位別・性別に見ると、男性で前立腺がん、女性で肺がんが増加すると考えられます。
次に、がんで死亡する人の数は、男性21万9200人、女性15万1700人で計370万900人となる見込みです。14年の予測値ベースで約4000人、実測値に近い11年推計値に比べて約5000人の共に増加です。
部位別では、▽肺がん7万7200人▽大腸がん5万600人▽胃がん4万9400人▽膵臓がん3万2800人▽肝臓がん2万8900例―などで、大腸がんによる死亡者が増加すると見込まれます。
同センターでは、罹患数と死亡数の長期的な傾向として、▽胃がんと肝臓がんの順位が下がり、肺がんと大腸がんが上がる▽前立腺がんと乳がんの罹患数が目立って増加する―などとしています。