症状確認せず医薬品のネット販売が1割強、店舗で本人確認なし2割-厚労省調査
2015.5.7.(木)
医療用医薬品から一般用医薬品に移行して間もない医薬品(スイッチ直後品目)や、劇薬といった要指導の医薬品について、薬局・薬店で購入するにあたって、購入者が使用する本人であることを確認したケースが80.1%、文書による情報提供が行われたケースが72.9%などであることが分かりました。
これは厚生労働省が1日に発表した「医薬品販売制度実態把握調査」の結果から明らかになったもので、このほか、副作用発生のリスクが高い第一類医薬品をインターネットで販売する際、使用者の症状などを確認したケースは83.9%、情報提供を行ったケースは53.2%であったことなども分かりました。
一般用医薬品の販売に関しては、規制改革の流れを受けて、2014年6月から次のような仕組みに変更されました。
▽要指導医薬品(スイッチ直後品目、劇薬など)以外はすべてインターネットでの販売が可能
▽要指導医薬品は対面販売のみが可能
この販売制度については「一般用医薬品でも副作用リスクがある」との指摘があることから、厚労省は今回、一般消費者の立場から実際の販売状況を調査しました。調査は全国5096の薬局・薬店のほか、496の医薬品インターネット販売サイトを対象に行われています。
まず、要指導医薬品の販売状況を見てみましょう。要指導医薬品については、販売の際に「薬剤師による対面の情報提供」などが必要です。
▽購入者が使用者本人かどうかを確認しているケースは80.1%、確認していないケースは19.9%
▽使用者の年齢や症状、他の医薬品の服用などの確認をしているケースは89.5%、確認していないケースは10.5%
▽情報提供については、文書が72.9%、口頭のみが26.6%、文書はあるが詳細な情報提供なしが0.6%
▽情報提供者は、薬剤師が91.1%、登録販売者が3.2%、一般従事者が0.2%、不明が5.4%
インターネット販売(特定販売)では、▽使用者の病状などの確認▽個別の情報提供▽使用者が情報を理解したことの確認▽販売▽記録―という流れを取ることが必要です。ネット販売の状況は次のようになっています。
▽販売している医薬品のリスク分類(第一類、第二類など)を記載しているのは93.8%で、前年調査に比べて29.2ポイントと大幅増
▽第一類医薬品の販売時に使用者の年齢、症状、ほかに服用している医薬品などを確認しているケースは83.9%
▽第一類医薬品の販売時に情報提供を行っているケースは53.2%
▽情報提供者は、薬剤師が90.9%、登録販売者が3.2%、不明を含むその他が6.1%