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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

病床再編や過剰投薬防止促す診療報酬体系へ移行加速を―経済財政諮問会議の民間議員

2015.5.13.(水)

 経済財政諮問会議が12日に開かれ、「経済の再生」と「財政の再建」という2つの困難な課題を解決するための論点整理を行っています。

 そこでは、国だけでなく、国民や企業、自治体なども効率的な施策を推進するための「インセンティブ改革」として、▽健康ポイントの普及や後発医薬品の利用向上など、保険者・被保険者双方が合理的な行動を促す仕組みを構築する▽診療報酬・介護報酬を、病床再編、過剰投薬防止、残薬管理、医療費の地域差解消などを促す体系への移行を加速する▽診療報酬改定などにより、16年度から地域医療構想を前倒しで実現できるようにする―ことなどを提言しました。

 さらに、2016-18年度を「集中改革期間」に位置付け、初年度となる16年度の予算編成に当たり「診療報酬改定を含めて、制度改革などを大きく前進させる必要がある」と強調しています。

「地域医療構想の実現前倒し」も要請

 長期にわたり赤字が継続しているわが国の財政を再建するためには、歳出の大きな部分を占めている「社会保障費」の改革が不可欠です。この点、(1)伊藤元重議員(東京大学大学院経済学研究科教授)(2)榊原定征議員(東レ株式会社取締役会長)(3)高橋進議員(日本総合研究所理事長)(4)新浪剛史議員(サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長)―の4民間議員が行った論点整理では、安倍内閣が掲げる「2020年度の財政健全化目標」を堅持するために「社会保障給付の効率化・適正化」を歳出改革の柱とし、「社会保障費の増加を高齢化要因の範囲内に抑制する」との目標値を設定することが提案されています。

 ここで注目できるのが、国だけではなく「国民一人ひとり」「企業」「自治体」などの意識・行動を変化させなければ、財政再建はなし得ないという考え方を打ち出している点です。民間議員は、国民や企業の意識・行動の変化を促すための「インセンティブ改革」が必要とし、次のような改革案を提示しました。

▽健康ポイントの普及や、後発医薬品の利用率向上など、医療保険者の努力を補助金配分に加味することなどにより、保険者、被保険者双方の合理的行動を促す

▽病床再編、過剰投薬防止、残薬管理、医療費の地域差解消等を促す診療報酬・介護報酬体系への移行を加速する

▽地域医療構想を前倒しで実現できるよう、診療報酬改定などで16年度から最大限の取り組みを開始する

 このうち地域差解消に向けた診療報酬体系に関しては、▽療養病床の受療率には、最高の高知県と最低の長野県で約5倍の格差があり、病床数と強い相関がある▽後発医薬品の使用割合は、最高の沖縄と最低の徳島で約1.6倍の格差がある▽院外処方は、院内処方に比べて1.2-1.5倍の費用が掛かる―といった具体例を挙げ、こうした格差を是正すべきと強く求めています。

療養病床の入院受療率や後発医薬品の使用割合には大きな地域差が、薬剤関連費用では院外処方と院内処方で格差があり、これらの是正を促す診療報酬体系への移行が諮問会議から提案されている

療養病床の入院受療率や後発医薬品の使用割合には大きな地域差が、薬剤関連費用では院外処方と院内処方で格差があり、これらの是正を促す診療報酬体系への移行が諮問会議から提案されている

16年度はマイナス改定を早くも暗示

 さらに歳出改革の具体策としては、社会保障関連分野について、保険給付の膨張を抑制するとともに、産業化を推進する考えを示しています。

 このうち保険給付に関しては、▽重症化を予防し国民の健康を増進する▽生活習慣病などによる医療費の伸びを縮減する―ことで、「保険料」「自己負担」「国庫負担」の増加を抑制すべきと提案しました。

 また後者では、▽医療、介護と一体的に提供することが効果的な健康サービス▽在宅医療・介護の拡大に対応した高齢者向け住宅―などの供給を拡大することで、経済の再生も視野に入れることを提案しています。

 なお、民間議員は16-18年度の3年間を「集中改革期間」に位置付け、プライマリーバランスの赤字を18年度に「GDP比で1%前後とする」との目標値を掲げました。さらに、集中改革期間の初年度である16年度予算において「診療報酬改定を含めて、制度改革などを大きく前進させる必要がある」と強調しています。

 ここでいう「診療報酬改定」はマイナス改定を意味するとも考えられ、年末の予算編成に向けて、早くもジャブが繰り出されたと言えるでしょう。

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