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GemMed塾 看護モニタリング

後発医薬品使用割合80%に引き上げ必要、財務省が安倍首相に進言―行政改革推進本部

2015.5.18.(月)

 国民皆保険を維持し、限られた医療資源を大きなリスクに活用するため、後発医薬品の使用割合の目標を年度中に80%に引き上げ、16年度の診療報酬改定で対応する必要がある―。財務省は15日に開かれた行政改革推進会議で、改めてこうした提言を行いました。

 提言内容は4月27日に開かれた財政制度等審議会の財政制度分科会で示されたものから絞り込んだもので、安倍晋三首相をトップとする行政改革推進会議に提示したことから、今回の提言内容に対する財務省の強い意気込みが伺えます。

 改めて提言内容をご紹介しましょう。

財政審への提言内容から「絞り込んで」首相に提示

 財務省は、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となり医療・介護のニーズもピークに向かう2025年には、医療費は2012年時点の1.5倍となる54兆円に、介護費は同じく2.3倍の19兆8000億円になると試算。その一方で、国内総生産(GDP)は1.27倍の増加にとどまる見通しで、このままだと社会保障制度の持続可能性が損なわれてしまうとの危機感を強調しました。

GDPの伸び、つまり経済成長に比べて、医療費と介護費はそれを大きく上回って増加するため、我が国の財政を圧迫していると指摘されている

GDPの伸び、つまり経済成長に比べて、医療費と介護費はそれを大きく上回って増加するため、我が国の財政を圧迫していると指摘されている

 そこで、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとするために、「医療・介護等に関する制度改革・効率化の具体案」を提示しました。その柱は次の5本です。

(1)公的保険給付範囲の見直し

(2)サービス単価の抑制

(3)負担能力に応じた公平な負担

(4)医療提供体制の改革

(5)医療の無駄排除・予防の推進等

 このうち行政改革推進本部に提案されたのは(1)の「公的保険給付範囲の見直し」に関するもので、財務省の強い意気込みが感じられます。

DPCの後発医薬品係数などにも言及

 具体的には、▽後発医薬品の使用促進▽リスクの大きさやQOL/ADLなどへの影響度に応じた保険給付の在り方の見直し▽在宅療養と入院医療との公平確保―などを打ち出しています。

 特に後発医薬品の使用促進では、現行の「17年度(平成29年度)内に数量ベースで60%」という目標値を80%に引き上げるよう提言しました。

財務省は「先進諸国と比べて我が国の後発医薬品使用割合は低い」と指摘し、後発品使用割合の目標値を「80%超」に引き上げるよう要望している

財務省は「先進諸国と比べて我が国の後発医薬品使用割合は低い」と指摘し、後発品使用割合の目標値を「80%超」に引き上げるよう要望している

 さらに、80%の目標を達成するため、▽DPCの後発医薬品係数の上限を現行の60%から80%に引き上げる▽薬局における後発医薬品調剤体制加算の要件となる後発医薬品割合を引き上げる▽14年度改定で導入された長期収載品の特例引下げ(いわゆるZ2)の引き下げ率を大きくする▽処方せんについて、後発医薬品への変更不可欄にチェックした場合の理由記載を義務化する▽非DPC病院に対する後発医薬品の使用割合に応じた診療報酬の加減算措置を導入する―ことなどの具体先も提示しています。

18年度の報酬改定で「参照価格制」導入も求める

 18年度に予定される次々期診療報酬改定での「参照価格制」の導入も求めています。参照価格制とは、同じ薬効群の医薬品については、保険償還価格の上限を設け、上限を超えた部分は全額患者負担とするものです。財務省は、わが国では上限額を「後発医薬品の保険収載薬価」とするよう求めており、実現すれば、後発医薬品の使用促進に向けて極めて大きな影響を与えそうです。

後発医薬品の使用促進に向け、同一薬効内で後発品の薬価を超える部分を全額患者負担とする「参照価格制」を2018年度の次々期診療報酬改定で導入することも提言している

後発医薬品の使用促進に向け、同一薬効内で後発品の薬価を超える部分を全額患者負担とする「参照価格制」を2018年度の次々期診療報酬改定で導入することも提言している

 また、「リスクの大きさなどに応じた保険給付」では、▽市販品類似薬の保険給付からの除外▽受診時定額負担・保険免責制の導入―などを、「在宅と入院の公平性確保」では、▽入院患者の居室代見直し▽柔道整復療養費の見直し―などを掲げています。

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