韓国でMERSの二次感染が多発、厚労省は院内感染対策の徹底などを通知
2015.6.3.(水)
中東呼吸器症候群(MERS)の二次感染が韓国で多発していることを受けて、厚生労働省は1日、都道府県などの担当者に宛てて、MERSが疑われる患者が発生した場合の標準的対応フローを確認することや、管内の医療機関における院内感染対策を徹底させることなどを求める通知を出しました。
中東呼吸器症候群(MERS)は、中東へ渡航歴のある症例から発見された新種のコロナウイルスによる感染症です。
主な症状は、「重症の肺炎」や「下痢」「腎障害」などで、60歳以上では致死率が高いことが分かっています。現時点で特別な治療薬やワクチンは存在せず、集中治療室で管理するなどの対症療法しかありません。
感染源動物としてはラクダが深く関与しているとされます。
MERSは、ヒトからヒトへの持続的な感染は見られませんが、韓国では、診断が遅れたために、医療従事者や同じ病棟に入院する患者やその家族らに二次感染が多数発生しています。
事態を重く見た厚労省は、都道府県などの担当者に次のような対応を取るよう求めています。
▼MERS感染が疑われる患者が発生した場合、図のような標準的対応フローに沿って行動する
▼管内の医療機関に対して院内感染の標準予防策、飛沫(ひまつ)感染予防策の徹底を指導する
▼検疫所からMERS感染が疑われる患者の連絡があった場合には、感染症指定医療機関への搬送など、検疫所と連携した対応を図る
なお、 対応フローの起点となる「情報提供を要する患者」は次の要件に該当する患者です。
(1)38度以上の発熱、せきを伴う急性期呼吸器症状があり、臨床的・放射線学的に実質性肺病変が疑われ、発症前14日以内にアラビア半島やその周辺諸国に渡航・居住していた者
(2)発熱を伴う急性呼吸器症状があり、発症前14日以内にアラビア半島やその周辺諸国で医療機関を受診・訪問した者、MERS患者との接触歴がある者、またはラクダとの濃厚接触歴(未殺菌乳の喫食など)がある者
(3)発熱または急性呼吸器症状があり、発症前14日以内にMERS疑い患者を診察・看護・介護していた者、MERS疑い患者と同居していた者、MERS疑い患者の気道分泌液、体液などの汚染物質に直接触れた者