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病棟群単位の入院料や夜勤72時間ルールの見直しなどを要望―日病協

2015.6.26.(金)

 日本病院会や全日本病院協会、日本医療法人協会などが加盟する日本病院団体協議会は26日、2016年度の次期診療報酬改定に向けて「病棟群単位の入院料」や「夜勤72時間ルールの見直し」「重症度、医療・看護必要度の要件見直し」など10項目の要望をまとめました。早ければ6月中に厚生労働省に提出する考えです。

 また、中央社会保険医療協議会でも論点に上がっている「大病院のケアミックスの是非」については、「地域ごとに考えていくほかないのではないか」との見解を楠岡英雄議長が述べています。

6月26日に記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の楠岡英雄議長

6月26日に記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の楠岡英雄議長

6月26日に記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博副議長

6月26日に記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博副議長

第1次として10項目を6月中にも要望

 次期改定に向けた要望項目は、日病協が26日に開いた記者会見で明らかにされたもので、次の10項目です。神野正博副会長は「これらは第1次要望で、今後の議論に応じて追加要望をしていく」と説明しました。

(1)病棟群単位の入院料

(2)看護師の夜勤72時間ルールの見直し

(3)重症度、医療・看護必要度の見直し

(4)医療機関のコスト分析と、その結果の診療報酬への反映

(5)地域包括ケア病棟の評価

(6)入院中の他医療機関受診に関する規定の見直し

(7)医師事務作業補助体制加算の、急性期以外の病棟での算定容認

(8)要介護高齢者に対する、医療保険の維持期リハビリテーションの継続

(9)手術・1000点以上の処置における休日加算1・時間外加算1・深夜加算1の算定要件の緩和

(10)院内処方と院外処方の不均衡是正

夜勤72時間ルール、実態踏まえて検討しなおすべき

 (1)の病棟群単位の入院料は、現在、病院単位で届け出なければならない入院基本料などについて、病院が自ら「病棟群」を設定し、群単位の入院基本料の届け出を可能とするものです。これが導入されれば、すべての病棟を1つの群として7対1を届け出る(現行と同じ)という病院もあれば、A病棟は7対1の群、B・C病棟は13対1の群といった設定をする病院も出てくるでしょう。

 (2)の「夜勤72時間ルールの見直し」に関して楠岡議長は、「導入から10年が経過して、看護師の勤務状況も変わってきたかもしれない。夜勤72時間未満が定着しているのであれば施設基準から除外してもよいだろうし、まだ不十分なのであれば加算を設ける必要があるかもしれない。一度、実状をきちんと把握し、もう一度検討し直す必要がある」との説明し、「撤廃ありきの要望ではない」ことを強調しています。

 また(3)の「重症度、医療・看護必要度」については、当初は「急性期の患者にはこのような処置が必要で、実際に行われている」という視点から導入されましたが、現在は「この処置を行っているので急性期患者である」という具合に逆転してしまっているのではないかとの問題意識が協議会内にあると言います。

 楠岡議長は「そもそも急性期とはどのような状態かを定義し直し、その上で具体的な項目を設定する必要がある」と指摘。さらに「高度急性期、急性期、回復期と患者の状態像は異なるので、一律に『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度』基準でよいのだろうか」との問題提起も行いました。

大病院のケアミックス、地域ごとに考えるべき

 (5)の地域包括ケア病棟については、「手術」「麻酔」「輸血」「高度な処置」などを包括範囲から除外して出来高評価にすべきとの要望を行います。

 神野正博副議長は「在宅療養患者の急性増悪では、包括評価では十分な対応が難しい。出来高評価が必要であろう」と訴えています。

 なお、地域包括ケア病棟に関連して、中医協では「大病院のケアミックス」が重要論点となっています。例えば、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「7対1の大病院が地域包括ケア病棟を併設することは、地域の機能分化を阻害する」と指摘しますが、万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は「機能分化にはさまざまな形態があってよい」と述べるなど、診療側にも温度差があります。

 この点について楠岡議長は「日病協でもその点が議論になった。しかし、地域によって7対1の大病院がケアミックスをしなければならない所と、病院単位での機能分化が好ましい所があると思う。地域の事情を勘案しなければならないという点では一致したが、それ以上の議論にはなっていない」と説明。病院の機能や規模によっても「大病院のケアミックス」に対する見解が相当異なる状況のようです。

手術の時間外加算1など、算定要件の緩和を

 (9)の時間外加算1などは、勤務医の負担軽減を図ることを目的として新設されたもので、「予定手術前の当直を免除している」「交代制勤務などを導入している」ことなどを要件に、従来よりも高い加算点数が付けられました。

 この加算1の施設基準には「当直などを行った日が年間12日以内」という規定がありますが、厚労省は14年11月に示した「疑義解釈その11」の中で「12日は、診療科単位ではなく、『届出を行った診療科全体の合計』である」ことを明確にしました。

 この点については「14年12月までの期間は、診療科単位で12日以内であればやむを得ない」との経過措置が設定されましたが、楠岡議長は「要件が厳しく届け出医療機関も少ない。詳細な議論はしていないが、要件の緩和が必要である」と強調しています。

 なお、日病協では、近く中医協委員を勇退する長瀬輝誼氏(日本精神科病院協会副会長)の後任として、猪口雄二氏(全日本病院協会副会長)を推薦することを決めました。

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