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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

一般病床の稼働率2か月連続低下73.5%、集患対策の遅れ原因か―病院報告

2015.7.1.(水)

 一般病床の病床利用率が今年1月から下がり続けていることが、6月30日に厚生労働省が発表した病院報告から明らかになりました。

 平均在院日数の短縮に集患などが追い付いていないことが原因と考えられ、今年3月末の一般病床の病床利用率は73.5%となっています。

在院日数短縮に集患対策などが追い付かない?

 病院報告では、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―が毎月示されます。15年3月の状況を見てみましょう。

 (1)の1日平均患者数は、病院全体では入院127万3729人(前月比1万6009人、1.2%減)、外来138万8495人(同1万4284人、1.1%増)と、入院・外来とも増加しました。診療所の療養病床では入院6879人(同78人、1.1%減)となっています。

 このうち病院の一般病床に絞ると、入院患者数は68万3864人で、前月に比べて1万5272人(2.2%)減少しています。また、病院の療養病床における入院患者数は29万5328人で、前月に比べて3039人(0.1%)の微減となっています。

2015年3月、病院の入院患者数は大きく減少する一方で、外来患者数は増加している

2015年3月、病院の入院患者数は大きく減少する一方で、外来患者数は増加している

 (2)の平均在院日数を見ると、病院全体では29.0日で、0.6日短縮しました。病床種別に見ると、▽一般病床16.6日(前月比0.4日減)▽療養病床152.7日(同0.3日減)▽介護療養病床299.4日(同2.8日増)▽精神病床264.5日(同12.9日減)という状況です。また、有床診療所は99.1日(同3.3日増)となりました。

 在院日数の短縮は、医療費の効率化や、院内感染リスクの解消やADL低下の防止など医療の質の向上につながるため、政府の重要政策の一つに位置付けられています。もっとも、疾患の季節変動や患者構成も変化するため、暦月ごとの変動も大きく、長期的な視点で見る必要があります。

2015年3月の平均在院日数、前月と比べて短縮傾向にある。一般病床では0.4日短縮して16.6日となった

2015年3月の平均在院日数、前月と比べて短縮傾向にある。一般病床では0.4日短縮して16.6日となった

 最後に(3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では79.3%で、前月に比べて0.2ポイントと低下しました。今年1月(79.9%)から2月(79.5%)にかけて0.4ポイント減、2月から3月(79.3%)にかけて0.2ポイント減と、連続して低下している点が気になります。

 病床種別に見ると、一般病床73.5%(同0.2ポイント低下)、療養病床89.2%(同0.6ポイント低下)、介護療養病床92.3%(同0.2ポイント低下)、精神病床86.0%(同0.2ポイント低下)となっており、前月からの減少が目立ちます。一般病床では、今年1月(74.5%)から2月(73.7%)にかけて0.8ポイント減、2月から3月(73.5%)にかけて0.2ポイント減となっており、減少幅が大きく、かつ連続した低下となっています。

 在院日数短縮を進めるだけでは、空床が目立つ、つまり病床稼働率が下がってしまうので、病院の経営面では減収方向にシフトします。そこで、地域の医療機関との連携を強化するなどの集患対策を行ったり、場合によっては病床規模の縮小や機能転換などの多角的な対策を検討しなければなりません。

 一般病床については、平均在院日数が今年に入ってから1.1日短縮しましたが、病床稼働率も1.0ポイント下がってしまっており、平均在院日数の短縮に集患対策などが追い付いていない可能性があります。

2015年3月の月末病床利用率、全体や一般病床では2か月連続で低下しており、一般病床では今年に入り1.0ポイント低下した

2015年3月の月末病床利用率、全体や一般病床では2か月連続で低下しており、一般病床では今年に入り1.0ポイント低下した

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