働き続ける「元気高齢者」が過去最高、就業者総数の1割に
2014.9.16.(火)
総務省が14日、「敬老の日」を翌日に控えて発表した「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-」(こちら)によると、「8人に1人が75歳以上」「高齢者のいる世帯が2000万超え」など高齢社会の進展を浮き彫りにするトピックスが明らかになりました。
主なトピックスは以下の通りです。
- 高齢者の人口 (人口推計)
- 高齢者人口は3296万人で過去最多、総人口に占める高齢者の割合は25.9%で過去最高を共に更新
- 8人に1人が75歳以上
- 高齢者の人口移動 (住民基本台帳人口移動報告)
- 東京都や大阪府などで転出超過
- 都道府県間移動率は男性が65-69歳と90歳以上、女性は80歳以上で高い傾向
- 高齢者の就業 (労働力調査)
- 日本の高齢者の就業率は、主要国で最高
- 高齢者の就業者数は10年連続で増加し、636万人と過去最多。就業者総数に占める割合は10.1%と過去最高
- 高齢雇用者の7割超は非正規の職員・従業員。「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多の理由
- 高齢者の住まい (住宅・土地統計調査)
- 高齢者のいる世帯は2000万を超えて過去最多
- 高齢単身世帯の共同住宅が増加
- 50.9%が高齢者等に配慮した住まい
- 近づく「親」と「子」の住まい
- 高齢者の家計 (家計調査、家計消費状況調査)
- 交際費、保健医療への支出割合が高い高齢者世帯
- 健康に気を配り、旅行などの趣味を楽しむ高齢者
- 支出が収入を上回る高齢無職世帯
- 高齢者世帯でも増加するネットショッピングの利用
中でも特に注目すべきなのは、就業者総数に占める高齢者の割合の変化です。高齢者の就業者数は10年連続で増加して、2013年には636万人と過去最多、就業者総数に占める割合は10.1%と過去最高になりました。
高齢者雇用の実態を見ると、高齢被雇用者の7割超は非正規の職員・従業員で、このうち約3割が「自分の都合のよい時間に働きたいから」を、こうした雇用形態を選んだ理由としています。生産人口の減少が深刻な問題となっている中、高齢者の雇用がどれだけの経済効果をもたらすかは分かりませんが、引退後も働き続ける「元気高齢者」は増加傾向にあるようです。
増加傾向にある元気高齢者についてGHCコンサルタントの湯原淳平は、「高齢者から現役世代への知恵、知識の伝授は重要。何より、疾病予防・介護予防による医療・介護費抑制にもつながるため、元気高齢者であること自体、大きな社会貢献になっている」と指摘しています。
長年にわたって社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝うことも大切ですが、直近のデータを見る限り、これまでの貢献に加えて、元気高齢者の活躍に対しても感謝の気持ちを忘れてはならないと思います。