2014年度診療報酬改定で1.1%増収、全自病傘下のDPC病院 影響率調査
2014.9.17.(水)
2014年度診療報酬改定による医療機関への影響を明らかにするために全国自治体病院協議会(全自病)が実施した調査の結果によりますと、今年4-6月の「入院収入」と「外来収入」を合わせた「総収入」は、DPC制度に参加している会員のうち182病院の平均で前年同期比1.1%増えていました。診療報酬を出来高算定している171病院の総収入の伸び率は0.5%でした。
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DPC対象病院では、この期間の入院収入が0.2%、外来収入が2.4%共に増えていました。入院と外来の患者数がそれぞれ1.4%、1.0%減少しましたが、入院単価が2.1%、外来単価が3.7%上がったため、増収につながりました。
DPC病院Ⅱ群(19病院)では入院単価、外来単価が4.4%、4.8%それぞれ増えていて、総収入は3.6%の増です。これに対してDPC病院Ⅲ群(163病院)では総収入の伸び率が0.8%にとどまりました。病床規模別では100-199床(11病院)が1.1%、300-399床(52病院)が1.2%、500床以上(44病院)が1.5%のいずれも増収で、400-499床(31病院)では前年並み、200-299床(25病院)では0.5%の減収でした。
また、今回の報酬改定で「短期滞在手術等基本料3」(短手3)の適用対象が拡大されたのを受けて4-6月の算定状況を調べた結果、この期間の1か月当たりの算定回数は平均32.3回で、一般病床の平均在院日数は前年から1%延びていました。
短手3の対象は、「水晶体再建術」や「終夜睡眠ポリグラフィー」などです。「鼠形ヘルニア」が対象だった従来の「短期滞在手術基本料3」を4月の報酬改定で見直し、21通りの手術や検査に適用が拡大されました。短手3が適用される手術や検査では、米国のDRG/PPSのように入院中の診療報酬がすべて包括され、入院基本料などの算定要件のうち平均在院日数のカウントには、この点数を算定した患者は含めません。
調査結果によりますと、短手3の算定回数は病床規模が大きい病院ほど多くなる傾向で、500床以上(60病院)では一か月当たり平均76.7回算定していました。一方、平均在院日数への影響は200-299床で最も大きく、2.5%延びていました。
診療報酬改定影響率調査は全自病が会員病院を対象に2年ごとに実施していて、改定が行われた年の4-6月と、前年同期の収入などを比較しています。今回は会員906病院のうち569病院が回答し(回収率63%)、そのうち有効回答した354病院を分析対象にしました。
14年度の診療報酬改定では、消費税率引き上げ分を含めると医師の人件費などに当たる「診療報酬本体」の改定率はプラス0.73%、「薬価・材料価格」の改定率はマイナス0.63%でした。本体と薬価・材料価格を合わせた全体での改定率は0.1%のプラスですが、消費増税への対応分1.36%を除くと実質1.26%のマイナス改定です。
全自病では、今回分析対象にした354病院の総収入への「影響率」は、消費増税への対応分を除くと最大で1.5%のマイナスだったと分析しています。