地域医療構想の策定ガイドライン、検討スタート―「構想区域」ごとに医療機関の協議の場
2014.9.18.(木)
都道府県が「地域医療構想」(地域医療ビジョン)を策定する際に手引きとなる国のガイドラインの中身を話し合う検討会が18日、初会合を開きました。地域医療ビジョンには医療ニーズの将来推計や医療機能の整備目標などを盛り込んで「構想区域」ごとに策定することになっていて、厚生労働省では、ビジョンを実現するために医療機関がそれぞれの役割分担を話し合う「協議の場」を、この区域ごとに設置する形を想定しています。
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地域医療構想は、病床の機能分化を地域ごとに推進する上でのロードマップ的な位置付けで、各都道府県が2015年度から翌16年度に掛けて策定します。
国のガイドラインは、これに先駆けて年度内に策定することになっていて、検討会では当面、▽医療提供体制の将来像のイメージ▽将来の医療ニーズの推計方法▽高度急性期など医療機能の整備目標の設定方法-など、ガイドラインに盛り込む内容の具体化がテーマになります。その後は、医療機関による「協議の場」の運営方法などについても意見を交わし、年明けには検討会としての見解を取りまとめたい考えです。
ガイドラインに盛り込む内容をめぐって焦点の一つになるのが、構想区域の設定方法です。この区域は先の通常国会で成立した改正医療法に盛り込まれた概念で、病床の機能分化を進める上での地域の単位となります。現時点で厚労省は、医療機関の協議の場もこの区域ごとに設定する形を想定しています。
検討会では、各都道府県が医療計画の中で設定している二次医療圏などとの整合性をどう担保するかも話し合います。厚労省側は18日の初会合で、構想区域について、二次医療圏を原則とすべきだとの認識を示しました。
ただ、全国に344か所ある二次医療圏の中には人口の流出入が激しいケースがあり、人口規模や面積の格差が大きい点も課題です。このため厚労省ではこうした点を踏まえた上で、将来の人口規模や医療ニーズなども見越して構想区域を設定したい考えです。
初会合では医療提供体制の将来像をめぐって意見交換し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期だけでなく、訪問看護ステーションなどについても整備目標を設定すべきだという意見が出ました。
相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は、高齢者だけでなく小児や難病患者を支えるための在宅医療を充実させるよう訴えました。