GHCアキ「集患めぐる競争の時代に」-今度は全日病学会でデータ分析実演
2014.9.23.(火)
グローバルヘルスコンサルティング(GHC)のアキよしかわ会長は20日、全日本病院学会のランチョンセミナーで、診療報酬の見直しに伴い、平均在院日数の短縮を余儀なくされて、病院の病床稼働率が低下する傾向が今後、10年間は続くと予測しました。アキはその上で、「これからは集患をめぐる競争の時代だ」と話し、集患エリア拡大の必要性を強調しました。
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今年4月に実施された診療報酬改定では、鼠径ヘルニアの手術に適用していた従来の「短期滞在手術基本料3」を「短期滞在手術等基本料3」に名称を変更し、入院期間が短い手術(5日以内)や検査(3日以内)の計21通りの技術に適用を拡大しました。またDPCでは、診療報酬の大半を入院初日に支払い、2日目以降は点数が大幅に少なくなる点数設定方式D(「隠れDRG」)を適用する診断群分類が、従来の22から27に増えました。
アキは、今後もこうした方向で診療報酬が見直されるのは確実で、それによって平均在院日数の短縮と病床稼働率の低下が進むのは避けられないとの認識を示しました。
この日のランチョンセミナーでは、医療法人社団シマダ(福岡県小郡市内)が運営する嶋田病院(150床)の2013年4月から14年3月までのDPCデータを使って、次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」による分析を実演しました。
「患者エリア分析」では、同病院の心不全の患者は、開業医などほかの医療機関から紹介されてくる割合(紹介率)が全体の82.1%と高く、同病院での治療が一段落した患者を紹介元に逆紹介する割合も、60%台を維持していることが分かりました。また、退院患者を自病院の外来で囲い込む割合も少ないという結果でした。
特に紹介率は、ベンチマーク分析の対象にした556病院の中でもトップクラスの数字です。アキは「地域の医療機関に信頼されている状況だと分かる」と述べました。
また、股関節大腿骨近位骨折の患者にリハビリテーションをどれだけ提供しているのかを「DPCケース分析」の機能を使って分析すると、1日当たりの単位数は6.7単位で488病院中2番目の手厚さでした。1入院当たりの実施密度は87.6%という結果。これは、全病院の平均(55.8%)を大幅に上回り、488病院中6番目の高さです。
ただ、心不全の患者の大半が半径5キロ以内からの受診で占められていて、アキは、このエリアをどれだけ広げられるかが課題だと指摘して、そのためには、患者の信頼を勝ち取れるように医療の質を一層引き上げることがポイントだと強調しました。