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病院事業4852億円の赤字、会計基準変更で前年度比10倍増―14年度地方公営企業決算

2015.10.1.(木)

【10/2更新】
 総務省が9月30日発表した2014年度の「地方公営企業決算の概要」によると、同年度の病院事業の総収支額は約4852億円の赤字でした(発表資料はこちら)。前年度の約429億円の赤字と比べ、赤字幅は10倍以上に増加。総務省によると、赤字が大幅に増加した主な原因は会計基準の変更で、退職給付引当金や賞与引当金を特別損失として約4700億円計上したことなどが影響したとしています。

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退職給付引当金3800億円、賞与引当金890億円

 11年の地方公営企業法施行令などの改正で、公営企業の会計基準が厳格化されました。14年度は、新会計基準が初めて適用された決算です。

 新会計基準では、従来は任意とされていた引当金(退職給付引当金、貸倒引当金など)の計上を義務化するなどの見直しが行われました。病院事業の大幅赤字で最も影響が大きかったのは、特別損失に計上した退職給付引当金約3800億円、次いで賞与引当金約890億円などの順。総務省によると、「今回は会計基準の変更による大幅赤字。会計基準変更の影響を除いた前年度との比較は、消費税増税の影響で100億円くらいのマイナスがあるため、全体的に経営は悪化傾向にある印象」としています。

累積欠損金10%減の1兆7904億円

 病院以外の事業を含む公営企業全体の総収支は、約5252億円の赤字でした。前年度に比べて約1兆333億円の減で、14年ぶりの赤字になっています。累積欠損金は約4兆5593億円で、前年度比約2409億円減少しました。事業別に見ると、交通事業が約1兆9314億円(前年度比9.5%減)で最も多く、次いで病院事業が約1兆7904億円(同10.1%減)です。

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 地方公営企業会計基準は1966年以来大きな改正がなく、国際基準を踏まえて見直されている民間の企業会計基準制度との整合性を図り、公営企業と民間企業の相互比較を分析しやすくする狙いがあります。2004年に企業会計原則に準じた制度を導入した地方独立行政法人との整合性も図れます。

 公営企業の資産状況や損益構造をより明確にすることで、総務省では、収益性の向上や経常費用の合理化・効率化につなげ、健全経営を推進していくとしています。

【追記】(2015年10月2日)
 本文3パラ目に、総務省のコメントとして、「今回は会計基準の変更による大幅赤字。会計基準変更の影響を除いた前年度との比較は、消費税増税の影響で100億円くらいのマイナスがあるため、全体的に経営は悪化傾向にある印象」と記載しました。

 これについて読者から、「総収支4852億円から特別損失約4700億円を引いた約△100億円が会計基準変更の影響を除いた総収支であり、それを前年度の総収支△429億円と比較すると、約300億円良化している」との質問があったため、総務省に再度確認を行いました。

 総務省によると、「今回の会計基準の変更により、新たにプラスに転じた項目もある。約1000億円のプラス影響があった長期前受金戻入(補助金など)などがそれで、こうしたプラス要因とマイナス要因を加味して比較すると、2014年度は前年度と比較して経営が悪化している印象である。個別病院のデータからも、そのことは読み取れる。今回の概要からだけでは読み取れない部分も多いが、詳細は16年1月に発表する予定」としています。

 以上、追記させていただきました。ご指摘に感謝致します。

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