国保保険料率を市町村ごとに設定、厚労省提案-医療費水準など反映
2014.10.29.(水)
社会保障審議会医療保険部会が29日開かれ、厚生労働省は、市町村国保の財政運営を都道府県に移行させることを想定した見直し案を提示しました。国保からの医療給付費の見込みを踏まえた「保険料収納必要額」を都道府県がまず立てて、各市町村の医療費や所得の水準を踏まえた「分賦金」を割り当てるなどの内容です。加入者の健康増進に取り組んで医療費水準を引き下げたり、収納率を高めたりすると保険料率を低く設定できるようにすることで、市町村側の取り組みを促します。
厚労省案では、保険料率は都道府県が設定した「標準保険料率」を参考に市町村が決めます。ただ同省は、医療費水準や人口規模の差が比較的小さくて各市町村の合意があれば、都道府県や二次医療圏ごとに同じ保険料を設定することも容認する方針です。
市町村ごとの分賦金に反映される医療費水準は、年齢構成の違いによる影響を調整して決めます。また、医療費の急激な変動による財政への影響を和らげるため、複数年の平均値を使います。
都道府県はまた、各市町村国保の加入者数を踏まえて保険料の収納率の目標値も設定します。収納実績がこの目標値を上回れば標準保険料率よりも保険料率を低くできるようにして、市町村側の取り組みを後押しします。
市町村国保の収納率は全体的に低下傾向が続いていましたが、2008-09年ごろから緩やかな上昇傾向に転じました。12年度の収納率の全国平均は89.9%で、政令指定都市や中核市など人口規模の大きな地域の収納率がこれを割り込んでいます。厚労省は、加入者者数によって4通りの目標値を提案しましたが=表=、この形だと被保険者数が区分の境界線にあるケースでは、市町村へのインセンティブが不適切な方向に働きかねないという意見もあり、慎重に検討します。
厚労省は、市町村国保の財政運営を17年度をめどに都道府県に移管したい考えで、具体策の年内取りまとめを目指します。
国と地方の協議会が8月に固めた国保の基盤強化をめぐる中間整理には、保険料負担の軽減策として1700億円規模の財政支援が盛り込まれていて、29日の会合で全国知事会は、こうした対策の早期実施を求めました。