ドイツで新たな要介護認定基準、日常動作や認知能力など応じて要介護度は5区分に設定
2016.2.22.(月)
ドイツで新しい要介護認定が始まります。これまでは、「日常生活の基本動作」と「家事」の2分野について必要な支援時間を基準に3つの区分で「要介護」状態が判定されていましたが、2017年から、よりきめ細かい基準を設け5区分の要介護度で判定されることになります。
ドイツでは従来、「日常生活の基本動作」(身体ケア、食事、歩行など)と「家事」(買い物、料理、掃除、洗濯など)の2分野について必要な支援時間を基準に3つの区分で「要介護」状態を判定してきました。
しかし、これでは認知機能の低下や精神障害のために必要な介護や監督が考慮されないため、包括的に要介護状態を定義するための検討が進められ、今般、次の6つの項目に基づいて状態を把握することになりました(2017年1月1日から施行)。国立国会図書館では「身体機能が低下した人」「認知機能が低下した人」「精神障害を有する人」が、同一の基準で等しく要介護認定を受けられることになると評価しています。
(1)運動能力
(2)認知能力およびコミュニケーション能力
(3)行動および心理症状
(4)日常動作
(5)病院または治療への対処
(6)日常生活および社会生活
この6項目について状態を把握し、利用者を5つの要介護度で判定します。国立国会図書館では、ドイツの改正介護保険法に基づき、要介護認定の基準と内容を次のように整理しています(国立国会図書館のサイトはこちら)。6項目は等分に評価されるわけではなく、評価比重が定められています。このため、要介護度の判定においては「日常動作」の状況が最も重視されると考えられます。
なお、新たな要介護認定を考慮し、保険料率は0.2%引き上げられ2.55%となる予定です(子どもがいない人では2.8%)。
わが国でも介護保険制度の見直し論議がスタートしており、諸外国の状況もしっかり見ていく必要があるでしょう。