患者を救う大革命になるか? 「医療ビッグデータ」 NHKスペシャル
2014.11.4.(火)
2日に放映されたNHKスペシャルが「医療の価値」の向上に関連する内容だったので、情報共有させてください。
番組は(1)新生児集中治療室に入院する赤ちゃんの感染症発症の予見可能性を探る最新の研究(2)がん患者の入院期間を半分に短縮させた済生会熊本病院の取り組み(3)ぜんそく患者の減少を目指す米ケンタッキー州最大の都市ルイビルによる町ぐるみの取り組み―の3つが柱でした。これらに共通するのは、医療が抱える問題解決にビッグデータを活用する視点です。
例えば済生会熊本病院では、年間延べ16万人におよぶ患者の「体温」や「心拍数」から「トイレの回数」までに至る1人300項目のビッグデータをカギに、患者が退院するまでの期間の長短に大きく関係する要因を突き止め、入院期間の短縮につなげているといいます。
番組では、これからの超高齢社会の到来を見据えると、ビッグデータの活用による医療の効率化がますます重要なテーマになるとも指摘していました。
データ分析を医療の価値向上につなげようという視点は、GHCの基本路線とも一致しますので、お薦めしないわけにはいきません。2日の放映は見逃したという方はぜひ、再放送をご覧ください。再放送は、11月6日(木)午前0時40分からということです。
今回のNHKスペシャルの内容と直接は関係しませんが、この番組を見た後に思い返したのは、過去に見聞きして興奮を覚えた幾つかのテクノロジーです。
世界中の人たちと瞬時に連絡を取ることを可能にした電子メール、小さな商店や個人による巨大マーケット参入に道を拓いたネット通販やオークション、情報発信のハードルを押し下げたブログや動画共有サイト…。
わたしたちの生活を規定する時間や場所という概念を覆したこれらのテクノロジーに出合い、かつて興奮を覚えた経験のある人は少なくないのではないでしょうか。
医療ビッグデータは、わたしたちの生命や生活を左右する「医療」の概念を大きく塗り替える可能性を秘めています。それだけに、この番組を見た後に覚えた興奮は大きなものでした。もちろん、センシティブな医療情報の活用には、情報漏えいのリスク解消などたくさんの課題が付きまといますが、このエキサイティングな医療の新潮流が、患者を救う「大革命」をもたらすことに、まずは期待したいと思います。