自治体病院の新会計基準にどう対応? 15年医療実調、有効回答率アップも課題に
2014.11.19.(水)
自治体病院に適用される会計基準が2014年度から新しくなったのに伴って、厚生労働省は、15年に実施する医療経済実態調査の内容の検討を進めています。次回の調査は13、14年度が対象で、自治体病院では新旧の会計基準をまたぐことになります。両年度に経営状況がどう変化したかを比較できるよう、同省では旧基準によるデータ提出に一本化することも視野に入れていますが、こうした対応では調査に回答する病院側の負担が膨らんで有効回答率を引き下げかねないだけに、慎重に検討されます。
同省は、中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会が19日に開いた会合に対応案を提示し、引き続き具体化を進めることになりました。医療経済実態調査は、診療報酬改定の基礎資料にするため2年ごとに実施されています。
自治体病院の新しい会計基準では、これまで任意だった退職給付引当金の負債計上を義務付けたほか、「ファイナンス・リース取引」の実態を正確に把握するため、従来は「賃貸借取引」としていた会計処理上の取り扱いを見直してリース会計を導入するなどの見直しが行われました。
自治体病院には従来、地方公営企業法に基づく会計基準が適用されていましたが、総務省によりますと、企業会計の見直しの流れなどを踏まえて14年度予算から新基準の適用に踏み切りました。
次の医療経済実態調査は15年6月に実施することになっていて、調査内容は中医協が年度内に固めます=表=。厚労省は19日の会合で、自治体病院のデータを旧基準に一本化することを提案しましたが、「それだと有効回答率が相当低くなる」(白川修二・健康保険組合副会長・専務理事)といった慎重論が相次ぎました。
厚労省によりますと、07年以降に実施した4回の調査では有効回答率がいずれも60%(病院)を割り込んでいて、これをどう引き上げるかもテーマになります。